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キャラクターの背景が楽しいからこそ惹かれる──「コミミちゃん」たちの“異彩なキャラ戦略”

風呂敷のようなコミミちゃん

 キャラクターのグッズというと、街のショップでも SNS でも目にするのが当たり前。そんな無数のキャラクターがひしめき合う中、ちょっと異色の経歴を持つ「コミミちゃん」が目を引く。「ゴミ袋の妖精」というインパクト大の設定を持ちながら、見た目はどこか愛らしい。

 一度消滅の危機を迎えながらも、わずか1日足らずでクラウドファンディングを成功させたという生々しいエピソードまであるのだから、一筋縄ではいかないものだ。

広告での知見をキャラに

 その「コミミちゃん」を生み出したのは、広告分野で豊富な実績を持つ株式会社ギークピクチュアズのクリエイティブユニット「GEEK WONDERS」。

 彼らはキャラクターに対して並々ならぬ熱量を持っている。その証拠に、KADOKAWAとの連携でアニメ化が決定している「ぜつめつきぐしゅんっ。」など、意欲的にコンテンツを展開しているのだ。

ぜつめつきぐしゅんっ。
ぜつめつきぐしゅんっ。

 では、この不思議な背景を持つ「コミミちゃん」。同キャラを彼らはどんなふうに商品へ活かし、購入者の気持ちを引こうとしているのだろう。

“ゴミ袋の妖精”から広がる意外性

 コミミちゃんは、一見すると“ゴミ袋”というマイナスイメージになりがちなモチーフである。それでいて、それを可愛らしいデザインに落とし込み、さらに環境にも優しいキャラクターとしての使命感を持っている。

 頭を結った風呂敷のような見た目も、レジ袋削減のご時世と相まって「もしかしてエコなメッセージを打ち出せるのでは?」と思わせるところがユニーク。

 商品としては、その「風呂敷っぽい姿」を活かしてエコグッズとコラボ展開。実は、SDGs や環境保護の文脈を付与できる強みが見えるのでる。つまり、キャラクターグッズにとどまらず、社会貢献や企業理念を乗せた取り組みにも発展させやすいわけなのだ。

 実は奥が深い。実際、コミミちゃんは Twitter やインスタグラムでも日々、生活の知恵やエコなアイデアを発信している。

 この「キャラクターが持つストーリーやテーマ性」を商品の背景やPOP、広告展開にうまく乗せることで、消費者は“可愛い”だけでなく「環境への意識も感じるな」「使ってみたい」と思わず手を伸ばしたくなるのではないだろうか。

キャラクターへの“愛”が生み出す熱量

 開発元のギークピクチュアズは広告制作や映像表現に強みを持つ。さらに社内に「GEEK WONDERS」というユニットを作るほど、コンテンツ事業に本気で取り組んでいる。

 キャラクターへの思いの強さは、すでにコミミちゃんを救済するべく実行したクラウドファンディングの実績からも伝わってくる。2020年7月20日に開始されたこのプロジェクトでは、オリジナルエコバッグの販売資金として198,000円の目標を設定。開始からわずか22時間で目標金額を達成するという驚異的なスピードで成功を収めた。

 支援のリターンとなったエコバッグは、コミミちゃんの可愛らしいデザインが施され、高品質な播州織の生地を使用。実用性とデザイン性を兼ね備えたアイテムとして、多くのファンの支持を集めたのである。

 このクラウドファンディングの成功は、単なる商品販売の枠を超え、「コミミちゃんの存続」を支えるための活動でもあったわけだ。キャラクターにストーリーがあり、それに共感した人々が支援することで、ブランドの価値が強化される好例となった。

商品展開と購入者心理──“物語”のファンになってもらう

 このように「キャラクターを大切に育てる」という姿勢があると、単なるグッズ企画では終わらず、映像表現やブランドコラボなど多面的な展開に発展しやすいのが特徴である。

 キャラクターの“使命感”や“物語性”を深堀りすることで、さらに広い層にアピールできる商品が生まれてくるのである。

 思うに、キャラクターグッズを手に取るとき、私たちは「なんだか可愛いから」「面白い経歴を持っているから」といった感情に突き動かされる。ただ、そこに「環境に優しい取り組み」といった社会的意義や、「コミミちゃんが解決してくれる」という物語性が加わると、単にデザインが気に入っただけではなく「世界観ごと楽しみたい」という気持ちになるし、そういう背景があってこそ、存続するのだ。

 たとえば、SNS発の独自イラストが人気を集めて、そのままキャラクターグッズ化していくケースは今や珍しくない。そこに映像制作や立体化など多様な表現力が掛け合わさると、キャラクター自身が一段と魅力を増し、購入者としては「ぜひコレクションしたい」「関連商品の続報も気になる」といった“推し活”欲求が高まるのである。

“異彩”だからこそ記憶に残る

 ギークピクチュアズは映像制作が得意な会社であり、キャラクターの瞬間的な“魅せ方”を熟知している。だからこそ、「コミミちゃん」の背景や世界観を、短い動画やCM形式でも十分アピールできる。

 そう考えたに違いない。5G 時代で映像に注目が集まる中、今後も独自の映像表現とコラボ企画によって、購入者の気持ちをさらに惹き込む展開が期待できそうである。

 コミミちゃんの持つ異彩さや、そこに込められたストーリー。それは、もしかすると企業の取り組みや CSR(社会的責任)活動とも非常に相性がいいのかもしれない。

 今後、企業が環境配慮をアピールする際に「コミミちゃん」とタイアップすれば、かわいさ・おもしろさ・意義深さの三拍子で広く注目を集められる可能性も否定できない。

危機を乗り越えたからこそ、生き続けるべし

 一度消滅の危機を乗り越えた「コミミちゃん」は、決してきれいごとばかりではなく、“泥臭く”生き残ってきた背景を持っている。だからこそ、「単なるキャラを売り込む」のではなく、本気でストーリーを作り込み、映像やグッズを通してその想いを伝えることができるのだろう。

 いまは SDGs や環境意識が高まり、企業や団体が自分たちの活動をわかりやすく・親しみやすく表現する方法を探している。

 「ゴミ袋の妖精」というインパクトと可愛さを備えたコミミちゃんは、まさにピッタリのアイコン役。そうした背景とメッセージ性を商品にどう落とし込むのか。そして購入者はどのように魅了されていくのか。これからの GEEK WONDERS の異彩なキャラ戦略に期待したいところである。

 今日はこの辺で。

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