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AWSを紐解きつつ来たる物流の大変化を考える 2024年問題考 通販物流をどう味方につけるか?

 昨今、「2024年問題」が叫ばれている。これは2024年4月1日以降、自動車運転業務の時間外労働時間を960時間とする規制が設けられることによって生じる問題の総称だ。改めて、物流の向き合い方を考えるべき時が来ていて、先日も、ヤマト運輸がクロネコDM便のサービスをに終了して、日本郵便に委託するなんてニュースが出たばかり。その時代にあって、小売店やメーカーの意識に何が必要なのだろう。

物流は一層、生活 のインフラへ

1.AWSはwebの敷居を下げて革命を起こした

 今一度、ここで整理をしたく、リンクスの小橋重信さんのコメントをここにあげようと思う。その物流に関する問題が、深刻化する背景には、物流自体が「無」になったと等しいくらいに存在感を感じさせない「当然のインフラ」になっているからなのですと。当然にして、物流は今以上に無に近づいていく。 

 どういうこと?これはAmazonの「AWS」で例えると実にわかりやすい。

 元々、AWS、アマゾンウェブサービスが出てくる前までは、企業が自分で自前のサーバーを持っていた。例えば、富士通などがそれを個々の企業に合わせてカスタマイズして提供していたのである。それが常識であった。だが、それだと規模が大きくなければならない。かかる費用も大きかったのも事実だ。

 そこでAmazonはもっと多くの人にWEBを使ったサービスを活用できるようにと考えた。そこで、ネット通販で躍進する中、自らが持つ巨大サーバーの中身を共通化。皆でシェアしあうことを提案したわけで、それこそがAWSだ。これであれば、スタートアップであろうが、巨大企業であろうが、皆がそれを使うことできる。これからネットが成長していかなければならない中で、ネットの世界がぐんと近くなる。

2.物流もまたその敷居を下げて革命を起こす?

 そこで彼がいうのは、「実は物流も、ネット通販の躍進をきっかけに、自分達でそのインフラを作ったら、あとは『どうぞお使い下さい』と言って、今よりもっと多くの企業に対して、当たり前のインフラとして提供することは十分あり得るのではないか」ということなのだ。

 しかも、Amazonのレベルまでいくと、IOTで自分達のものが今どこで何をこのトラックに積んでいて、それがどれくらいの容積を持つから、だったら『AさんからBさんに運ぶのに、どれが効率がいいか』と割り出すことも可能である。『明日この便があるから、ここと合わせると効率いいよ』という具合に計算して、どこよりも安く提供することが可能である。だから、多くの企業はそのインフラができれば、それを使って、効率的に進めていく可能性は大いにある。

 今、ネット通販的なものが急激に拡大していく中で、もっといろんな企業がものを受け渡していくビジネスが拡大していく。物流が当たり前のインフラとなるのは急務であり、AWSのように、皆がその仕組みを使うことで生活の質が向上するかもしれないというわけなのである。

3.ぱっと届けたい相手にすぐ届くことの変化

 これは言われてみれば、確かにそうだ。ネット通販を例にあげれば、その役目は「売ろうとしている人」と「買いたいと思っている人」とをいかに負担なくシームレスに届けるか。だから、ドラえもんの「どこでもドア」のようにパッとドアが開いて、そこの先のお客さんに届けられたら、それが理想である。

 コロナ禍 であらゆるサービスが“ネット通販”化している。ゆえにそういう流れはネット通販に限った話ではなく、あらゆる業界にメリットをもたらす。よくメディアなどでAmazonが様々な業界に進出することを指摘するのはこれと無関係ではない。

 例えば、今はネット化が進んでいない医薬品のマーケットなども、医者に行き、調剤薬局に寄って薬をもらって、家に帰ってくる。患者の負担はこういったインフラと組み合わせることで、移動がなくなればそれは軽減する。ここも当たり前に、ネットで右から左と利便性高く、流通すれば、社会は変わる。Amazonはそれを変える可能性持っているということだろう。AWSをやったように。

 物流に関する問題を飲み込んで、彼らは独自のインフラを作り、その中でやればいいじゃないかというのは間違いないだろう。

一方で 物流 は もう一つの時代の流れ 個の尊重と向き合う

1.アマゾンの掌の上が安全牌?

 では、語弊がある言い方で申し訳ないが、世の中はAmazonの手のひらの上で成り立つしか道はないのか。そこで、敢えて、そうではない道を小橋さんは示唆した。ここまで時代の流れと予測を話した上で、本来の物流の価値に擬えながらこう言ったのである。

 そのヒントは原点回帰にあると。小橋さんが話したところでは、今までそもそも物流事業というのは、荷主と「運命共同体」で、一社またはグループ会社の中にあった。ただ、選択と集中が叫ばれる中で、マーケティングを含む商流と物流は切り離されて、それぞれが成果を追うようになった。

 ただ、それはマス・マーケティングのもとで数がある程度見込まれる中でこそ、機能した理論ではないかと。今の時代のように小さくとも一つ一つの個性が尊重され、そこに紐づく価値を尊ばれる時代。その中においては、本来の物流が果たしてきた「一体で考えて」その価値を生み出すことに重きが置かれるべき。だから、切り離されるべきものではないと指摘するのだ。なるほど。

2.運命共同体だからこそ、顧客のエンゲージメントを高められる

 例えば、在庫が多くなって、その回転率が悪くなったとしよう。だからと言って、通販企業はクーポンを配って売上を上げるということはある。ただ、波動(一時的に膨らむ物量)が大きれば、物流の固定費をあげなければいけない。それより皆でいかに平均的に物を売っていくかの方に視点を向けるべきだが、これがそれぞれ切り離されていると意識が向かないわけだ。

 お客さんの満足度を高める為に物流側が尽力する。それが彼らの目的なのだが、切り離されていると、単体で利益を負わなければいけない方が先に立ってしまう。結果、満足度の高い行動を現場が取れないことになる。いくら現場が顧客思いの行動をしていても、物流会社として評価は売上を上げているかどうかに置かれてしまう。ここに矛盾があると指摘するわけだ。

 今のように、生産側の利益の中に、物流のコストを織り込みながら、物流側から荷主に指摘をする。また荷主もそれに合わせて、通販そのものの姿勢を正す必要があって、その代わり、物流側も荷主がそこで「よし」とする環境を長期的視点に立って投資していく。こうして、お客さんの満足度とそのアライアンスにとっての利益とが同じ方向を向くことになり、荷主の通販企業などが長く愛される企業が存続して行くことになるのではないかと。

3.縦割りではなく世の中の仕組みを強みに変えられる発想

 世の中がもっと便利になっていく過程の中で、物流はその存在感のない「無」になることも大事。それだけ当たり前のインフラとなることは重要だ。ただ、その一方で、会社によっては製・販・物流を一体で捉えることで、会社自体の生産性を高めていくことも大切。なぜなら、それ自体が、商品の差別化要因になるからである。

 だから最初のうちはそのAmazonのインフラに乗るのもいいだろう。でもやりつつける中で、イレギュラー対応が必要になる時が来る。それは企業がより、個性を追いかけ、独自性を持つにつれ、当然にして生まれること。

 だから、そのフェーズまで来た時には、そこに依存してはいけない。

 成長に合わせる形で、物流を含めた生産体制を作って、利益率を高めていくビジネスを模索していくことが極めて大事になっていくということなのである。そこで、ちゃんと物流が抱えるコスト高に向き合いながら、自分たちの付加価値との間で、生産していく努力することが大事だ。原点回帰が、大事な理由は、そこにある。そういう全般を見据えた視野の広さなしには、社会情勢の変化には即応できないのである。

 今日はこの辺で。

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