行ってみた!エンタメの魅力は底なし沼 東急歌舞伎町タワー
大きく振り切ったものだなと思った。「 “好きを極める”場の創出」そう銘打たれて、華やかなスタートを切ったのが、東京・新宿の東急歌舞伎町タワー。いわゆる百貨店などに見られる商業施設とは完全に一線を画した挑戦的な場所。上から下まで参加型に近い、体験寄りな設計で、よりエンターテイメントとしての価値を底上げしようとしている。
入り口からワッショイ!お祭り騒ぎ
そもそも、印象的な造形をしているこの建物は、ホテルとエンターテインメントの複合施設という意味合いを持っている。例えば、入り口付近の一階にはステージがある。音楽イベントなどが行われ、街の賑わいを作り出すというわけだ。
そうやって、人々の関心を惹きつつ、横にあるエスカレーターであがっていくと、エントランスが広がり向こう側がなにやら賑々しい。
煌びやかな近未来なイメージが広がるが、ここは食事のスペース。「新宿カブキhall」とギラギラした妖艶とも思えるスペースで、なんといきなり、魚の解体ショーがはじまった。
出てきた物をただ、食べるのではないのだ。食べることへの付加価値をもたらす工夫で、人々を“体験”させるのである。食べることよりも、食い入るように見ている人の姿が印象的である。
ゲームをちょっと楽しみ、どっとハマる
3階にあがっていくと、UFOキャッチャーで興じる人たちの姿があった。そこは、「namcoTOKYO」であり、一面、様々なアミューズメントゲーム機で張り巡らされている。また、最近、大人にも人気が広がるガシャポン(カプセル玩具)のスペースもあって、こちらは身近なエンタメといった感じ。
それらをぎっしり敷き詰めたという意味で、巨大なゲームセンターであり、これと対照的なのは、その上の新宿ダンジョン。
ダンジョン?と思ってしまうが、ゲーセン的なライトなゲームとは対称に、三階は本格的なダンジョンである。力を合わせて、モンスターを倒して、トラップをクリアするという体験型のゲーム。混雑を避けるために、あらかじめ、プレイした日時を予約できるようにしており、チェックインを果たす。体験をいかに重んじているかが分かる。
シネマも鑑賞ではなく体感
ゆえに、その上の映画館109シネマズ プレミアムも「没入感」が売り。マルチプロジェクションシステムを採用し、映像をフックにそれをベースにいかに、臨場感をもたらす鑑賞ができるかという部分に置かれている。3面ワイドシアターなので、惹き込まれる。
ゆえに、一般価格で4500円からと単価も高い。確かに言われてみれば、単なる映像と位置づければ、ネットの配信で事足りてしまう。それをより自らの体験に近づけていくとなると、このような設計になるのもうなづける。
また、劇場も併設されており、それが、THEATER MILANO-Za。新宿ミラノ座の名前を継承するライブエンターテインメントシアター。ストレートプレイ、ミュージカル、2.5次元系といった幅広い演劇はもちろん、着席スタイルの音楽ライブや映像イベント等、様々なエンターテインメントコンテンツを発信していくのだという。
心身ともに健康に
これだけに止まらない。それ以外にも、ウェルネスエンターテイメントといって、会員制のトレーニングジム「EXSTION(エクジション)」なども用意している。高級志向が徹底されて、プールも備わって、生活に更なるゆとりをもたらす空間である。
JAM17という17階にあるレストランに足を踏み入れても、社交場という位置づけ。ランチで平均2000円以上。歌舞伎町にあるカオスなエンタメを上品に仕上げて、その土地としての価値を上げていこうということなのだろう。
どれだけ振り切るのだろうという印象。変な話だけど、例えば、ここにスーパーなどの必需品などをいれたところで、安易な価格競争に巻き込まれるだけである。ある意味、エンターテイメントは価格が合ってないようなもの。それであれば、とことん、エンタメに振り切り、その深掘りをすることで、お客様を絞り込み、必要なお客さまにとっての拠り所になればいいということだろう。
日本に留まることなく、海外の人も含めて、どれだけ、豊かに使いこなせるだろうかという話なのである。リアルの拠点も新たな様相を見せていると言ってよい。
今日はこの辺で。