九谷焼 の裏で HANASAKA の 粘土 愛
代々粘土を手がけて納品している谷口粘土所という会社がある。彼らは、自ら「 HANASAKA 」というブランドを展開し、メーカーとして新たな道を歩もうとしていて、その意気込みは、このネーミングにも隠されている。ブランド名は九谷焼の原料である「花坂陶石」を由来とする。この場所では確かに「 九谷焼 」そのものは有名であるけれど、最近、採石できる鉱山が少なくなっているので、そうした山を守る視点も大事なのではないか、と考えたのである。
粘土 への想い 地元愛 HANASAKA 誕生まで
谷口粘土所は粘土を作るのが本業だから窯元や作家に粘土を提供してきた会社で、勿論、九谷焼のおかげでビジネスが成り立っている部分もある。ただ、粘土を手がけてきたものとして、先ほど触れた通り、鉱山の減少を機に「花坂陶石」の方に目を向ける想いが湧いて出る。彼らなりに考えたのは、今まで捨てられていた部分の価値を拾い上げることだと考え「HANASAKA」を提案するのである。
元々「粘土」は、石を粉砕したものを何層にも分けて洗い流すところから始まる。そこで、比重の軽い粘度は水と一緒に流れていくけれど、比重が重い粘土にならないところは水槽に沈んでいく。この過程を繰り返した末、最後に水槽に溜まっているものを取り出して、ふるいにかけたりして脱水すると粘土になるわけである。
本来なら、その粘土でボディを作って、粘土にならないところは廃棄されていたのだけど、これを活用して一つに仕上げて製品化した。従来で言えば、その判断基準は、九谷焼にできるかできないかであったろう。それでいうと、これらは純白ではないので絵を描きづらく、九谷焼の特徴である絵付の表現は難しいので、廃棄の一択だったわけである。
彼らは、そうではなく花坂陶石そのものの価値に光を当てるべく、「HANASAKA」というブランドでその廃棄された部分を拾い上げ、そこで生まれたのがこの商品群。絵はなくとも、その分だけフォルムが脳裏に焼きつく。その色も含め、優しく滑らかな風合いが特徴となって、全く違った付加価値をつけるのである。
おちょこ、お茶碗、水差しなどのさまざまな商品がスマートに表現されているのは、これまたその地方の職人たちの創造性によるものだ。
商業ベースでガツガツ儲ける時代は古くなってきており、地域の自然を思い、環境に配慮しながら、その中で商売にできるものを売っていくことこそ、これからのトレンドだと思うので、注目した次第だ。
今日はこの辺で。