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XZ クローゼット アプリ が開拓するまったく新しい購買シーン

 「ものを買う」という行為が、いま大きく変わろうとしている。インターネットの力、とりわけXZのようなデジタルサービスによって購買行動そのものが再定義されている。そして、何より、そこに市場も大きな関心を寄せているのだ。こうした背景のもと、STANDING OVATIONは株式会社ジンズホールディングス(JINS)や株式会社トレジャー・ファクトリーなどから増資を受けた。加えて、Webメディア「lamire(ラミレ)」の事業譲渡により、総額2億円規模の資金調達を実施した。

 同社は「XZ(クローゼット)」というアプリを軸に、新しい購買シーンを創出している。この資金調達を発表した当日、代表取締役の荻田 芳宏さんに直接お話を伺った。

 「なぜXZが“ものを買う行為”そのものを変えていくのか」。それを紐解いてみたいと思う。

ものを買うキッカケが変わる

 繰り返しになるが、「ものを買う」という行為は急速に変化している。

 人々は何がきっかけで購買を決断するのか。それは、売り手側の視点から見ても、その予測がいままで以上に難しくなっている。だからこそ、商品そのものに焦点を当てるだけで事足りなくなるだろう。顧客の望みをより深く引き出し、顕在化させる取り組みがますます重要だ。

 そこで注目されるのが、「XZ(クローゼット)」なのだ。STANDING OVATION が提供しているオンライン上のクローゼットサービスである。

 ユーザーが持っている手持ち服をアプリに登録。いつでもどこでも“自分のクローゼット”を携帯できる。このサービスにはすでに1,700万点を超える手持ち服データが登録されている。いわば巨大なファッションデータプラットフォームでもある。

 ここで鍵となるのは、こうしたビッグデータが「新たな購買のきっかけ」を生み出す可能性を秘めていることだ。既存の服との組み合わせを考慮しながら新しい服を選ぶ。あるいは、よりコーディネートを意識したうえで購入をする。そんな文化が、XZによって促進されようとしている。

 今回、JINSとトレジャー・ファクトリーが出資に踏み切ったのも、そこだろう。このファッションとテクノロジーを融合させた「新たな文化」の可能性を高く評価したのではないかと思う。

どのように購入シーンが変わるのか?

 近年、小売店は、XZの仕組みを活用して、さまざまな小売企業の購買体験そのものを進化させようとしているのだ。たとえば、あるECサイトで赤いスカートを見つけたとしよう。

 そのスカートが自分の手持ちのトップスやシューズとどのように組み合わせられるか。この「着回しイメージ」をXZのデータが自動で提示してくれるのだ。

 流れはシンプルだ。ECサイトで商品を選ぶと、XZがユーザーの手持ちアイテムを一覧しながら、「このスカートなら、あなたのワードローブにあるトップスAやアウターBと合わせてこんなコーディネートが楽しめる」といった具体的な提案を行う。

 これは購買を後押しする有力な決め手となる。何より、購入後の顧客満足度も高める要因になるはずだ。

 さらにXZは、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ構想も進めている。リアル店舗での購買体験にもこの仕組みを導入し始めているのである。

 すなわち、ユーザーが手持ちの服のデータを元に、その場で店員からコーディネートのアドバイスを受けられるようになるというわけだ。そうすれば、よりパーソナライズされたショッピング体験が広がるだろう。

メガネのJINSなどがこの可能性に注目し出資

 メガネを中心に販売するJINS(株式会社ジンズホールディングス)がこのXZの取り組みに注目したのも、そこだ。顧客一人ひとりに最適なメガネを提案する。そのうえで、ファッションデータとの連携が生きると考えられるからである。

 たとえば「自分の持っている服やアクセサリーに合うフレームはどれか」「ワークシーンとオフの日で、レンズの色やデザインをどう使い分けるか」など。洋服と同じようにコーディネートの文脈でメガネを選ぶ時代が来るかもしれない。面白いではないか。

 だから、出資に踏み切るのはごく自然な流れなのかもしれない。データの取得が容易になりつつある今。だからこそ、そのデータを活用して顧客をより深く理解し、満足度の高いショッピング体験へとつなげていくことが重要だ。

 彼らのサービスはそのきっかけとなるから、未来へとつながる。

 今回の資金調達を受けて、さらにAIの精度を高めるなど、データ活用の幅を広げる計画だという。より高度なレコメンド機能や、ライフスタイル全体を見据えたファッション提案が行われる未来も遠くないだろう。

未来の購買シーンを創造する意義ある取り組み

 STANDING OVATIONが突き進む「新たな小売のかたち」。それは、これまでの「売り手」と「買い手」が向き合うだけの関係に留まらない。もっと踏み込んで、顧客とテクノロジーが共創する新しい文化を育てる力を持っている。

 オンラインとオフラインをシームレスにつなぎ、ユーザー一人ひとりのワードローブをリアルタイムで可視化し、最適な買い物をサポートする。

 これはアパレルだけではないだろう。メガネやシューズは勿論、家具や家電といった領域にも応用可能ではないか。

 データとAIが進化するにつれ、私たちの購買体験はさらに多様化する。そして、パーソナライズされていく。その変化を主導するXZは、単なるアプリという枠を超えていく。なぜなら、それらのデータにより、ライフスタイルの根本をより豊かにするプラットフォームになりうるからだ。

 また、資金面でも支持されるのは、まさに「未来の購買シーン」を見据えたサービスだからこそ。荻田さん率いるSTANDING OVATIONの挑戦は、業界や企業の垣根を越えて、私たちの生活のあり方そのものをアップデートし続けるだろう。

 その意義深い活動を、いまこそ讃えたい。

今日はこの辺で。

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