愛犬VALENのキャラクターブランド化戦略〜65歳・田原俊彦が描く“次の物語”

2月28日、65歳になる現役アイドル田原俊彦さん。今年デビュー47年目を迎える。2026年ツアータイトルは「DANCE with KING of IDOL 2026~パーティはこれからだ!」。このタイトルは単なる景気づけではない。50周年へ向けた通過点であり、「まだ積み重ねる」という宣言だ。
記者会見では軽妙なトークが続いた。だが内容は具体的だ。7月23日の埼玉・川口から11月14日の熊本まで、全国18公演。北海道から九州まで、2000人規模の会場で回るという。「歌って踊って笑わせて、わちゃわちゃになってほしい」。その言葉通り、彼は“規模”ではなく“熱量”を選んでいる。
82枚目のシングルは6月17日発売予定。「最高の曲ができた」と語りながら、「歌詞はこれから覚える」と笑う余裕。
65歳で、まだ制作途中であることを楽しんでいる。完成ではなく、進行形。それが、いまの田原俊彦だ。
男性3割という静かな再接続
ここで面白いデータがある。近年、コンサートの男性客比率は約3割なのだとか。
6対4に近い比率になったこともあるという。かつて握手会に並んだ少女たちの時代から、確実に風景は変わっている。
元々、18歳でドラマデビューした田原俊彦。この会見内でも、夏休み明け、女子生徒の右手に包帯が巻かれていたという逸話も飛び出すなどしていた。ただ、今は、あの熱狂を知る世代が、再び会場に戻ってきている。しかも、男性が、だ。
だから、メディアも彼に注目する。『昭和40年男』の特集テーマは「華麗なる60代、俺たちはどうする?」。ここで田原俊彦さんが出てくるわけだ。
語られたのは過去の武勇伝ではなく、「60代をどう生きるか」。100年人生の残り3分の1をどう使うか。彼はぶれない。
だからこそ、同世代の男性にとって“指針”になる。懐古ではなく、再接続。昭和のスターが、令和においても“現在進行形”であること。その存在が、数字以上の意味を持っている。
母子家庭で育った少年が、チーフサンタになるまで
今回の会見で印象的だったのは、チーフサンタ活動についての語りだ。田原俊彦は母子家庭で育った。厳しい生活環境の中で過ごした子供時代。その経験が、いまの活動につながっている。
経済的に困難なひとり親家庭へ、パソコンやクリスマスプレゼントを届ける活動は4年目を迎える。パソコンは今や必需品。企業の協力を得ながら、ファンとともに支援を続ける。
「子供たちも喜んでくれるけど、親御さんがすごく喜んでくれて」
この一言に、彼の視点がある。スターでありながら、社会の現実を知っている。華やかさの裏に、生活を知る人間がいる。
『昭和40年男』で語られた“60代の生き方”は、単なるポジティブ論ではない。苦労を知った人間が語る、前向きさだ。
VALENは“愛犬”から“もう一つの顔”へ
そして、今回最も未来志向だったのが、愛犬VALENのブランド化だ。
トシちゃん BE@RBRICK、「VAG (VINYL ARTIST GACHA) SERIES 40.5 VALEN」と、段階的に世界観は広がってきた。その延長線上での本格展開。
こうして、田原俊彦さんが前でスターとして立ち続ける一方で、その世界を次の形へと拡張していく設計を担っていたのがメディコム・トイの赤司さんである。
さて、VALENはトイプードルの男の子。4月18日で満6歳。完成デザインを見て「おっ、かわいい!」と笑う田原さん。しかし、その姿はただの愛犬ではない。赤いスーツをまとい、スターの気配を纏う。
「僕のイメージからか、赤のスーツを着せてくれて」と田原さん。

赤は象徴だ。ステージの色。情熱の色。
そして設定はこうだ。「自分はスターだと勘違いしている犬」。ここが決定的だ。スターの横にいる犬ではない。自分がスターだと思っている犬。
愛犬でありながら、田原さんらしい性質を身にまとった、もう一つの人格。だからIPになる。
シバチャンという設計者の存在
このデザインを手掛けたのはSkater JOHNの生みの親、シバチャン。海外でも評価されてきたクリエイターだ。だが主役はあくまで田原俊彦であり、今日も控えめだ。
シバチャンは「誰にでも受け入れられること」を軸に設計したと語る。スター性を抽象化し、ユーモアを加え、世界観を整える。
そして、メディコム・トイ赤司氏が語った通り、これは1年以上かけて準備されたプロジェクトだ。タイミングを見極め、慎重に引き合わせ、時間をかけて形にしたのである。
だから、VALENは思いつきではない。設計された存在だ。
原宿から始める覚悟
いよいよ始動だ。
第一弾はDISCUS ATHLETICとのコラボTシャツ。神宮前「CO;LAB. by Discus」で販売。

ツアー物販ではなく、原宿。独り立ちしている。素材の話題に至るなど、商品としてのクオリティにこだわる姿勢もちらり。「100回洗濯しても大丈夫」などと言えば、田原さんも「素材もいいね」と満足そうに笑う。
ここには“残す”意志がある。消費されるグッズではなく、時間を重ねるアイテム。アンティークのように、価値を積み重ねる可能性。
65歳で、未来に残るものを作る。それは、スターが自分の歴史を次の形に変える作業でもある。
映画館という第二のステージ
田原俊彦さんも愛犬に負けてられない。この日、東京国際フォーラム公演をイオンシネマで応援上映されることが発表された。ペンライトOK。ライブに来られない人にも体験を届ける。映画館を“第二の会場”にする。
音楽も、IPも、空間も。
思うに、キーワードを挙げるなら、拡張。すべてが拡張していく。彼は縮小していない。広げている。
でも中心にいるのは、田原俊彦

VALENが広がる。映画館へ広がる。男性層へ広がる。
だが中心は変わらない。母子家庭で育った少年が、スターになり、65歳になっても笑いながら未来を語る。自分を抽象化し、分身を作り、社会活動を続ける。
それが田原俊彦という人間だ。ツアータイトルの通り——パーティは、これからだ。
そしてその言葉を、本気で言えるところに、彼の本当の魅力がある。
今日はこの辺で。
- VALEN Tシャツ情報
- 3月7日(土)12時より販売開始
- 店名:CO;LAB. by Discus
- 東京都渋谷区神宮前6丁目29番6号 八光苑ビル1階
- 営業時間:12:00〜20:00(水曜日定休)
- TEL:03-4400-9301







