コルク栓 積み木となって再生 大人から子供のお供へ
10年後の未来を見た時に、これまで当たり前に目にしていた素材が全く違った形で存在感を示していることがありえるのだろう。コルク栓という素材で、十年間、再利用の可能性に挑み続けたTOKYO CORK PROJECTの思いを僕は聞いて、感慨に耽った。
コルク 再利用にかけてきた10年
1.積み木として再生
この手の商品は、無駄にしないようにと言ってもそれが押しつけではなく、自然な形で、僕らの生活に入ってこなければ受け入れられない。それなりの工夫とアイデアが大事。だからこそ、彼らから学びが得られるだろうと思って、話を聞いてみたのである。
TOKYO CORK PROJECTでは、多くの飲食店からコルクを集めて、素材を生かして商品化していく活動をしていてその期間は約10年を経過した。こちらが、そのコルクで作った「積み木」である。
2.デザインから導入して問題意識を訴えかける
戦略としてはまず洗練されたデザインで勝負。おしゃれなファミリーに訴求し、見た目で気に入ってもらった中で、その問題意識に訴えかけて、買うことの意義を説いているわけである。
そもそも、コルクの生産というのは、ポルトガルやスペインなどがメインであり、一般的には輸入に頼らざるを得ない素材である。
そのくせ、栓として使われた後は、殆どがすぐに捨てられる。輸入にかかるエネルギーを削減したいのと、輸入してまで取り入れたこの素材を、もっと有効活用するべきではないか、というのが原点にある。
3.積み木などで再利用する理由
でも、実はコルク栓を再利用してコルク栓にすることは難しかった。それは衛生面からして適切ではなく、そのハードルを越えるにはコストが見合わないから、デザイン性と再利用とを掛け合わせて、遊具、積み木という着想に至るわけである。
とは言え、昨今のようにSDGsの追い風がない分、その10年の道のりは長く遠い。ただ、意味のあるものだったと振り返る。デザイン性と再利用とを掛け合わせて、遊具となったことで、逆にコルクとしての幅が広がった。デザイン性によって洗練された雰囲気は、ポジティブにその問題に関心を抱かせる。
そう思うと、まだまだ廃棄されるなどしている素材はあるはずで、それがそのまま伸び代になる。それが僕らの知らないところで廃棄されている分だけ、逆に、未来においての商品企画に繋がるものもある。未来を思えば、そこへの意識を働かせておくことの意味を思う。
今日はこの辺で。