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AI を活かす ロビット の知恵 “外観検査”に悩む工場を救う

 このロビットに訪れた理由は、僕自身の「ものづくり」への想いがきっかけである。日本において衰退している製造業が少しでも復活の狼煙を上げられないか。そう思っていたら、このロビットの菊楽善子さんが「ロビットこそ、ものづくりの現場を救っている」と胸を張って見せた。だから、やってきたのだ。

素人目では難しく過酷さを伴う 工場の 外観検査

1.不良品を探すのも一苦労

 では彼らは、工場における課題として何に注目したのか。それが外観検査である。一言で言うと、不良品を防ぐチェック。この日、ロビットの代表取締役 新井雅海さんが見せてくれたのは、車の部品である。

 傷があると言われ、端から端までそれを見た。だが、到底見つからない。それもそのはず。その傷を探すのには、僕ら素人では到底できる様なことではないのである。本来、製造工場にいる専門の外観検査の人たちが目視をして、確認するが、ここに問題があるわけだ。これが過酷で、強い光のもとだったり長時間、睨めっこ。ゆえに重労働なのである。

2.AI(ソフト)の最大化はその機械と共にある

 そこで、ロビットは「TESRAY」を作っているのである。僕は、ものづくりの現場が、こういうところから変革をしていくことで、実は、遠回りに見えて、商品そのものの質が向上すると考えている。

 「TESRAY」は外観検査をAIにより瞬時に、正確に傷などを見分けするソリューションである。まず車の部品を設置すると、専用の機械が、静かに光を当てる。そして、内臓カメラがそれを捉える。カメラの映像はモニターに映し出され、傷を検知するやいなや、反応する。

 つまり、画像上で、その部分を四角で囲み、傷である可能性を%で示してくれる。人力で何時間もかけていた作業がわずか数分、かつ正確だ(注釈:現在は数秒で可能)。

3.デバイス(機械)が作れないからAIが利用できない

 そして驚きなのは、この外観検査のテクノロジー化は、できる会社が殆どない。それこそがソフトとハードの関係からなるからである。AIで外観検査を為し得ることができるというのは、ソフトである。つまり、ソフトを実装している機械があってこそ、それができる。この機械づくりが至難の業。その機械も彼らが作り上げたから、これが具現化できている。

 その機械が容易でない理由はなぜか。車の部品では先ほどの機械で良い。しかし、消毒液の容器、布物など、その素材が変われば、機械も臨機応変に変えなければならない。それを作り変えられる設計力、現場の強さがあるわけです。

 繰り返すが、世の中にある殆どの企業は、恐らくAIを駆使するアイデアは思いつく。でも、それを外観検査に適用できる元の機械までは作れない。そこを、ロビットはやるのである。自ら設計して一個一個の部品を買ってきて組み立てて、機械そのものを作る。その部品は世の中にないものもある。でも、彼らはそれを自ら設計して3Dプリンタで作り、機械の完成へと導く。だから、AIでのチェックができるのである。

4.ものづくりの知見はAIに活きた

 でも、なぜ、AIを着想しても、機械も作れたのであろう。その答えは、彼ら自身もまた生粋のメーカーの知見があったからなのである。実は、これより前に「mornin’plus」というデビュー作がある。

 元々はメーカーを志していたのである。それは目覚ましである。日差しに反応して、家のカーテンを開ける(ヒットを掴み、それは現在も売れている)。だから自らも作れる。面白いのは、その商品製作の過程で、ここまで上げた課題に気づいた。多数重ねた工場との折衝のおかげで、工場の気持ちを真に理解できる。

 AIがものづくり工場の現場を救い、それが実現すればものづくりの現場からAIは高く評価されるようになるわけである。両方を知る彼らだからこそ、その実現の為に、機械まで作ってやってのけた。なんだか、本当の意味での「ものづくり」は彼らなんじゃないかと思った。だから写真を見て分かる通り、一階フロアはまさに工場である。ITのソフトウェアにはふさわしくない。笑。

 でも、彼らはものづくりをし、立ち上がったのだ。そして、AIを駆使して、工場の課題の解決に尽力することにこそ、社会的意義があって、今、その事業の幅を広げる。

5.工場は技術革新で真に正しくありたい

 日本の工場は素晴らしい。その人間の発想を礎とする伝統は受け継ぐべきだ。でも、昨今、物流現場が生産性高く運用されている様に、工場も環境は今にふさわしく見直すべきだ。

 先ほどの外観検査においてもそう。もし人力でやってミスをした場合、数百万円に及ぶ返品が生まれることもある。確かにこれらの機械への投資は大きい。けれど、それらの人件費の置き換え、リスクヘッジと位置付けたらどうだろう。ものづくりを復活させるには、今に相応しい転換が必要なのだ。

 去り際、僕は「なんだか『任天堂』みたいですね」と敬意を込めて言った。AI(ソフトウェア)が優れているだけではなく、そのAIを活かすデバイス(ハード)も持ち合わせて、役に立てる。この会社の「TESRAY」はソリューションである。でも一方で、AIを含めたソフトウェア会社でもある。それらの両面が伴って、初めてその価値を最大化させるのである。

 ものづくりは素晴らしいが、それを失わないための環境改善である。今一度、働く現場にも目を向けて、未来を見据える勇気を持とう。大丈夫だ。志高きエンジニアとものづくりの工場がある限り。日本に誇りを持とう。

 今日はこの辺で。

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