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小売 世界 ランキング 2020 売り場に轟く技術革新の波

vente de fruits et légumes sur un marché

 コンサルタント会社のデロイトトーマツは「世界の小売 業ランキング」を毎年出しており、今年もその発表を2020年4月15日、行った。これはGlobal Powers of Retailingの最新版を日本語訳したレポート。2019年度、つまり2019年6月30日までを期末とする事業年度の公表データに基づいて世界の小売企業から売上高上位250社を選定し分析しているもので 小売 世界 ランキング 1位から3位までのデータを見れば解るが、今の小売の潮流が浮き彫りになるものなので、記事にした。

2020年のポイントは・・・・

  • Amazon.comが順位を上げ、初のトップ3入り。
  • Walmartは22年以上連続で1位に。
  • 日本企業はトップ250に29社がランクインし、最上位は13位のイオン

1.小売 世界 ランキング の傾向

1-1. 売上高トップ250社が押し上げた成長率は4.1%増

 上位250社に関する主要統計で、250社の総小売売上高は4.74兆米ドル、上位250社の平均小売売上高は190億米ドルで、小売売上高の対前年度比 平均成長率は4.1%と、平均純利益率は3.0%、平均総資産利益率(ROA)は4.7%だとしている。

小売における売上高の前年度対比の成長率は4.1%増
小売における売上高の前年度対比の成長率は4.1%増

 また、上位250社のうち、国外企業を行っている小売企業の割合は、64.8%にのぼるとしていて、グローバル思考は広がっている。また、総小売売上高に占める国外事業の割合は22.8%。では一社あたりの小売事業の展開国数はどのくらいかというと、平均10.8国だそうだ。

 では、その上位10社を下記に示してみた。

小売 世界 ランキング 2020 売り場に轟く技術革新の波
小売 世界 ランキング 2020 

(出所:Deloitte Touche Tohmatsu Limited. Global Powers of Retailing 2020. 2019年6月30日を期末とする事業年度について各社のアニュアルレポート、 Supermarket News、Forbes Americaの大手非上場企業および他の資料をもとに分析。 )

1-2.トップ3が世界ランキングに君臨できる理由

 今年度、トップ5の顔ぶれは昨年と変動しなかったものの、Amazon.comが2018年度の小売企業上位10社の中で最も高い18.2%の小売売上高成長率を記録し初のトップ3入りとなった。なおWalmartが22年以上連続で1位に、Costco Wholesaleが6年連続で2位にそれぞれランクインしている。

1位ウォルマート。ネットで購入、店舗で受取の体制強化

 一位はWalmart。米国既存店の売り上げ高の記録的な伸びにより、2018年の小売売上高成長率は、2.8%である。ひとつにオムニチャネル戦略の一環として、eコマース売上高に注力しており、2018年度は 54億ベイドルを投資し、eコマースの売上高を40%増やした。

 なお他社の食料品のeコマースに勝つための戦略として、ネットで購入し店舗で受け取る戦略に向けた受取配達拠点の拡大と、店舗の改装に投資したのだという。さらに、eコマースの強化としてEloquii(プラスサイズの女性向けアパレル )と Necessities(下着小売企業)の買収を行っているのも見逃せない。

2位コストコ。Zest Freshで廃棄減少、コスト軽減で顧客に還元

 2位はCostco Wholesale。小売売上高成長率が2017 年度比で、1.0ポイント改善し、9.7%の高い伸びを記録している。主に、21カ所のウェアハウス新設や来店客数、購買頻度、来店あたりの客単価の増加が起因しているようだ。

 中でも、Zest Freshという仕組みがあり、コストコの成長に寄与している。Zest Freshは、野菜などの農作物の傾向をデータ化し、それを基に、農作物が、十分な鮮度で小売のもとへ適切な数量、出荷させるように調整して、廃棄物を削減するというもの。ゆえに、売上増に加え、食品廃棄の半減を通じて、コストを抑え、それを顧客に還元してできるというわけなのだ。

3位Amazon。eコマースを起点にリアル進出で可能性を最大化

 三位はAmazon.com。2018年度の小売企業上位10社の中でも最も高い18.2%の小売売上高成長率を記録している。特に、北米とドイツでの売上増、ホールフーズマーケットの買収効果、値下げと配送サービスでの尽力、店舗内在庫の充実などを、その理由としてAmazonは上げている。eコマース事業の発送センター用に800万平方フィート超の用地を買収したほか、prime配送支援のための貨物輸送機を25%増やす計画を発表していて、ネットでの強みを生かして、リアルと変わらぬ環境づくりを徹底している。

 恐らくAmazonはこれを序章と捉えているはずで、シンプルに仕組みを構築して、そのメカニズムは世界一へと導く。eコマースで一番ではなく、小売全体での1番を目指すものと思われる。

2.アジア太平洋の傾向はいかに

2-1.買い物が変化 eコマース、mコマース影響大 

 アジア太平洋の売上成長を牽引しているのは、ミドルクラスの消費者、特に若いミレニアム世代の買い物の好みの変化と、実店舗小売企業によるeコマース、mコマース(スマホ)の導入拡大であろうとしている。

 イオン、JD、セブン&アイ・ホールディングが小売売上高に主に貢献し、アリババ は海外での小売事業拡大を目指し、中国でEasyhomeとkaiyuan、トルコでTrendyolなどの小売企業数社を買収したため、前年度比の小売売上高の成長が154.4%も伸びた。特にアリババ はオムニチャネル分野での存在感を高め、ニューリテール戦略も身を結んだ。

2-2.では日本の企業はどうなのか?

 今回、日本企業でトップ250入りした企業数は昨年より2社減の29社となり、最上位は13位にランクインしたイオンとなっている。

世界から見た日本の小売の順位
世界から見た日本の小売の順位

3.世界的に小売はネットとリアルが融合、生産現場でもAI活用

 最初の世界の企業のトップスリーを見て解る通り、かつてリアルを主戦場としていたウォルマートがeコマースに投資をして、その中でも彼らなりの強みを発揮させるべく、ネット購入からの店舗受け取りの拡充など、リアルとネットの垣根がなくなっているし、むしろここが新しい小売のあり方なのだと思う。顧客を軸に据えて、それぞれのニーズに合わせて、好きなように商品を手にする。

 その一方で、コストコの「Zest Fresh」の仕組みがそうであるように、いままでアナログでやっていた、農家の生産物をデータでまとめて、その鮮度などを考慮しながら、小売に最適化させて、無駄なく販売をすることで、パートナー全ての生産性を高めていくことで、その利点をお客様に還元するという動きもあって、ここにも技術革新の波が訪れているように思う。

 思うに、世界の名だたるトップ企業は、技術革新の可能性に着目して、ネットとテクノロジーを活用して、それぞれの立場での最適化を考えている。それが、結果、ものを売るだけというよりは、データを基にそのそれぞれの立場の価値を最大化させるプラットフォームへと変貌しているのが、興味深い。アナログから寄せられていた曖昧なデータは、今まさに、AIなどによって分析、整理されて、企業価値を上げていて、過去とは全く違うものとなっている。

 今、コロナウイルスで事業が立ち行かないなどと悩まされている今だからこそ、世界的な企業はこうしたチャレンジと、方向転換をして、着実に成長を遂げているという事実から学びを得たいものである。

 今日はこの辺で。

(参考:デロイトトーマツ社世界の小売業ランキング2020

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