母子でシェアする。その発想がキッズ用品を変えた FORNE の挑戦
確かにそうだと思った。母親視点で見たり、それをインテリアの一部として見ると キッズ用品 も実はこれまでとは全く違う価値観を持って訴求できるものなのだなと。僕は思いがけず、「 FORNE 」というブランドに出会って、それを思った。
キッズ用品 に新しい風 FORNE
ん?思わず立ち止まった。この写真を見てほしい。壁に貼る「数字ポスター」と呼ばれる商品であるが、少し子供向けといいつつ印象が違う。
それは、僕らがベビー用品と言われて、まず浮かべるのが淡いブルーやピンクといった色合いだったり、キッズ商品で原色だったりという具合で、知らず知らず子供向けの商材は僕らの固定概念に覆われていたりするからなのではないかと思う。
全くそれとは違うシックな色彩は見るものに違う印象を与えて、その世界観に惹き込まれていく。多くはわざわざそのようなテイストにしない中、「なぜこうしたのか」と思って聞いて納得した。
スタッフの方々曰く「幼稚園くらいの子供の商品に関していうと、大抵、母親とシェアして使うことが多いんです」と。その割に母親がおしゃれだと思うテイストで彩られた商品は少ないというわけである。積極的に母親が使ってみたいという気持ちにさせるという戦略はありそうでない。
生活者目線が共感を生む
それが強いのは、生活に根ざしているからである。そうやって実体験に照らし合わせて「シェアすること」を前提に作られた子供のためのグッズは、全く違う遊び心に満ちた違った次元の商品へと様変わりする。だから、最初、感度の高い人たちの心を掴むが、長く使い続ける工夫も忘れないから、虜になる。
例えば「shoes sticker(くつシール)」で、家の玄関に置いておくと、それ自体がインテリアに見えるだけではなく、あると自然とその上に靴を置きたくなるという人間の心理を逆手に取ったものだ。
つまり、インテリアを通常の観点で見ていれば、こういう発想は湧かない。けれど、子供の多くが家に靴を揃えて入ることはせず、バラバラっと脱ぎ捨ててしまう実態を知る母親目線を取り入れれば、このようにインテリアは全く違う価値を持ったものへと“化ける”。
それが心理的に歓迎される要因は、それを「ダメでしょ!」と怒ることなく並べてしまえることの円満なファミリーのイメージである。女性を中心に支持される理由がわかる。
積み木にしてもそうだ。こういうものは直ぐに使い古してしまうから、買うのに実は躊躇する。であれば、その積み木の6面にその年齢ごとに興味を示す違ったイラストや文字を入れて、「ずっと使い続けたい」そんな気持ちもまた母子共に“シェア”して気を惹くのである。
女性的であって、持続可能な新たなマーケットの誕生である。しかもそれが主婦達同士でそれらをデザインできる人たちが集まり、それを形成してインスタグラムなどでその価値を訴求するうち、商品が売れていったという事実もまた素敵である。
何気ないことだが、ごく当たり前に存在する世の中の商品を違った角度で見てみる。すると、今までとは違った価値をその商品がもたらしてくれる。それは生活をよく知り、それを円満にまとめようとするポジティブな思考によって生まれるわけで、これも「ものづくり」の新しい、そして大切な一面だと僕は思うのだ。
今日はこの辺で。