ネット通販 が躍進する程 宅配クライシス が深刻になる理由
ネット通販が日常となったことで、ビジネスの根幹部分でそれを活用することが当たり前になってきています。このネット通販の急成長に、物流(宅配/配送)の環境が逼迫し、そこでヤマト運輸がこれを契機に、“宅配クライシス”といって問題提起するようになりました。それで、出荷量の制限や、配送料の高騰を招いて ネット通販 などの 小売 を悩ませています。今やこの物流の問題は小売の問題でもあり、皆で解決しなければならない問題になっています。
宅配クライシスの原因〜小売全般 ネット通販 はどう向き合うべきか
まずことの発端を探るべく、その宅配便の取り扱い個数から説明しましょう。今やその宅配便の取り扱い個数は、42億5100万個(平成29年度:国土交通省調べ)で(前年対比105%)にも及んでいて、下の数はそれを具体的に書き示したものになります。
これが年単位でどれだけ伸びているのかをみてみると、こちらは折れ線グラフで示したものですが、今の数が多いだけではなく、その伸びは右肩上がりで増えていることがわかります。
宅配クライシスは、ヤマト運輸 の 環境改善への主張から始まった
このような状況の中で、ヤマト運輸が宅配における環境改善を訴えるべく、ヤマト運輸の労働組合が、2017年の春季労使交渉において、「宅配荷物総量をこれ以上増加させないこと」を要求した、とマスメディアなどが報じました。いわゆる「宅配クライシス」です。具体的には、宅配作業員の人手不足、長時間勤務は慢性化の一途を辿っていることから、声が上がったわけです。現に、こちらを見れば、配送の数が増えているとともに、元から「クロネコヤマト」のシェアは大きい上、ヤマトの占める割合が増えていることに気付きます。企業として、人的リソース不足と採算性の必要性が問われたわけです。
そこで、ヤマト運輸をはじめとして、取引先の制限と配送価格の高騰が生まれており、そこに関わる企業のビジネスの中身が変わり始めるわけです。当然、小売店は仕入れ値や製造原価に、この高騰した配送料が上乗せさせられますから、粗利が減って、苦しい立場になります。小売のそもそもの構造についてはこちらで確認してみてください。
楽天など、配送企業以外も配達/倉庫に進出
そこで、最近は楽天などが物流に関わると言うようになりました。もともと、楽天は物流に関してのプロではありませんから、疑問視する声もなくはないのですが、一理あるともいえます。
それは物流会社を取材してみて口を揃えていうのが配送会社の「ドライバー不足」ということで、この難しさは、配送会社側から、ネット通販の都合で、出荷数が増減するので、確実にそのタイミング、必要はドライバーの数を断定できないところにあります。だから、最初から預かる量を制限し、その中の人員と機能で生産性を高める動きになりますが、それでは小売店の出荷数の増大に答えることができなくなります。だから、下記の図のようになります。
荷物の出所である、ネット通販の受注予測ができるのは楽天のような小売のプラットフォーマーなので、そこが自らお客様の状況(キャリアウーマンだから日中は受け取らない、宅配ボックスでも可能など)という状況を把握して、配送から物流に至るまでの流れを効率化できる、というわけなのです。プラットフォーマー以外にもシステム面から、アプローチして現場目線で、効率化を図る動きもあって、いずれにせよ技術革新とともに、この問題をどう乗り切るかが急務となっています。
再配達問題にも新たな価値観でのぞむ
これが宅配クライシスと同時に問題となった、再配達問題にも応えることができるとしています。国土交通省が2015年に行った「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」によると、宅配便の約2割が不在再配達となっているという事実であり、これを配達員であるトラックドライバーの労働時間に換算すると、年間約1.8億時間、年間9万人(ドライバーの約1割)に相当する労働力となる。なので、ここの部分をいかにして解決するかは、社会問題にもなっていました。
そこにも、こういった新規参入組が、従来の配達形式に囚われず、手渡しなどではなく「置き配」などの対応を徹底することで、問題を解決しようというわけです。今後、配送業者はその意味で、ネット通販の企業との連携は、自らの企業の生産性を高める上で、欠かせない要因となっていて、今後その連携を含め、物流そのものの環境改善がどう進むかが、これらの問題に応える上で、重要な要素になります。