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才能を生かす“ECサイト” の 作り方 ミウラタクヤ商店 の D2C 納得の着眼点

 人それぞれ活かせる才能があり、ゼロから始めても商売にできる時代。でも個々の可能性をどう活かすか、そこがわかりそうで分からない。それで僕はミウラタクヤ商店の三浦卓也さんに話を聞いた。答えの一つとして、“ECサイト” の 作り方 を掴めば、ゼロから少人数で着実に手堅く、才能をビジネスにできると思ったからだ。僕はこれを参考に、もっと多くの才能がビジネスできる世になればと願う。

ECサイト の考え方 とその 作り方

1.小さく初めて、個々の才能をマネタイズできる時代

 三浦さんは「ミウラタクヤ商店」というお店を、自社のECサイトで運営していて、まさに個人で戦っている。そこではダイエット効果も期待できる「バターコーヒー」を販売している。それを支えるのが、月次60%を超えるリピーターの存在であり、つまり、彼は自分の個性とバターコーヒーを販売する「ネット通販」という手段を使って、いわば彼なりに“コミュニティ”を作ったのである。

 ただ、ものを売れば、売れるわけでも、コミュニティが生まれるわけではない。みるべきは、その着眼点だ。僕が三浦さんのやり方で着目した点でいえば、作る前からある程度、全体感を俯瞰していること。実は今から10年ほど前、三浦さんは前職で、美容業界にいて、ネット通販という手段を知っていたので、そこで「健康食品は収益になりやすい」と思ったと話す。

2.「収益」から考える

 収益になりやすい理由は「在庫を多く持たず」に進められるからだと話す。ありがちなのは、商品を安く大量に作って、それありきで売ろうとする姿勢である。でもそれは彼にはなくて、最初から適量生産を頭に入れていた。そして、もう一つ、健康食品の業界では、商品の説明スキルが高かったとも述べていて、この辺はマーケティングの視点に近い。お客様にどうすれば伝わるかの目線が見えていたのではないか。

 また、この説明スキルに関しては三浦さんの強みも活かした格好になっている。以前、三浦さんがサラリーマン時代に売っていたのが、着圧下着であった。ネットで売りづらい商品だったからこそ、逆に健康食品はセオリーさえ抑えればそれと比べて格段に売りやすく、自身の表現力が発揮されることとなったわけである。

3.価値と粗利を見極めて、商売に挑む

 加えて、健康食品は当時、価格が固定化されていて、皆がその中で横一列、勝負をしていたわけで、三浦さんはもっと適正な価格を提案すれば、確実に売れることを予感していた。

 それは単純に「値下げすれば売れる」という次元の話ではなく、消費者にとって適正な価格を提案するべきという考えに基づく。当時、ウェブ上では説明スキルの高さを競い合う中で、企業側は粗利を追うあまり、かつてはそれなりの単価で販売していたのだ。

 だから三浦さんは事業計画に沿った形で、自分もきちんと利益を取りつつ、オリジナルの商品を作って、お客様にとっての適正な価格を設定した。これは逆に言えば、かつてのウェブの健康食品は、長く継続して販売するという視点がなかったということなのではないかと僕は思っている。

 彼がある意味、長期的な視点で、事業計画を組んで、予算を決めていったことがその先の展望を明るくしたのだと思っている。これは、商品づくりの本質だと思う。

ファンを作るのは商品をきっかけに伝える自らの価値観

1.商品だけでは解決できない

 そういう紆余曲折を経て、健康食品に絞り、モールを使うのではなく、自社のECサイト「ミウラタクヤ商店」の開始に至って、真に自分の価値観をブランディングすることに成功するわけである。流行りの言葉で言えば、D2Cということになろう。

 「健康食品が、本来、消費者に対して提供する価値はまずは健康になってもらうこと」と三浦さん。その前提に基づいて、「商品は健康になるための補助」。例えば、痩せたいといったところで、絶対にそれで痩せられるわけではないと冷静に語るのである。

2.接客を通して、商品の果たす役目を補完する

 そこで彼は言うのだ。「現代人の課題として、栄養素が不足していて、だとすれば、代謝を上げるために栄養を摂取すべきであるとか、そこに至る過程を彼がお客様に指し示すことはできる」と。ここに商品だけではない価値がある。これこそが、自社ECサイトならではの着想。お客様と価値観をシェアするのである。

 もうひとつ、彼の中にあったのは「お客様に適切に接すれば、信用されるだろう」という考えだ。実際に、彼自身、自分で10キロ痩せたそうだが、痩せるロジックがわかってくると、何を飲むかよりも、ちゃんとサポートされるかの方が大事だということを実感していたからだ。

 僕が思うのはここの掛け合わせがこのお店の本質だろうと。健康食品を飲むから痩せるのではなく、食生活を改善することに意味があって、そこをお客様に対して、適切に指摘をして、補助としての役目を果たしていくこと、これこそがこの「ミウラタクヤ商店」がやるべき大事なことなのだ。

3.月次のリピートが6割でもはやコミュニティ

 それを踏まえた上での「バターコーヒー」。

 結局、上記の掛け合わせでリピート率が月次で6割である。よく健康食品というと何かと「定期購入」に結びつける文脈があるが、むしろ、彼はそこに対して否定的だ。純粋に、接客を重んじることの大事さを貫いただけのことなのだ。その証拠に当初のリピート率は月次で2割程度であったのが、今では月次で6割になった。

 LINEからの相談も一件一件、対応したし、お客様のためのメルマガを毎日書いている。メルマガの中身もお客様が食生活なり、何かしらの生活の改善をきっかけになることを意識したものであって、あくまで商品自体のことに触れるものではない。彼は価値を提供することを重んじている。

 朝イチでFacebookグループにメルマガの文面を打ち込み、それと同じ内容をブログに掲載する。その内容をまたメルマガに入れて、一方でブログの内容をTwitterとインスタグラムでシェアをしていく。SNSをフル稼働させて今どきでありながらも、本質は向き合う人への意識でアナログかつシンプルだ。

自分の価値を“ECサイト”を通して、可視化してビジネスに

 健康に対しての知識を提供するためにお客様と一体化している。ここが彼が自ら、自分の価値をビジネスに変えた最大のポイントなのである。

 これからは自分の可能性でチャレンジできる時代であるけど、大事なのはこの価値観をファンなりお客様とシェアし、分かち合うことだと思う。別に大きなお金がなくとも、適切に価値を重んじ、そして商品を通して、繋がって、その関係性を深めることである。思うに健康食品ではなくてもきっと可能なはずである。

 自分の価値観で世の中が広がり、自分のこだわりを皆と分かち合うことは、一人一人の人生を充実させてくれるもので、ネット通販という手段は、その一人一人の才能や可能性を今よりきっと羽ばたかせるに違いない。今一度、自分を見直し、ビジネスへと変えていく勇気ある一歩を。

 今日はこの辺で。

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