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店同士で成長できる 楽天市場 の素地 それが経済圏を活性化する楽天の行動力を加速 Rakuten EXPO 2022

 店舗同士で高めあい成長している実感は、三木谷さんを新たな行動へと駆り立てるのだろう。そして、三木谷さんの行動は個々の店舗単位ではなし得ない「楽天市場」の活性化策をもたらす。楽天グループ代表取締役会長兼社長 三木谷浩史さんが『Rakuten EXPO』で語る内容は、彼らにしかできない未来の提案だなと痛感した。

楽天EXPO 2022 楽天が大胆な投資ができる理由

1.モバイルはプライム会員に相当する

 まず、心の残ったのは「楽天モバイルはAmazonでの“プライム会員”に相当する」という言葉だ。そもそも、通信はずっと繋がるものだから「継続を前提にしたビジネス」。

 一方で、それは同時に今やモバイルが生活インフラとなっているから、あらゆるサービスのインフラでもある。そう考えると、定額で払ってくれていることを担保に、楽天は経済圏をフックに必要なサービスを新たに仕掛けたり、協力を求めていく事ができる。当然ながら、お客さまへの還元の度合いも大きくなるということ。

 それを一言で言うなら、「楽天モバイルはAmazonでの“プライム会員”に相当する」ということになるわけだ。

2.モバイルを土台にした方が顧客も利点が大きい

 そういう意味でもモバイルの価値は高い。ただ、彼が店舗の前でそれを特に強調する理由は、一番恩恵を受けるのが「楽天市場」を筆頭とするECだからというのもある。要は、どのサービスよりも親和性が高い。実際、数字で見ても、モバイルとECのクロスユースが80%にも及んでいる。だから先ほどの話に戻ってきて、ポイント還元の土台をするべき、インフラだということになる。

 また、実際に、一年以上利用したモバイル契約者は「楽天市場」における年間流通総額が54%増。これから彼らが目指すモバイルユーザー2000万人に近づくほど、楽天市場への寄与が大きくなるというわけである。

 さらに、「楽天市場」と同様に「楽天ファッション」や「楽天西友ネットスーパー」なども存在感を見せている。それも、スマホを片手に、お得にそのファッションや生鮮食品などを手にできるからこそ、モバイルとの親和性が高い。言い換えれば、「楽天市場」との相性も良いというわけである。その数字についても下記に示した通りである。

3.ネットの強みでリアルをカバー

 中でも「楽天西友ネットスーパー」においては西友のネームバリューをネットのインフラと結びつけて、2018年8月対比で4.7倍もの成長を見せた。西友リアル店舗と自らの倉庫のハイブリットで出荷体制を整え、品揃えを豊富に、お得に豊富に商品を買えるスーパーとして変身を遂げたのである。ここでの利用者増は再三言う通り、ポイント還元の度合いが高くなる。

店同士で成長できる事が実は強み

1.個性を尊重したから店を讃える土台ができた

 その中にあって、改めて、三木谷さんは「楽天市場」の価値を定義する。単純に「物売りの拠点」だけではないことに触れていてこれは本質を突いていると僕は思った。

 思えば、「楽天市場」というのは、多くのお店を束ねることによって、人が集まり、そこで購買が生まれることによって価値が生まれた。ブレなかったのは、創業時、彼自身が全国の商店に営業したように、地元商店のエンパワーメントを高めようという考え方。結果、店長の顔が思い浮かべやすい。これが思わぬ副産物を産んだように思う。

 繰り返すなら、「楽天市場」が各々の個性を際立たせる、人間味のある集合体であること。

 だから、最初は楽天と店とが向き合いながら、その施策を話し合っていたけど、そのお店が徐々にそこから独り立ちして、自分達の成功の方程式を学ぶに至った。つまり、楽天自体の役割は直接、店舗と細かな施策について話し合うフェーズではなくなってきたということだ。

2.Nationsから巣立つ店舗が出てきた

 だから、Nationsという店舗同士のノウハウの共有会を用意して、それを定着させる。その名前の由来は、united nations(国際連合)で、お互いの価値を尊重し、本気で切磋琢磨できるコミュニティを作っていく。これにより、地域の垣根を越えて、商売を教え合う、商店街が生まれたのである。

 「月商前年対比2倍」を目指す「月商100万円から600万円突破店舗」を対象としたプログラムを筆頭に、これらNationsに関わった店舗数は5799店舗。最近は、新規店舗向けに「Pre-Nations」を開始し、新規店舗の85%が加入する。つまり、楽天市場は売り場であると同時に、コミュニティとしての性質を育てるに至ったと話す。

 確かに、ビジネスとは孤独な側面がある。だから、こういう人どうしの繋がりをフックに、人を育てる動きは大きく、他のモールには見られない傾向だ。これは楽天市場がショッピングモールの先駆け故に得られた立場だろう。僕が知るところでも、少々お節介なくらいの店舗は数多くあるから(失礼)機能するのは納得である。

3.店の個性は楽天の強みになった 

 出店1年以内の店舗の月商100万円到達率は、前年対比8.8ポイント増だとか。また、各年で出店した店舗の3年後の流通総額の合計比較をすると、前年対比で52.2%増にも及んでいるらしい。つまり、新しく入ってきた店舗もちゃんと育つ土台が、店舗同士のコミュニティから生まれるようになったということだ。

 こういう成長の土台を作った上で、楽天自体は、何をするのだろう。特に、投資額の大きいものに着手する。たとえば、物流などのインフラ構築である。続々と全国に物流施設を拡大していて、新たに多摩にも設置すると明らかにした。

個々の店にはできない要素を楽天が担う

1.物流などのインフラに投資

 ちなみに、楽天の変化を受け、店舗として考えるべきは、何だろう。それは今までにも増して「売上」だけではなく「粗利」や「生産性」などへの配慮を現場も考慮する事だ。

 例えば、店舗は商品を絞り込み、必要な商品を集中的に楽天の倉庫に預けた上で、広告施策を打てばいい。それらがすぐにお客様に届いて、ある程度の出荷体制が整っているから、回転率は高くなる。こういう視点を働かせることで、店は楽天を“利用して”もっと成長できる。倉庫自体は出荷業務がメインだから、「すぐに届ける」などの部分には管理が行き届いて、顧客満足度にも直結するというわけだ。

 実際、それらの「楽天スーパーロジスティクス」を利用する店舗数は、5000店舗を突破している。かつ、受注元の楽天市場と、日本郵便との連携が密であるから、同じ楽天市場内で注文される商品が「おまとめアプリ」により、無駄な配送が減少。結果、アプリ利用による不在再配達率は、8.1ポイント減になっているそうだ。

 何気ないところでは、Amazon同様に、「何時までの注文で、最短で何日に届けられるのか」もこれで明示ができるようになっている。つまり、店舗にとっても、物流面で楽天に任せるメリットがより明確に分かりやすくなってきたように思う。

2.配送業者の業務も変えていく

 ECの発展に伴い、日本郵便での構造改革も後押ししている。今や楽天の倉庫から一気に配送先付近の配達局まで直通で行くように変化しつつある。下記を見てほしい。今までは倉庫から地元の引受局へいき、その後、配達区分局へ行った後に、初めて配達局へいっていた。それに比べれば、大きくその工数が削減されていることがわかるだろう。それが結果、店舗の商売のしやすさに直結するわけだ。

 単純にこれだけではないけど、そういう一つ一つの変化が、この日、三木谷さんが「これからは、「あす楽」だけではなく、「きょう楽」の展開も可能にするだろう」という自信を見せる発言へと繋がるわけである。

3.SKU対応で商品管理を柔軟に

 僕が、気になったのは、来年4月から開始する「SKU対応」。SKUにより商品管理のあり方に多様性を持たせて、販売機会を促進するというわけである。例えば、Sは1万1000円、Mは1万1200円、という具合に一律ではなく、臨機応変に価格を変える事が容易になる。

 「サイズによって余ってしまうものもあるだろう」と。サイズの大きい靴など、それでも同じ値段で販売せざるを得ない環境から脱却して、システム面で、それを柔軟に対応できるようにするわけだ。

 需要と供給の関係で、それぞれ同じ量、売れるわけではない。だから、それらによって、価格に差が生まれて、それを反映できるのは、経営上において重要なことだと思う。

 また、SKU単位で定期購入も刷新される。例えば、「薬用マウスウォッシュ」などにおいては、お客様のデータからすると1ヶ月に一度、購入するなどの傾向が見られる。それであれば、それをその商品単位で定期購入での提案をできる。売り方に幅を持たせることで、在庫軽減に対しての意識が徹底されそうである。

 ただ逆にいうと、一律で商品を登録しておけば、売れるという発想から脱却しないといけない。店側には在庫状況、お客様の特性に合わせて生産性の高い店舗運営が迫られていることを意味しているわけだ。

適材適所、それぞれの役目を果たして最大化

 ここまで書いてきたように、リアルのお店の運営における知見も大事になり、サービスの中身も繊細になりつつあるように思う。だからこそ、店舗側も広告、キャンペーンなどの単発で物事を解決することなく、他の店舗の価値観、考え方に学びを得ながら、成長を目指す、そんなフェーズに来たのだと思う。

 ゆえに活きて来る個々の店舗の助け合いにこそ生まれるコミュニティ。個々の店舗では成し得ないグローバルな視野での楽天の経済圏の活性化と、物流などの投資を伴う大きな動き。この両輪が回っていくことで、そのビジネスが盤石になる。

 三木谷さんの表情も心なしか明るいように見えたのは、そこの安定感がある程度、見えてきたからだと思う。これからも恐らく、彼の口から「楽天市場」以外の話題も増えてくるだろう。

 ただ、逆を言えば、それだけ店舗側が成長している証である。三木谷さんが行動力を発揮する度に、個々の店舗単位では話し得ない「楽天市場」の活性化策として、店舗に還元されて、お互いがウィンウィンに機能していくことになるのだろう。

 今日はこの辺で。

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