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ネット通販 が誘う 新しい生活様式 物流 は「無」に近づく

 コロナ禍 であらゆるサービスが“ネット通販”化して、デジタルシフトがどんどん進む。僕は、そこで企業とお客さんを繋ぐ「 物流 」が重要なファクターになっていると感じていて、逆説的な言い方になるが 新しい生活様式 の中でこの動きが推進されるほど、限りなく 物流 は「無」に近づいていくと思った。物流に詳しい株式会社リンクス代表取締役 小橋重信さんと話していて気づいた視点である。

“ネット通販”化して 物流 は 新しい生活様式 のインフラとなる

AWSはwebの敷居を下げて革命を起こした

 重要性が説かれているのに、存在感がなくなるってどういうこと?と思うかもしれないが、小橋さんは、AWSを例に物流の未来を予見していて、非常にわかりやすく感じた。どういうことか。

 小橋さん曰く、元々、AWS、アマゾンウェブサービスが出てくる前までは、企業が自分で自前のサーバーを持ち、例えば、富士通などがそれを個々の企業に合わせてカスタマイズして提供していたのが常識であった。だが、それだと規模が大きくなければならないし、かかる費用も大きかったのも事実だ。

 そこでAmazonはもっと多くの人にWEBを使ったサービスを活用できるようにと、ネット通販で躍進する中で、自らが持つ巨大サーバーの中身を共通化させて、皆でシェアしあうことを提案したわけで、それこそがAWSだ。これであれば、スタートアップであろうが、巨大企業であろうが、皆がそれを使うことできて、ネットの世界がぐんと近くなる。

物流もまたその敷居を下げて革命を起こす?

 そこで彼がいうのは、「実は物流も、ネット通販の躍進をきっかけに、自分達でそのインフラを作ったら、あとは『どうぞお使い下さい』と言って、今よりもっと多くの企業に対して、当たり前のインフラとして提供することは十分あり得るのではないか」ということなのだ。

 しかも、Amazonのレベルまでいくと、IOTで自分達のものが今どこで何をこのトラックに積んでいて、それがどれくらいの容積を持つから、だったら『AさんからBさんに運ぶのに、どれが効率がいいか』と割り出すことも可能である。『明日この便があるから、ここと合わせると効率いいよ』という具合に計算して、どこよりも安く提供することが可能である。だから、多くの企業はそのインフラができれば、それを使って、効率的に進めていく可能性は大いにある。

 今、ネット通販的なものが急激に拡大していく中で、もっといろんな企業がものを受け渡していくビジネスが拡大していく。物流が当たり前のインフラとなるのは急務であり、AWSのように、皆がその仕組みを使うことで生活の質が向上するかもしれないというわけなのである。

ぱっと届けたい相手にすぐ届くことの変化

 これは言われてみれば、確かにそうだ。ネット通販を例にあげれば、その役目は「売ろうとしている人」と「買いたいと思っている人」とをいかに負担なくシームレスに届けるかだから、ドラえもんの「どこでもドア」のようにパッとドアが開いて、そこの先のお客さんに届けられたら、それが理想である。

 コロナ禍 であらゆるサービスが“ネット通販”化しているから、そういう流れはネット通販に限った話ではなく、あらゆる業界にメリットをもたらす。よくメディアなどでAmazonが様々な業界に進出することを指摘するのはこれと無関係ではない。

 例えば、今はネット化が進んでいない医薬品のマーケットなども、医者に行き、調剤薬局に寄って薬をもらって、家に帰ってくる。患者の負担はこういったインフラと組み合わせることで、移動がなくなればそれは軽減する。ここも当たり前に、ネットで右から左と利便性高く、流通すれば、社会は変わる。Amazonはそれを変える可能性持っているということだろう。AWSをやったように。

一方で 物流 は もう一つの時代の流れ 個の尊重と向き合う

 じゃあ、語弊がある言い方で申し訳ないが、世の中はAmazonの手のひらの上で成り立つのか。ここまで時代の流れと予測を話した上で、本来の物流の価値に擬えながら、そうではない道を小橋さんは示唆した。

 どういうことか。そのヒントは原点回帰にある。小橋さんが話したところでは、今までそもそも物流事業というのは、荷主と「運命共同体」で、一社またはグループ会社の中にあった。ただ、選択と集中が叫ばれる中で、マーケティングを含む商流と物流は切り離されて、それぞれが成果を追うようになった。

 ただ、それはマス・マーケティングのもとで数がある程度見込まれる中でこそ、機能した理論ではないかと。今の時代のように小さくとも一つ一つの個性が尊重され、そこに紐づく価値を尊ばれる中においては、本来の物流が果たしてきた「一体で考えて」その価値を生み出すことに重きが置かれるべき。だから、切り離されるべきものではないと指摘するのだ。なるほど。

運命共同体だからこそ、顧客のエンゲージメントを高められる

 例えば、在庫が多くなって、その回転率が悪くなったからと言って、通販企業はクーポンを配って売上を上げるということはある。ただ、波動(一時的に膨らむ物量)が大きれば、物流の固定費をあげなければいけない。それより皆でいかに平均的に物を売っていくかの方に視点を向けるべきだが、これがそれぞれ切り離されていると意識が向かないわけだ。

 お客さんの満足度を高める為に物流側が尽力する、それが彼らの目的なのだが、切り離されていると、単体で利益を負わなければいけない方が先に立ってしまい、結果、満足度の高い行動を現場が取れないことになる。いくら現場が顧客思いの行動をしていても、物流会社として評価は売上を上げているかどうかに置かれてしまう。ここに矛盾があると指摘するわけだ。

 今のように、生産側の利益の中に、物流のコストを織り込みながら、物流側から荷主に指摘をする。また荷主もそれに合わせて、通販そのものの姿勢を正す必要があって、その代わり、物流側も荷主がそこで「よし」とする環境を長期的視点に立って投資していく。こうして、お客さんの満足度とそのアライアンスにとっての利益とが同じ方向を向くことになり、荷主の通販企業などが長く愛される企業が存続して行くことになるのではないかと。

縦割りではなく世の中の仕組みを強みに変えられる発想を持つ事が大事

 先ほども話した通り、世の中がもっと便利になっていく過程の中で、物流はその存在感のない「無」になることも大事であり、それだけ当たり前のインフラとなることは重要だ。

 その一方で、必ずしもそれが全ての企業に適合するというわけでもなさそうに思う。これからニッチでも個性が多く認められる世の中で、本当にその差別化を負う過程で、一体で捉えて、どうあるべきなのかを運命共同体で考えていく先に、実は本当に、ふさわしいお客さんに満足度を与える、通販会社となれる答えがあるようにも思うのである。

 どちらも正しい。あとは、企業のポリシー、生産性などを加味して、どのやり方を自分たちにどう取り入れることが自分たちの企業価値を上げていけるかなのだと思う。2021年、これが大事なのではないか。いずれにせよ、「無」に近づけることでその価値を発揮する物流を、逆に、荷主側が今まで以上に考えて選択することが大事なのかもしれないなと。これからの企業の成長は、あらゆることを強みに変えていける体制と、そういった要素を取り込める、視野の広さが大事なのだと僕は思った次第だ。

 今日はこの辺で。

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