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ワークマンの進化|Workman Colorsが描く地方市場戦略と成長の本質

 ワークマンは、もはや単なる作業着のブランドではない。機能性ウェアの革命児として職人たちの現場を支えてきたその存在は、今や一般消費者にまで広がり、日常に根付くブランドへと進化している。この度、「#ワークマン女子」は「Workman Colors」へと改名し、地方市場に向けた大胆な戦略を展開する。なぜ、いま「Colors」へと変わるのか? そして、その背景にはどのような戦略的な意図があるのか?

 ワークマン 執行役員の大内康二さんの話を聞いて、ある確信を得た。成長の背景にある「ワークマンプラス」や「#ワークマン女子」、そして(過去の)「Workman Colors」すらも、ある意味では実験の積み重ねに過ぎなかったのかもしれない。すべてが計算され、積み上げられた布石だったのか・・。カジュアル市場への華やかな参入も、あくまでその時々で「手堅く」ワークマンの強みを活かすための戦略だったのだ。

第1章:ワークマンの「原点」と「進化」

転換期を迎えた戦略の背景

「単なるブランドリニューアルではありません。ワークマンが培ってきた歴史の中での大きな転換点です。」

 大内さんの口から発せられたこの言葉。そこには、これまでのワークマンの歩みと、新たな方向性への強い意志が込められていた。

 ワークマンは元々、作業服の専門店としてスタート。職人たちが必要とする機能性ウェアの提供に特化していた。しかし、2018年に「ワークマンプラス」、2020年には「#ワークマン女子」を展開し、一般消費者向けの市場へと踏み出した。それにより、作業着としての枠を超え、アウトドアや日常使いにも適したアイテムが次々に誕生していった。

 しかし、この拡大は同時に「ワークマンの本質」との葛藤も生み出した。

 「#ワークマン女子」の展開により、徐々にタウンカジュアル寄りのアイテムが増えていき、本来のワークウェアブランドとしてのアイデンティティが薄まりつつあった。

 そこで、ワークマンは戦略を再考し、ブランドの役割を明確に分けることを決断した。それが、今回の「Workman Colors」への進化である。

・2つの要点

 シンプルに言って、下記の二つが今回の要点である。

• 「ワークの強靱化」

 作業着としての機能性をさらに高め、本来のワークマンのDNAを継承。特に、インナーや羽織りものといったコーディネート要素を強化し、作業着の実用性を向上させる。

• 「普段着の拡張」

 一方で、普段着としてのワークマンは、より幅広い客層へ向けた展開を進める。機能性とデザイン性を兼ね備えたカジュアルウェアを提供し、ワークウェアに馴染みのない層にもリーチする。

 ただ、僕はそこに至るまでの経緯が知りたくて、大内さんに話を聞いたというのが本音。だから、丁寧にその過程を追いかけつつ、どうやって今へと至るのか。大内さんの話を聞きつつ、考察を交えて書いたので、見て欲しい。そこに彼らのなりの矜持が見られる。

第2章:「仮説」としてのワークマン女子

 ワークマンは元々、機能性ウェアを求める職人たちのためのブランドだった。しかし、2018年に始まった「ワークマンプラス」は、一般の消費者にもその機能性を届けるための第一歩を踏み出す試みだった。そして、その流れの中で誕生したのが「#ワークマン女子」だ。

 当時、「#ワークマン女子」の戦略は 「コーディネートで見せる」 というものだった。つまり、実際のところ、店内に並ぶ商品はワークマンプラスとほぼ同じ。外見の印象や打ち出し方を変えることで、女性にも響く形にしたのだ。

 だから「生産性が高い」と、僕は思った。

 ワークマンの強みである機能性ウェアのラインをそのまま活用しつつ、新しい市場へと広げていく。そもそも、機能性のウエアは、その時々で廃れることなく、5年は当然に売れ続ける。だから、このやり方は、在庫リスクを考えると、ブランド戦略として理にかなっている。

 しかし、数年が経つにつれ、ワークマン女子には変化が訪れていた。

 実は、その裏側で、ワークマンは新たな仮説を試していた。それを大内さんの言葉から読み取った。つまり、実は、「#ワークマン女子」独自の機能性商品を開発し、投入し始めていたのである。その結果は、上々だったとか。市場はそれを求め、実績が積み上がっていった。

 ただ、それだけでは限界があった。「#ワークマン女子」の世界観だけでは、すべての消費者に届ききれない。 そうした中で、新たな試みが始まる。

第3章:(旧)Workman Colors の試みとトレンドの融合

 一方で、「#ワークマン女子」とは異なる動きを見せたのが、(旧)Workman Colors だった。

 このブランドの最大の特徴は、「トレンドを迅速に取り入れる」ことにあった。SHEINなどの台頭が影響しているのはいうまでもない。生産工場とタッグを組んで、迅速にその時の売れ筋を商品化していった。それをワークマンも見逃さなかった。

 つまり、従来のワークマンの商品が大量生産であるのに対し、(旧)Workman Colors は 500個単位 の小ロット生産で市場の反応を探る仕組みを取り入れていた。

 つまり、「#ワークマン女子」とは、まるで真逆の手法。

 しかし、いま思えば、この二つは決して対立するものではない。むしろ補完関係にあった。

 #ワークマン女子は、機能性を軸に定番化した商品群を持ち、(旧)Workman Colors は流行を取り入れながら柔軟に市場と向き合う。この両者のアプローチが、それぞれの限界を超えるためのヒントになっていたのだ。

第4章:「スケール」への決断―新しい Workman Colors という統合ブランド

 ワークマンは、ここで大きな決断をする。

 ワークマン女子と(旧)Workman Colors を統合し、より広い市場へと展開する。

 これまで培ってきた「#ワークマン女子」の機能性と、(旧)「Workman Colors」 のトレンド要素を組み合わせる。そうすることで、いよいよ作業着ではない“カジュアル”な商品ラインを一本化することができた。

 これは、同時に原点回帰を意味する。

 それが別のラインとして確立されれば、作業着の方をより手厚くできる。また、昨今、作業着においても、カジュアル化が進んでいると、大内さんはいう。

 カジュアル化が進めば、作業着よりも機能性は薄くなる。けれど、この新生“Workman Colors”のほうに男性のそれらのラインを組み込めば、完全に峻別できる。だから、それは原点回帰を意味して、作業着を愛する現場の人たちの声にも応えることになる。

 いわば新生Workman Colors は、単なる「女性向けブランド」ではなく、男女問わず快適な普段着を提案するブランドへと進化させた。そうすることでワークマンはスケールできる手段を手にしたのである。

 男性も女性と同じく、一部のトレンド商品と、じっくり着こなす機能性商品の両面で、それらを構成する。だから、トレンドで惹きつけて、店にファンができれば、今度は、その機能性の方の商材が、安定した売上をもたらす。これまでの動きも、仮説だったかのようにも思えてきた。

第5章:新たな市場へ――新しい Workman Colors が目指すもの

・地方の戦略を再定義

 そして、もう一つの論点がある。それが「地方市場の開拓」だ。従来、ワークマン女子は都市部を中心に展開してきたが、ワークマンは地方にも大きなポテンシャルを見出している。

「都市型の消費者とは違い、地方では日常的に快適な普段着が求められている。そこで、より実用的なカジュアルウェアを提供することで、地方市場での新たなシェアを狙う。」

 この戦略の背景には、地方ではファッション性よりも機能性が重視される傾向があること、また、男性客の集客が難しかった市場で新たな需要を掘り起こしたいという狙いがある。

 つまり、地方市場においても「快適な普段着」を核とした新たなスタイルを提案。ワークマンの新しい未来を築こうとしているのだ。

・#ワークマン女子の看板を外す意味

 また、地方では、女性客だけでは回らないという実態もありそうだ。だから、ワークマン女子という看板を外し、より幅広い層にリーチできるブランドへと変える。それは男性を加味する理由にもなる。

 繰り返しになるが、「ワークマンプラス」や「#ワークマン女子」は、これまで都市部の商業施設を中心に展開されてきた。しかし、ワークマンは次の成長フェーズとして地方のロードサイドへの進出を見据える。

 一部、トレンド要素を取り入れながら「普段着としての機能性」 が求められるアイテムを充実させているから、それは伸び代となる。男女ともに。そして、そこに集まる層が30代〜40代という点を踏まえて、新生“Workman Colors”には、キッズコーナーも用意している。

 ワークマンはそうしたニーズを捉え、地方市場においてもシェアを広げようとしているのだ。

結論:仮説の積み重ねが生んだ、新たなワークマンの形

 数々の仕掛けは、偶然の産物ではなく、今へと至る必然だったのかもしれない。

 「#ワークマン女子」という仮説から(旧)Workman Colors という実験を経て、最終的には新たなブランドとしての確信へ。

 そう考えると、これは、単なるリブランディングではない。ワークマンが次のステージへとスケールするための必然的な流れだったのだ。

 小さく収まるつもりはないのだろう。

 恐らく、手堅く今までのままでも、十分、その存在感は示せていただろう。でも、彼らはしっかりスケールを意識している。だからこそ、その手堅さで、数々の取り組みを通して、新市場での仮説を立てた。そして、確固たるカジュアルラインを見出したから、作業着とは別に軸にしてみせた。

 ここまでの筋書きはよくできている。だが、果たして、それが吉と出るかはこれからだ。

 ブランドを新しくするだけではなく、彼らの戦略自体も変わってくる。市場の変化を見極め、消費者のニーズを先回りしながら、手堅く、しかし大胆に舵を切る。それこそが、ワークマンというブランドの進化の本質となる。だから、面白い。大内さんの話を聞きながら、僕の考察を交えて書いた次第だ。

 新生 Workman Colors という新たな世界もまた、仮説なのだろうか。彼らはまた新たな仮説を試し、次の成長へと向かっていくのだろうか。

いずれにせよ、また僕らの想像を超えたもので驚かせてくれるに違いない。

 今日はこの辺で。

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