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コロナ後 消費者 は 駅 でどんな 買い物 するのか?

松本さん

 昨今、小売は多様化し、ネットでの販売に脚光が当たりがち。だが、リアルの中でも存在感を見せているエキナカにコロナ禍を意識しつつ、焦点を当てた。お相手は、ジェイアール東日本企画の駅消費研究センター 松本阿礼さんである。これまでの駅での消費者の行動の特徴を紐解きながら、コロナの影響で何が変わったのかへと話を深掘りし、 コロナ後 の生活スタイルを考えてみようと思う。

駅 での 消費者 の行動 からコロナ前後を比較する

1.ジェイアール東日本企画の駅消費研究センターとは

 ジェイアール東日本企画の駅消費研究センターとは、駅と沿線を中心に生活する人々のインサイトをリサーチしている研究機関だ。駅というのは極めて特殊性を持った買い物空間である。特徴的なのは駅の店に来店するきっかけは皆、非計画であるということ。実は、移動の最中に買い物を決めていることが多いという。

 ecuteやNewDaysのように駅の「中」にあるお店に関して、来店をいつ考えたかをたずねてみた。会社を出てから電車での移動中やお店前という答えは、7割ほどにも及ぶ。それが駅から離れるに従い、それなりの目的を持ち、店を訪れるようになっていき、百貨店では3割弱となる。

 この独自性こそ、他にはない価値。その観点から、小売の可能性に迫ろうということなのだ。最近、JR東日本の各駅では商業化が進んでおり、こういう特殊性を背景に、売り上げを伸ばしている。会社としても鉄道の収益と二分するくらいに伸ばしたいと意気込んでいる状況なのである。

2.駅での消費は、商品にも傾向が

 松本さんの話によれば、「駅がもたらす特殊性は、人の心理とうまく紐づいている。また、興味関心を示す商品にその傾向が現れている」としている。例えば、一般のお店よりも、一層、VMDを意識した食べ物が最たる例。商品価値を瞬時に示すようなものは好まれる。だから、駅に近い売り場は、例えばバームクーヘンを売るにしても断面図を見せるなど、短期決戦を意識した陳列である。

 思えば、先日も、JR東日本の東京駅で「グランスタ東京」で「萩の月」でお馴染み「菓匠三全」売り場には、「東京限定!」と書かれた「萩の調 煌(ホワイト)」が打ち出されて、行列ができていた。

 目的を持っていくわけではないから、そこで起きる出来事は偶然かつ、運命的に感じられると松本さん。それはお客様が購入する単価にも現れているとか。お菓子もコンビニでは300円程度しか出さないのに、駅では、800円程度出す傾向が強い。運命的な出会いは、会社帰りの疲れた体を癒す、自分へのプチご褒美感と相まって、購入へと至るわけだ。

駅 での 消費者 の行動 コロナ後 はどうなる?

1.コロナを契機とした鉄道利用者の行動・意識の定量調査

 さて、そんな中にあって、新型コロナウイルス感染症がやってきた。まさに、駅にとってはそれまでの買い物シーンを一変させる出来事であった。いうまでもなく、消費者の心理も大きく変えることになっている一大事である。

 そこで駅消費研究センター は「EKISUMER」という媒体で「新型コロナウイルスを契機とした鉄道利用者の行動・意識に関する定量調査」と称して調査した。対象は一都三県居住の20~50代有職者(パート・アルバイト含む)、2020年2月まで週5日で鉄道通勤(定期券所有)の人たちだ。

2.7割がテレワーク、今後も継続の可能性大

  それによれば、今年の2月より前は週5日で鉄道を利用し通勤していた人々の7割弱が、コロナ禍でテレワーク等を実施している。しかも、今後の実施意向についても、withコロナで5割弱、afterコロナで3割強である。この傾向はしばらくは続きそうである。

 また、時差出勤等で通勤時間を変更した人も半数以上。今後の実施意向は、withコロナで4割弱、afterコロナで2割となる。こちらも一定程度は継続すると考えられる。

3.当たり前ではない生き方に気づいてしまった消費者

 テレワークや時差出勤等を、外出自粛期間中に実施した人ほど今後もそれを続ける意向が高い結果となっている。つまり、確実に人々の意識が変わってしまったのである。afterコロナでもテレワーク等をしたい理由としてはこの三つ。

  • 「通勤時間の削減・有効活用」
  • 「通勤ラッシュのストレス軽減」
  • 「出社しなくても仕事はできると分かった」

 この手の声が比較的多く見られた。

 松本さんはこう話す。

 「例えば、まず朝はラッシュの電車で40分揺られながら通勤していましたよね。それで、7〜8時間会社に籠もっているんです。それで、また混雑した電車に乗って帰宅する。こういうことが当たり前だと思っていたわけですよ。でも、柔軟に自分の心地良いやり方でやれば良いのではないか。そういうことに、実際、やってみて気づいてしまったんではないでしょうか」と。きづいてしまった、、、か。

4.家を軸にした働き方に

 だから、当然にして、家を軸にした働き方になる。そうすると自ずと買い物も変化する。

 8割が「自宅周辺で買い物・消費するようになった」、7割弱が「日々の通勤動線上での買い物・消費が減った」と回答。自宅周辺と会社周辺という主な生活基盤のうち、自宅周辺に重心が傾くわけだ。それに伴って自宅と 会社をつなぐ通勤動線上での買い物も減少。また「計画的に買い物をするようになった」という人も7割に及んでいる。

駅の視点を変えてみる

1.コロナ後、駅の捉え方はどうなる?

 何より、駅や駅商業施設に対して抱く印象が変わったのである。3月以降の生活を経て「“ついで”に行く場所から“わざわざ”行く場所になった」 「会社近くの駅商業施設を使う機会が減った」が6割弱。つまり、駅の位置付けが変化し、駅商業施設の利用機会が減ってしまったのだ。

 完全に消費者にとっての駅の意識が変化している。

 また、「これまでは鉄道会社もターミナル駅を軸にBtoC向けを意識したサービスを提供していた。例えば、商品を売るという感じで。しかし、今後は郊外も視野に入れるべきだし、BtoBを考えるべきなのかもしれない」。

 この松本さんの指摘はもっともである。

 つまり、データからも分かる通り、考え方が変化している。当然、売上が減少することもあるだろう。

 ただ、afterコロナでは単純にそれを悲観していても仕方がないのである。だから、例えば、郊外と言える駅にコワーキングスペースなどを作って企業向けに提案していく。発想の転換が必要なのではないか。松本さんはそう述べており、確かにそれは理にかなっている。

2.企業側も働き方に柔軟になれば駅も違う拠点になる?

 例えば、上記の通り、駅が思い切って主体性を持って、BtoCからBtoBに対象を変える。

 今まで会社内で働くの窮屈じゃありませんでしたか?と。

 だったら、それぞれの社員の住む最寄りの駅に、そういうワーキングスペースを作ればいい。高いモチベーションを持ってもらえる材料として場所を企業に提供する。無理して、お客様がいないのに、小売店を誘致することに執着する必要もないわけだ。

 今後は、企業側も、そして駅も、柔軟な考え方を持ち合わせるべきだろう。

 駅という場所は、ある種、特殊性を持っていて、買い物が生まれやすいことも分かった。これ自体が駅は移動場所と考えることからの発想の転換である。

 afterコロナでも前の形は残るとは思う。だが、100%戻ることはないから、ある一定の駅の可能性を受け入れつつ、小売がどう絡んでいけるか、ということになるだろう。

 今日はこの辺で。

参考:ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター
https://www.jeki.co.jp/field/ekishoken/index.html

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