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Perfumeは唯一無二の表現者だった“フィジカル“と“デジタル“のシンクロで生まれた独自のアート性

 そこにはいろんな融合が内包されて、全く他では見られないエンターテイメントを作り出していた。だから、25年、愛され続けたのだろう。誰の話かというと「Perfume」である。僕は、2024年8月9日から10月14日まで虎ノ門ヒルズ「TOKYO NODE」で開催される「Perfume Disco-Graphy」を見て、想像以上に心動かされた。

Perfumeの表現の付加価値をMaxにする演出

 何気ないことだけど、彼女たちは、いつも、見事なダンスを見せてくれる。考え抜かれた仕草であり、それらは歌詞に対しての答えである。それを彼女たちらしい証明をしてくれているのが、「Reframe」というテーマのコーナー。

 Perfumeの振り付けをモーションキャプチャーで捉えて、流れる楽曲の歌詞とのシンクロを解析するわけである。幅7m、高さ5mの巨大スクリーンで、その一つ一つのダンスと歌詞とを重ね合わせてみると、どれだけ整合性が取れているかが、一目瞭然。下の図の通り、デジタルナイズされて、その一致を見るところに彼女たちらしいカラーが感じられる。

 さらに、先へ進むと、三角錐のモニュメントにPerfumeが映し出される。後ろの三人揃っているライブ映像とこのモニュメントを合わせてみてほしい。モニュメント内にも「かしゆか」さんらしき人がクローズアップされるような形で映っていて、意味ありげである。

 これが「FUSION」というテーマのブースの重要なところ。

いい意味で、Perfumeは常に僕らの裏をかく

 つまり、後ろのライブ映像では、見事に統率が取れて綺麗な踊りが再現されている。だが、この映像こそが言うなれば、ファンタジー。実は三人とも違う場所で踊っている。かつて、Perfumeは東京・ロンドン・ニューヨークの3都市で別々のステージに立ち、同時にパフォーマンスをして、リアルタイムで配信したことがあるのだ。

 観客は、その映像美に惹きつけられながら、見事にその場の雰囲気と、三人が揃ったまとまりのあるパフォーマンスを見せつけられる。でも、それは現実には存在しないものなのである。それに焦点を当てたのが、この三角錐のモニュメント。ここで撮影した素材があるのと、その形状ゆえに、鑑賞者はそれらを合わせた映像で、さまざまな角度からそれらの動きを多角的に鑑賞できるわけだ。

 これでだんだん気づいてきたかと思う。彼女たちの真骨頂は、一見、想像もつかない異なる要素を掛け合わせることで、彼女たちの歌であり、ダンスでありを表現することにある。そうやって、アーティストとしての魅力を最大化をし、挑戦してきたことにこそ、Perfumeたる所以があるのである。

様々な変遷を経て今に至るそこも含めて彼女たちの魅力

 思えば、僕がその名を聞いたのが、デビューした頃のPerfumeであった。2000年代前半、何かの雑誌(ファミ通?)で掲載されていたように思うが、紛れもなく、その時の印象はアイドルであった。

 実際、その頃のジャケットを見ると、幼いし、曲名も「彼氏募集中」といった具合で、アイドル一直線である。

 ところが2005年あたりから「リニアモーターガール」などの曲然り、テクノの要素を取り入れ、彼女たちの顔つきも一気に、可愛らしさからメタリックな美しさへと変容を遂げていく。その後、「ポリリズム」のヒットに辿り着き、メジャーな存在へとのしあがるわけだ。

 「ポリリズム」に関する過去のライブ映像24種を集めたコーナーもあり、そこには、ライブで実際に使用したハイヒールを揃えて、歩んできた軌跡を実感させるわけだ。

ポリリズムのヒットを通してもっと高みで挑戦を

 当然、それに呼応する形で、舞台上での演出もよりデジタル要素を取り入れた先駆けたものとなる。自ずとフィジカルな要素とデジタルを融合した彼女たちにしかできない表現者としての立ち位置を手にすることになる。

 改めて、その一つ一つに唸ってしまう。「マカロニ」という曲を素材に、ライブ中、影で遊んだこともある。当然、ステージには照明があり、それが彼女たちを照らせば、影が映し出される。ただ、あえてその常識を覆すのがPerfumeだ。どうしたのか。実は、ステージ上の影は、映像で作られた影であり、照明によって生まれた影ではない。

 つまり、でも、それが自然に調和する。なぜなら、普段のダンスの完成度が高いからだ。先ほど、別の場所でメンバーが撮影してもぴたりと一致したように、影もまた同じ。全く別で撮影したものなのに、ぴたりと融合して、本当の影であるかのように見える。

 だから、ここでも影で遊ぶ。スタンドマイクが置かれ、鑑賞者も自分の影を映し出すことができるが、それらは機械学習され、その動作をするシルエットがPerfumeになっていく。

 ファンの裏をかいて、舌を出すような感じ。そんな三人の表情が目に浮かぶようである。

常にライブは革新とセットである

 「Perfume Disco-Graphy」はそういう数々の彼女たちなりの革新的なステージの演出をたどりつつ、それを自ら身をもって体験できる要素が売りなのだ。彼女たちの変遷を見つつ、鑑賞者も主役。会場内で思いがけず、キャンディーのようなものを渡されて、僕は、それを上に掲げた。すると、そのキャンディーのような物体に向かって、天井にある光の筋が集まってきたのである。

 「おお!」そんな風に体験しつつも、それはPerfumeがライブで「無限未来」でやったことのオマージュでもある。

 同ライブでは、事前に、三人のモーションキャプチャーをデータに収めて、そこから光の筋を生成させていた。光と彼女たちのダンスが見事にシンクロするから、ファンは歌を聞きながら、デジタルアートを見ているかのような錯覚を得るのである。

三人の努力がその挑戦をカバーして高みを見せるに至らせた

 僕は正直、テクノなイメージをもった歌手であるという程度の知識でしかなかった。でも、一つ一つの展示物を見るうちに、その印象は変わっていった。舞台上での新しい演出に果敢に挑み、それを自らの努力によってカバーしてシンクロがもたらされ、今の表現者としての地位を築いた。

 アートでありながら、なぜだろう。先ほどの「ポリリズム」のコーナーで、彼女たちが一人一人、振り返るムービーがあって、少し目が潤んだ。

 それは、Perfumeの日頃のパフォーマンスに対しての努力なくしては、この革命はなかったのだろうなと思えたからだ。フィジカルとデジタルの融合によって生まれたその表現は、アートであるけど、デジタルの着想と彼女たちの努力の賜物なのだ。互いの価値を引き立てあって、それこそ1+1を3にも、4にもしてきたのだ。

 そして、だからこそ、たどり着いたのが、25周年なのである。

 もはやPerfumeはアイドルというよりは、アーティストであり、もはや、世間で言うところの歌手の範疇にも入らない唯一無二の存在となったのだ。僕は、客観的にみて、それを素直に、この展示会から感じ取ることができた。

 あっぱれ、Perfume。ライブ行きたくなったよ。同イベントで確実に、あなたたちの努力に裏打ちされた表現力は、ファンはもちろん、そうではない人たちにも、深く心に残って、さらなる高みを目指す契機となるだろう。

 今日はこの辺で。

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