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「ありがとう」が生まれるキャラクター〜『ファントムベイビー』が描く、猫と人とのあたたかい物語〜

 「8匹の猫と暮らして、何匹かは見送ってきたんです」。今日のXスペース番組「キャラ談」MCとしてトークの幕を開けながら、僕はその言葉にグッと胸を掴まれた。語ったのは、プロジェクト「ファントムベイビー」のプロデューサー・ユウカさん。猫たちとの別れの記憶。それは彼女にとって、ただの“ペットロス”という言葉では片付けられないものだった。

 悲しみのどん底に突き落とされて、それでも前を向こうと本を読み、涙を流しながら「もし、虹の橋を渡ったその先で、猫たちが元気で楽しく暮らしていたら、少しは気持ちが楽になるのでは」と想いを描きはじめた。その想いから生まれたのが、キャラクター「ファントムベイビー」だった。

虹の橋の袂に生きる猫たちの物語──「ファントムベイビー」とは何か

「ファントムベイビー」は、虹の橋の袂を舞台に、“見た目も中身も頭でっかち”な猫たちが繰り広げる、笑いと哀愁の入り混じった人(ニャン)生劇場。

 猫との別れを経験したプロデューサー・ユウカさんの想いから生まれ、猫好きの仲間たちによるプロジェクトチーム「チェルシーマフィン」が手がけている。SNSや公式サイトでは、4コマ漫画やミュージックビデオ、ファンとの交流など、多彩な展開が続けられ、ハッシュタグ「#ファントムベイビー」を通じた投稿も活発。

 物語を通して、“猫と生きる”喜びと、“猫を想う”やさしさを届ける、共感型キャラクターコンテンツなのだ。

“キャラクター”は、想いを受け継ぐ器になる

ユウカさんは言う。
「誰かの気持ちを軽くしたい。そのために、猫たちの世界を描きたい」と。

だが彼女は絵を描く人ではない。じゃあ、どうする?――と、そこで現れたのが、イラストレーター・マリさんだった。

 マリさんとは、あるイベントで猫の絵を出展していたところ、ユウカさんが声をかけたことがきっかけだった。マリさんはもともと犬派だったというが、猫を飼い始めてから“愛でる”視点がガラッと変わったという。

 「猫の見方が変わった。自分が飼った猫を見送ったことはまだないけれど、想像するだけで胸が痛くなって。だから、限りある時間を愛おしく描きたかった」

 そんな気持ちが、キャラクターたちの“柔らかくて淡い表情”に滲み出ている。

チームでつくるからこそ、リアルに宿る想い

 そしてもう一人、このプロジェクトに欠かせない存在がいる。PRを担うタケシさんだ。

 音楽の仕事を通じてユウカさんと知り合い、猫好きが再会のきっかけを作った。会って4〜5ヶ月という短い時間ながら、彼は即答でジョインを決めたという。

「猫がいるだけで、帰る場所がある。どんなに仕事で落ち込んでも、猫は変わらず待っていてくれる。それだけで、救われるんです」

 彼の言葉には実感がこもっていた。そして、誰かの感情に寄り添うことこそが、PRとしての彼の役割を強くしていた。

“泣けるけど、泣かせたいわけじゃない”物語

「悲しい物語にしたくないんです」とユウカさん。

 だけど、ファントムベイビーの4コマ漫画を読んだ人の中には、泣いてしまう人も少なくないという。「虹の橋を渡ったあと、猫たちが楽しく暮らしている」。ただそれだけのイメージが、ペットを見送った人の心をそっと解きほぐしていく。

 マリさんも、そんな読者の気持ちを考えながら、何度も絵を見直し、表情を描き直しているという。プロジェクトが伝えたいのは、「悲しみ」ではなく、「希望」なのだ。

SNSの先に、リアルな絆が生まれる

 ファントムベイビーは、単なるキャラクターとしてでなく、共感の渦の中で“仲間”のように育っている。
SNSでの投稿には、コメントやDMで「うちの猫を思い出して泣いてしまいました」「このキャラクターを見て、また猫と過ごす時間を大切にしようと思いました」といった声が届く。

 そして7月には、“猫好き”の象徴とも言える中川翔子さんや、書籍『もしも、猫と話せたら』の作者・沖えいこさんなど、豪華ゲストを招いたスペース配信を実施。累計6700人以上が視聴し、まさに一躍注目コンテンツの仲間入りを果たした。

 だが、忘れてはいけないのは、このプロジェクトが「売れること」ではなく、「届くこと」を目的にしているという点だ。近藤さんは言う。

 「ビジネス視点で見れば、グッズをすぐ作った方がいいって思うかもしれない。でも、それはこのプロジェクトにとって本質じゃない。今は“共感”をしっかり育てる時期なんです」

 キャラの命は、“数字”じゃない。誰かの心の奥にふっと灯る、小さな“ありがとう”の火なのだ。

キャラづくりは、人生の“再解釈”かもしれない

 ファントムベイビーがユウカさんの「悲しみを希望に変えたい」という個人的な想いから始まったことは間違いない。でも、その想いが、マリさんやタケシさんという仲間の心に火を灯し、近藤さんという伴走者に出会い、そして無数の“猫を愛する人”たちに届いていく――この循環がすごい。

 キャラクターって、絵がかわいいだけじゃダメなんだ。思いがあること。背景があること。そして、それを“伝えよう”とすること。

 もしかしたら、キャラクターづくりって、人生の再解釈なのかもしれない。悲しみや後悔や、やりきれなさすらも、物語に昇華することで、誰かの支えになる。
それが、“キャラの力”なんだと改めて思う。

目指すのは、誰かの「心の処方箋」になること

 プロジェクトは今、さらなる展開に向かっている。2025年2月22日、そう“猫の日”には、大きな動きが予定されているという。しかも、登場キャラクターたちの“命日設定”も2月22日。ここにもまた、ユウカさんのこだわりが光っている。

「この日を“命日”ではなく、“新しい世界で再び生きる日”にしたい」
彼女のその言葉は、まさにこの作品のコンセプトそのものだ。

 そしてもうひとつ。プロジェクトでは、保護猫の支援活動との連携も視野に入れている。

「このキャラが広がっていくことで、1匹でも多くの猫たちが救われたら」
「心の傷を癒すストーリーとして、誰かの“心の処方箋”になったら」

ファントムベイビーは、物語であり、祈りでもある。

「作品が評価される世界であってほしい」

 この日、MCとして参加した僕・石郷も強く感じたのは、今の時代において“思い”のあるキャラクターの価値が、改めて問われているということ。

近藤さんが言っていた言葉が印象的だった。
「キャラクター業界はいつしか“数字がすべて”みたいになってしまった。でも、本来は“作品の力”で勝負すべきなんですよね」

共感から始まり、対話が生まれ、やがて商品になる。
“物を売る”のではなく、“物語を贈る”。
そんな世界が、キャラにも、商品にも、そしてECにも求められているのだと思う。

キャラが、思いを受け継いで、未来を歩く

『ファントムベイビー』は、まだ生まれたばかりのキャラクターかもしれない。
でも、そこに宿る思いの“深さ”は、どんなベテランキャラにも負けない。

一つひとつの描線に込められた想い。
一つひとつのセリフに滲む“ありがとう”の余韻。
そして、それを支える3人の覚悟と、見守る近藤さんのあたたかい視線。

そのすべてが、“キャラづくり”を超えた“人づくり”“関係づくり”につながっている。

ファントムベイビーがこれからもたくさんの人の心に寄り添い、「いてくれて、ありがとう」と言われる存在になることを、僕は心から願っている。

またどこかで、続きの物語を聞かせてください。

それでは、今日はこの辺で。

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