固定概念が商売の種になる ノウト の ノート らしからぬ素材選び
「クリーニングに行った時、ネームタグありますよね?あのネームタグに使われている素材で何を作ったと思います?」と声をかけられて「さあ、、」と僕。 ノウト という会社のスタッフから渡された ノート の表紙には「LAUNDRY」と書かれていたのである。
「まさか、これ」というと、うなづく。よくこんなことを考えるものだなと思うが、まさにクリーニングについているタグの素材が水に強いことに着目して、これだったら、彼曰く「水にめっぽう強い」ノートが作れるのではないかと手がけたのがこの商品「洗えるA5耐洗紙ランドリーノート」である。
面白いのは、普段利用している商品やサービスも、素材を変えると、別の場面で適切に使えるのではないかという視点であり、これは防災の意味合いを持っていて、何も防災の時に限らず、日常使いができて、緊急事態にも役に立つ、というのが秀逸である。
そのクリーニング屋にヒントを得たアイデアはまだとどまらない。そのクリーニング屋で使っている水に強いペンにも着目して、それを「クリーニング店のプロが使う『落ちない』ペン」として売り出してもいる。
本当にアイデアの源泉は日常の中に潜んでいる事を痛感させられる次第であって、今の話はクリーニング屋だが、いわゆるワイシャツ屋さんでも何気ない素材が生まれ変わることを発見するのである。
「これもそうです」と差し出されたのは、クリップである。受け取るなり、「ん?これ、どこかで見たことが、、、」と僕がいうと、「実はこれよく、新品のシャツを固定するために、クリップでとめられていますよね?」と。
ああああ、と僕。新品シャツの固定用素材のクリップで、独特の形状をしているので、同社では、それを「目印」にした。目印とは何か。例えば、手帳やノートで「現在のページ」がどこであるかをこのクリップで挟むわけである。
先端が丸いので、紙を傷つけず、またこれ自体が軽いので30枚以上、綴じることが可能なのである。
目の付け所が違うのである。世間一般で言えば「ぬり絵」はお馴染みで、絵柄に色を収めるのが常識だが、この会社にかかれば、関係なく色を塗りたくって商品にしてしまう。つまり、昨今のインクブームに着想を得て、インクを塗りたくると、絵が浮かび上がるカードを考えてしまったわけである。
笑顔を浮かべながら、何気ない文房具も、セレクトする素材を変えるだけでこれだけの個性を放てるというのと、普通に文房具を出しても、大手にはかなわないので、素材と文具の組み合わせの妙を楽しんでもらったり、または普段使わない視点で、ファンをつかんでいますと。
僕らの固定概念がまた、この会社にとっては商売の種になっているのである。
今日はこの辺で。