町工場 が生んだ発明 洗濯マグちゃん
きっかけは、茨城にある何気ない“町工場”の横にある土管から。株式会社宮本製作所は昭和40年の創業以来、マグネシウムを使った加工品を手がける、地味で小さな工場であった。だが、画期的とも言える視点で「 洗濯マグちゃん 」という商品を生み出し、この5〜6年で事業形態が様変わりして、売上の8割はそれにとって代わった。
町工場 から なぜ 洗濯マグちゃん が生まれた?
「洗濯マグちゃん」?そう思われる人もいるだろう。写真の通り、一見するとポーチのように見えるが、これを家の洗濯機に一緒に入れると、それだけで洗剤もなく綺麗になってしまうという商品なのである。信じられない話だが、それを可能にしたのは、この中に入っているマグネシウムである。
高純度のマグネシウムは水と反応し、洗浄力のある弱アルカリ性の水に変化するので、皮脂汚れを落としてくれるのだ。きっかけは、冒頭に書いた通り、町工場にある土管がきっかけだ。
それまで宮本製作所はマグネシウムの加工品を扱う故、何気なくその削りカスをその土管の中に入れておいた。ある時、そこに溜まった雨水を「ハッ」と気づくのである。普通の土管にはボウフラなどがいたのにも関わらず、削りカスが入っている土管の方には一切、それがなく、綺麗であったのだ。
そこで実際に、実験を行ってみたところ、マグネシウムの力で洗濯物の洗浄・消臭・除菌ができることが判明。洗剤と同等の汚れ落ちがあるのはもちろん、除菌力が優れていることから、消臭力も洗剤の10倍程度、あるということがわかった。おまけに、洗濯物が乾かなくても菌が増殖しないから、部屋干し臭がしないのである。
洗濯マグちゃん からバスマグまで
大体、写真でいえばの「洗濯マグちゃん」であれば、少人数の家庭であれば、2個入れておけば、それだけで300回は使えると同社は話しており、洗剤要らずでエコであり、かつ300回使った後も土に還すことができるのだ。
最初こそ、認知がなかったこの商品であるが、その効果が消費者に語られると共に、認知が拡大し、今やこの会社の看板商品にまで成長したのである。
最近では、そのマグネシウムの効果がお風呂にも通用することがわかり、「バスマグ」という商品を発売。水を張るときにこれを入れておくと、入った際に保温効果が高まり、体がポカポカするそう。マグネシウムの可能性を引き出したことで、環境を配慮する時代も後押しして、この会社は下請けの町工場から、一気に表舞台に立つこととなったという話である。まさに、革命であり、発明である。
今日はこの辺で。