SOUKI 1927年からの想い “靴下”愛 自転車で 靴下編む チャリックス 等工夫して
奈良といえば靴下で有名な場所ですよね?そう問いかけると「はい。この地は農家が多くて、農業だけではやっていけないと考えた人たちが、副業で綿を紡いで編んで靴下を作ったのが始まりです」そう応えてくれた。奈良県の広陵町で、1927年、創業した SOUKI の方々が話してくれたのは、伝統の製法を重んじ、それを今に伝えようとする、靴下愛 そのものであった。
SOUKI ローゲージ チャリックス 全てにものづくりの愛がある
一つ一つ、天然素材を大事にしてそこからどれだけ機能性を持たせた商品を作れるか。そこにこだわっていて、お客様にとっての素材への理解につながるからだ。特に、彼らが手がける靴下で強調するのが「ローゲージ」と呼ばれる編み方についての話であった。
「細い糸で編み込むので、時間がかかり、生産性が高いとはいえませんが、その分、網目が繊細でしっかりした作りで、ふんわりとしています。靴と靴下に隙間が生まれにくく、足と靴を固定してくれ、疲れません。クッションのような心地よさがあって、長く使えます」と微笑んだ。
今打ち出しているのは「re Loop」というブランドで、未使用で使われることのない繊維原料を集めてきて、綿にほぐし直し糸にして、編み込む。靴下を作る工程で、廃棄される具材は、そうやって、彼ら自慢のローゲージという製法とともに、輝きを取り戻すというわけだ。彼らの素材への想いはここでも垣間見れる。
「これまででいえば、安さが重視され、どうしてもものづくりの視点が海外に向いていました。日本の工場全般でも厳しい時代もあったと思います。でも、最近は、付加価値のあるものを長く使う風潮が広がてきました。我々の製法にまた再び、光が当たるチャンスを得ることとなり、だからこういうブランドを通して伝えたい」と。
1927年から培ってきたものが今再び、脚光を得ることとなったわけで、それを彼らなりに表現したのが「Re Loop」ということになるのだろうか。
お客様にチャリンコでものづくりを感じてもらう
彼らの商品への愛は随所に見られ、それは製造過程に対して敬意を持っているから、それを多くの人に知ってもらう努力も惜しまない。思わず「なんですか、これ!」と僕は叫んだその先には、靴下を作る工場とはおおよそ紐づかない自転車をこぐ人たちの姿があった。この動画を見てもらうと、そのギャップが何とも面白い。
「あ、これチャリックスです」と同社のスタッフが笑って、「これも私たちなりにできること」と語ってくれた。この会社は1927年から続く、小さなくつ下工場。だからこそ「作られるまでの様子、素材への想いを買っていただく人にも実感してもらえれば」と考え、工場の一部を作り替えて、一般の人のためのスペースに開放した。そして、くつ下を作る工程が体験できるワークショップを作ったのである。
自転車を漕ぐと靴下編み機が稼働して、自動的に靴下が編みあがるってわけである。体験者自ら糸を選んで、靴下を編んで仕立てまでをその場で行うことができるのである。
奈良県で1927年から続く歴史ある工場の想いはその商品にも、お客様との対応にも、真心がある。商業優先主義、大量生産大量消費とは真逆にある、不器用だけど、懸命に生きる工場の姿。こういう価値こそ、尊いなと。伝統は、価値を重んじる時代の気づきと、寄り戻しと共に、新しいステージが始まるのだ、きっと。
今日はこの辺で。