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お客様の「似合う」を求めて STAFF OF THE YEAR 2024 Grand Prixは誰?

 大事なのは、それが勝負ではなく、お客様にとっての最適。そのための柔軟性なのかなと。そこが明暗を分けたのではないか。僕は、昨日、「STAFF OF THE YEAR 2024(SOTY2024)」のファイナルステージにやってきて、そう思った。約8.5万人の中から選ばれた1,444名のスタッフ。その中で、接客の腕を競い、激戦を繰り広げ、この日、最優秀スタッフが決定した。

壮絶な戦いを乗り越えて辿り着いたファイナリスト

  「『STAFF OF THE YEAR 2024』に、半年間、自分は尽くしてきた」。

 そう語るスタッフ(販売員)もいる。それもそのはず。この戦いは既に2024年6月17日から始まっている。しかも「Round1」「Round2」と二つの関門を乗り越えてたどり着く試練だ。

 「Round1」では、全国7ブロックごとの1位と、全国ランキング上位23名が選ばれる。その総計30名が「Round2」に進出して、更に人数が絞られた方々がファイナリスト。その数、わずか14名である。つまり、この場所にいること自体が、もはや快挙なのだ。

 まず、それを大前提に語らねばならない。讃えられるべき14名なのだ。

 ちなみにその審査の基準は、オンライン接客の実績やSNS活動の実績などの他、WEB投票も重視。広く色々な声を取り入れて、行われている。更にRound2ではリアル接客もポイント化されて、気が抜けない。だから、「自分はここに尽くしてきた」という言葉もうなづける。

 この日、迎えたファイナルでは、アンミカさんをはじめとする、特別審査員とWEB投票の合計点で決定される。審査はステージ上でのロールプレイング。著名な人たちがお客に扮して、彼らにそのファッションのコーディネイトを指南してもらい、その接客している様子が採点されるのだ。

最優秀賞は・・・

 グランプリには、UNITED ARROWS green label relaxing自由が丘店のkurimotoさん(写真左から2番目)。第二位にはビームス新宿のSUDOさん(写真右から二番目)が選ばれた。この二人により、最終決着が行われ、先行、後攻に分かれて、腕を競う。同じお客様を相手に、それぞれが接客を行ったが、素人の僕が見てもkurimotoさんの接客は見事なものであった。

 ちなみに、第3位は、YuKaRiさん(名古屋名鉄 アンタイトル)(写真左端)、第4位:Daijo/ 154cmさん(トゥモローランド 札幌ステラプレイス店)である。

 後で聞かされて、なるほどと思ったのは、今回、実はその戦い方が前年までと戦い方が変わっていること。つまり、ここに差が出たのではないか。いうまでもないが、上記の通り、ハイレベルで去年の優勝者であるnakaさんすら、8位という状況である。

 ただ、明暗を分けたのは、戦い方が前年と異なることによって、浮かび上がったスタッフの柔軟性なのではないかと思うのだ。

 僕は、昨年、一昨年と、この戦いを目にしてきた。けど、語弊を恐れず言えば、いつしか、「戦いに勝つこと」が目的になりつつあったのではないか。そもそも実力者。だから、その上で、過去の戦い方を徹底的に研究し、練習を重ねてきた。だけど裏を返せば、今回のように戦い方そのもののルールが変わることで、その対策に動揺が走る。

ルールが変われど、その目的は変わらない

 そこに躊躇した部分があって、それは、アンミカさんの言葉にも表れているようにも思う。

 接客の会話やコミュニケーションに多くの時間は割かれてしまい、結果として肝心な服の提案や説明が少なくなったのではないかと。その言葉に僕は深く、納得してしまった。

 「ハンガーに並ぶお洋服がもっと自分を紹介してもらいたい!と待っている」

 彼女なりの優しい表現でそれを説明していた。その意味で、kurimotoさんは圧巻の出来栄え。何と言っても、この写真の通り、決勝戦で、全ての審査員が彼女を選んだのだから。

 でも、不思議な話、彼女から感じたのは勝負ではないという感じだったのだ。寧ろ、お客様への最適を考える気持ちと姿勢が強く感じられた。

 1stラウンドの段階で、もう商品を絞り込めていた。だから、余裕を持って2ndラウンドに繋げることができた。時間配分を考え、服の特性に触れながら、靴の提案までしっかりと行えたのだ。お客様のことを第一に考えた接客が、ルールに関係なく、際立っていたように思う。

アンミカさんを救ったカリスマ店員の存在

 それで思うのは、「接客」が何のためにあるのかという本質的なことだ。メディアの会見の前でも、最後のスピーチでもアンミカさんが口にしていた話がまさに「接客が何たるか」を示していた。

 アンミカさんは、自身の若い頃、モデルオーディションに失敗し続けた時のことを話し始めたのだ。

 最後に、パリでのオーディションに落ちた時、トップスに白いTシャツ、黒のロングパンツを着ていた。その際、マネージャーから「白って200色あるのに、なんでそんな顔色が悪く見える白のTシャツを選んだの?黒も300色あるのに・・・」彼女にそう声をかけたのだという。

 そして、こう続けたのだ。

 「自分に似合う白を探すために、日本に帰って、ハイブランドからカジュアルブランドまで、全部のお店に入ってみてごらん。そこで、自分の『好きな服』ではなく『似合う服』を提案してくれる『店員さん』に出会いなさい」。

 行った先のそのお店で素敵だと思う店員さんに声をかけて、「好き」から「似合う」に乗り換えていって、魅力を発見しなさいと。

 そこから、まさにアンミカさんの再出発が始まったのだ。だから実感を込めて「似合うを手にすることができたのは、カリスマ店員さんがいたおかげなのです」と彼女が語った。そして、その提案をしてくれたスタッフとは繋がっている。勿論、その信頼があるから、人として今はそのアパレル店員を離れた今も。

それぞれのお客様にとって最適を

 思うに、仲良く、気持ちのいい言葉を言えばいいわけではない。お客様にとってのベストを真剣に考え、そのために会話を進めて、提案して差し上げる。その姿勢に、接客の意味があるというわけである。

 ここにスタッフの存在意義を感じる。また、ファッションは人を魅力的に見せる素敵な手段である。そのことを実感させるわけで、大変感銘を受けた言葉である。

 さて、これを踏まえて、今回の総括につながるわけだ。その意味で、kurimotoさんについて、声のトーンを抑えながらも、服への愛情を持ってトークを進めていた点を彼女は称賛したのである。

 そして、全体的に素晴らしい接客技術を持っている。ただし、優しさだけでなく、より多くの服を提案しながら接客を行うバランスを取ること。それが、今後のさらなる成長につながると述べたのである。

 お客様にとっての最適を考えて、自らが知恵を働かせること。そのための柔軟性を普段の接客の中で学びとることが大事なのかなと。勝ち、負けじゃない。そこが明暗を分けた。間違いなく、その意味で、kurimotoさんはしっかりとそこを踏まえて接客していたから、なおのこと思う。ブラボー!接客。人の心に寄り添って。

 今日はこの辺で。

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