女優・宮原華音さんが語る、今どき女子のファッション観とは?

ニュースを見ていると、この数年でファッションシーンも大きく変化を遂げている。一方で、今を謳歌している女子たちの“根っこ”は、昔と比べてどのくらい変わっているのだろう? そんな疑問を胸に、女優・宮原華音(みやはら かのん)さんにお話を伺った。すると、意外にも会話がどんどん広がっていったのだ。GUやユニクロといった身近なファストファッションをどう楽しんでいるのか、SNSとの関係は? そこには“憧れ”だけで終わらない等身大のファッション観があった。
宮原華音(みやはら かのん)
女優/アクション/モデル。空手初段 全国大会三連覇、柔道初段という体育会系の経歴を持つ。これを活かし、特撮アクション時代劇『BLACKFOX: Age of the Ninja』(各種配信プラットフォームにて配信中)でウト役を務めるなど、アクション女優としても活躍。月刊誌『CLUB HARLEY』イメージキャラクターなど、多方面で活動中。
GUやユニクロは身近でできるオシャレ
まず気になったのは、かつては個性的なファッションこそが憧れの対象になりがちだが、最近はそれがあまり感じられなくなっていること。では、華音さん自身はどんなふうに洋服を選んでいるのか、インタビューしてみました。
インタビュアー(145):「最近、どこで服を買ったりするの?」
華音:「割と『GU』や『ユニクロ』が多いかもしれないです。私は柄物はあまり買わなくて、無地をよく買います。」
インタビュアー(145):「それって無地だと合わせやすいってこと?」
華音:「そうですね。自分では柄が似合わないと思っていて。その代わりバッグとかを柄物にしています。全身無地にしておいて、バッグにロゴや柄があるとアクセントになるかなって。
私、特に冬が大好きで、ファーとかもこもこしたものも好きなので、バッグにヒョウ柄のもこもこしたものとか、そういうのを持っていきたいんです。だから、服はなるべくシンプルなものにしておきたいな、と思ってやっています。」
憧れよりも身近さを大事に
インタビュアー(145):「でも、そういうシンプルな服をインスタとかにあげるの?」
華音:「そうですね。インスタにけっこう服は載せているんですけど、誰でも真似して買ってくれたら嬉しいなと思って。」
インタビュアー(145):「逆に真似してもらいたいってこと?」
華音:「そう。最近、私のフォロワーさんで女性ファンが増えていて、『GU』とかだと買いやすいかな〜と思うんです。」
華音さんいわく、自分が着ている服を真似されるのはむしろ嬉しいのだとか。高級ブランドを身にまとうことは、もちろん素敵な選択肢の一つ。でも、それだけではない楽しさが“プチプラ”ファッションにはあるようだ。
インタビュアー(145):「同じ服を着られるのって、嫌なのかなって思ったけど、そうでもないんだね?」
華音:「いやいや、『参考にします!』って言われたら嬉しいですよ。
有名な女優さんで、高いブランドの服を着ていたりすると、フォロワーさんはちょっと手が出ないこともあると思うんです。でも『GU』とか、『ユニクロ』とか、そういう安いお店のものでも同じように買ってみようかなって思えるのはいいですよね。
着回しとか安い服をどう工夫して着るかっていうのを見てもらえたら、みんなも取り入れやすいし、近づきやすくなるんじゃないかなって。私もあえてユニクロとか着てインスタに出たりするんですよ。」
アレンジして自分にもできる!を
インタビュアー(145):「身近なアイテムをどうやってアレンジして可愛く演出するかってことに意識があるんだ。高いブランドで見せるお洒落とは、表現が違うのかもしれないね。」
華音:「最近はみんな、そういう傾向が強いと思います。同じようにユニクロ着ている子を見て、『あ、自分でも真似してみよう』ってなったり。ファッション系のアプリとかで『これでGUなの?』っていう見出しがあるのは、そういうものを求めているからなんじゃないかな。」
インタビュアー(145):「やっぱり参考にするのはアプリとか?」
華音:「そうですね。あとはインスタ、雑誌。私は紙の雑誌が大好きですけど、雑誌を買うより他のことにお金を使いたい人はアプリを見ていますね。」
インタビュアー(145):「アプリは何を見るの?」
華音:
「『MERY』かな。学生とかに受け入れられやすい要素があって、『着たいけど買えなそう…』を救う4000円のプチプライスアイテム、みたいに書かれてあって、一緒に『ZOZOTOWNで買えます』って添えてあるから、つい買ってしまうわけです。そこには共感が大事なんですよね。」
SNSでの流行が生んだ!?あの着こなし
145:それって同じ服着られるのは、嫌なのかなって思ったんだけど、そうじゃないんだね?
華音:いやいや、「参考にします」って言われたら、嬉しいですね。有名な女優さんで、高いブランドだったりするとフォロワーさんがちょっと手が出ないところでも、同じ服を買ってみようかな、って言うのはあるじゃないですか?
SNSが流行し、インスタグラマーのコーデを真似する動きが加速する中、新しい着こなしが注目されています。その一例が“あえて大きめサイズを着る”というスタイル。華音さん自身もこんなエピソードがあったそうです。
華音:「最近、思ったことがあって……。」
インタビュアー(145):「何?」
人からどうみられるかがやっぱり大事
華音:「今、舞台でご一緒している年上の方から『ちょっと自分のサイズより大きめの服を着るのが流行っているの?』って聞かれたんです。確かに、池袋駅を歩いていて周りを見てみたら、女の子が大きめのトレーナーやTシャツをワンピース風に着たりしていて。
昔なら、上が大きいなら下はタイトでメリハリをつけるとかしていたんですけど、最近は上も下も大きめで合わせる子が増えてるんですよね。」
インタビュアー(145):「それって、太って見えちゃわないの?」
華音:「それが、むしろ逆に華奢に見せる効果があるみたいなんですよ。以前、『#彼女とデートなう。に使っていいよ』ってインスタで流行ったじゃないですか。あの流れなのかなって思うんですよね。
『彼氏の服を着てきちゃいました』みたいなシチュエーションというか。雑誌でも見たことあります。私、身長が170センチあるので、XLとか着ても普通にちょうどいい感じになっちゃうんですけど(笑)。
でも、たとえば160センチくらいの子がわざとメンズのXLを着ると、逆に華奢感が出て、守ってあげたい感が生まれるんじゃないかなって。」
インタビュアー(145):「なるほどなあ。そう考えると、インスタとか日常のメディアが、ファッションスタイルに影響を与えているってことだね。ありがとう。参考になったよ!」
華音:「こちらこそ!」
変化の本質は「共有」や「共感」にある
華音さんと話していて痛感したのは、ファッションの価値観が確実に変わっているということ。
かつては「どのブランドを買うか」という基準で語られることも多かったファッションだが、今では誰もが手に取りやすい「GU」や「ユニクロ」のようなアイテムを使い、いかに自分らしくカスタマイズするかがポイントになっている。
それを支えているのは、やはりSNSの力。華音さんが楽しそうに話していたように、「自分と同じものを誰かが真似してくれたら嬉しい」という気持ちがベースにあるからこそ、SNSでは積極的に着用アイテムをシェアし合う文化が生まれているのだ。
華音さん自身も「憧れられたい」というよりは、「こんなふうに着こなしてみたら楽しいんじゃない?」という感覚で投稿をしているように見受けられる。そこには“誰かと共有して楽しむ”という、より身近でフラットなマインドがあるのだ。
こうした「等身大のファッション」の広がりが、ZARAやGU、ユニクロの隆盛にもつながっているのかもしれません。SNSやアプリの普及が、普遍的なアイテムをいかに自分らしく見せるかという方向に、ファッションの在り方を変質させている印象を受けた。
今日はこの辺で。