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リユース が“海外”に渡る 意味 それは 日本の価値の再確認 だ

 価値は決して失われない。 リユース とは中古品を指す。けど、その 意味 は何だろう。僕は、ものの価値が回遊して、世界を駆け巡り、日本の魅力をも実感させうる事なのかも。そう僕が思ったのは、ルーツ・オブ・ジャパン代表取締役 湊 源道さんの“海外”の話を耳にしたからだ。僕は「リユースフェス2021」に誘われ、いくつかのセミナーを見る中で、一番心に刺さったのがそれだった。

海外 展開で リユース が果たす 意味

1.タイ王国のバンコクの地へ

 ルーツ・オブ・ジャパンは北海道を拠点に、リユースに絡む事業をやっていて「モノココ」というリアルのお店などを運営している。ただ、この日、湊さんが話していたのが、日本でのリユース商材が海外へと渡り、そこで外国人へどうやって浸透させていくのかという話である。

 同社では札幌から江別の中間地点に2000坪もの敷地を手に入れて、この一部を「買取センター」にしている。その中古品は、貴金属や雑貨など多岐に及び、大体1kg60円で購入して、そこに集められるのだ。そしてここを拠点にして海外へと渡っていくのである。

 今回、焦点を当てたのはタイ王国のバンコクである。このバンコクの地にも「モノココ」というお店を展開しており、その広さは630坪とかなりの規模である。月間40t以上もの中古品が海を越え渡っていく。

2.コンテナを有効活用して中古品の付加価値に変える

 ではこのバンコクに中古品を送る拠点とはいかに。写真の通り、その広大な敷地内を湊さん自身が歩いてみせて、立ち止まった建物の前で「ここでバン詰めをするんです」と説明してくれた。

 「バン詰め」というのは「コンテナの中に物を詰め込む作業」のこと。そのコンテナの大きさはどのくらいかと言うと、長さ12m、幅2.4m、高さ3m弱。彼らにとってはいかに、この中に効率よく詰め込んで、海外に送り届けるかが重要になる。まるで、ゲームのテトリスのようだ。

 まさにゲーム感覚であり、アイデアマンの湊さんは倉庫一つをとっても着想がユニーク。不思議な形状をしているその倉庫は、コンテナ二つと中古車を会社で購入して、それを繋ぎ合わせたものだそうだ。要は、これによって同じ高さで作業ができるという利点が生まれる。

 トラックの後方部をつければ、苦労なく大きな物をそこに流し込めるだけではなく、小物に関しては仕分けをした後、台車に乗せてそこを通って運び出せば、手間をかけずに常時、詰め込みがしやすくなって、先程のテトリスもうまくいきやすくなる。

価値を見出し、価値をあげるのが彼らの仕事

1.思わぬものも売れていく。決めつけないことの大事さ

 仕分け拠点となる事務所にも潜入すると実に様々なものがあって「え?このようなものも買ってくれるんだ?」という掘り出し物もある。例えばこちら、かつらである。

 気になるコストであるが、海外ゆえそれなりの送料がかかる。実際に、海外の輸送で30万円〜40万円程度の送料に対して、コンテナ一台あたり、150万円程度相当の中古品が入っている。お店で販売される価格はその3〜4倍程度になって、各々利益が生まれる構造が構築されているわけだ。

 絶え間ない工夫の数々であって、コンテナの中身を見れば、例えば、お茶屋などで見かける、茶箱などもある。こういうものも無駄にはせずに、中に小さな雑貨を詰めて、それ自体を台にする。こうやって上に積み上げて、コンテナの天井の高さをフルに活かしているわけである。

2.職人さんの真心は真に国境を越える

 その中には家具などもあって、特に重用されるのは、一昔前の「婚礼家具」である。それは職人の手により一点一点、作り込まれているから、現地でも価値あるものとして受け入れられる。納得。

 中でも食器棚は人気で、例えば、3枚扉の食器は8400バーツ(日本円にして、29400円)と単価の水準も高いのである。

包丁の需要も高いそうだ。

 また、面白いと思ったのはライブ配信である。冒頭話した通り、彼らは「モノココ」というリアルのお店も持っている。特に「円山店」は旗艦店的な役目を果たす大きな規模のお店であることから、ここでの中古品と、ライブ配信で、このバンコク店の常連客に見せるのである。

 それを見て、欲しいと思えば、購入してもらい、それをこのコンテナの中に一緒に入れれば、バンコクのお店で受け渡しが可能である。バンコク店にないものを販売でき、かつ膨大な商品量を誇る円山店の価値を最大化できるわけで、ナイスアイデア、一石二鳥である 

3.なぜバンコクだったのか?

 しかし、そもそも湊さんはなぜ東南アジアの中でもバンコクを選んだのだろうか。その点に関しては、実は彼の想いと考え方にも紐づいていて、興味深かった。バンコクでの出店は彼にとっての念願であった。

 実は、バンコクの地は東南アジアでもハブの場所であって、世界中のバイヤーなどが集まる地域なのである。

 湊さんの会社「ルーツ・オブ・ジャパン」という社名に込められたメッセージは、「リユースのネットワークを世界に広めたい」ということにある。だから、バンコクに集まる世界各国のバイヤーの気持ちを掴み取って、そこから日本の良さを伝えていければ、と思ったというのだ。

4.日本の誇りを知らしめる リユース

 振り返れば、最初の頃、日本のノコギリは売れなかったと語る。しかし「それは引いて使うものですよ」と現地で説明し続けることで、皆がその価値を認識して売れるようになったという。不思議なものだが、その価値を知った人たちは新品を欲しくなるというのだ。

 先程の家具ではないが、職人が丹精込めて作り上げたその想いは、廃棄物として焼却されることなく、きちんと異国の地で受け入れられ外貨を手に入れ、しかも新しい購買意欲をもたらして、職人さんたちの仕事へと還元されるのである。

 すごく印象的だったのは「普段、日本で生活して、当たり前になっているけれど、身の回りにあるものは世界一だらけなんです。特に、僕たちの一つ前の世代までは、本当に優れたものばかりだったので、それを捨てると言うのはもったいないこと」という湊さんの言葉だ。だから、真摯に現地の人と向き合い、その価値を紐解く。

 ものの価値の伝え方は様々あれど、リユースは単純にものを大事にする、ただそれだけことではなくて、日本の“ルーツ”をたどり、またその価値を再認識させるための重要な意味合いも持っているのだと僕は感じた次第である。彼の想いは日本の誇りとして、海を越え、もっと広がることを切に祈る。

 今日はこの辺で。

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