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ちょっとカワイイ それを武器にキャラのポテンシャルを爆上げ? MDY 前田英夫氏の挑戦

「ちょっとカワイイ・ちょっとイイ感じをクリエイトしています」。その世界観は前田英夫さんが実は、「ロディ」という素材と出会うことで確立した。実は、彼は子供の玩具であったロディを、キャラクターとして再構築した事から「育ての父」とも言われる。その前田さんが、冒頭掲げた世界観を胸に、MDY 合同会社を創立したっていうのから、“ちょっと”面白くなって取材をしてみた。

MDYでも可愛らしさは健在

1.まずはシンプルな“This is not a cat.”から

 前田さんが新会社で着目したのは何だろう。それは、タカシマカズアキさんが手がけるブランド「This is not a cat.」である。

 タカシマカズアキさんとは、ファッションブランド「Ne-net(ネ・ネット)」の元デザイナー。実はキャラクターへの想いもあって、実際、Ne-netでも「にゃー」というキャラを取り入れ、可愛すぎない可愛らしさを演出してきた人なのである。

 そういう意味では前田さんの描く可愛らしい価値観に近い。

 そんなタカシマさんの手がけたブランド「This is not a cat.」だから、そこに出てくる『くまの「MARRON」』も前田さんの「ちょっとカワイイ・ちょっとイイ感じ」の世界にもハマっている。

©︎KAZUAKI TAKASHIMA

 「かわいすぎちゃうと甘すぎちゃうし、良すぎるのも別のものになっちゃう」。そんな穏やかな感性が「ちょっとカワイイ・ちょっとイイ感じ」にはある。

2.前田さんが商品化窓口を担い、商品でキャラのイメージを訴求

 ちなみにこの二人は昔からの友達だから、尚更ウマがあう。ん?ウマが合うから友達なのか。

 ともかく、彼は早速、会社立ち上げとともに、このキャラをモチーフにした商品を幾つか手がけ始めている。ロディの時然りだが、キャラのポテンシャルを商品で再現し、可能性を広げることに長けているのが、前田さんなのだ。

 まず、そのラインナップはTシャツや、マグカップ、トートバッグなど幅広く、力の入りようがわかる。

3.絵を描くに至る背景

 ただ、実はそんな前田さん自身、最初は絵を描けるタイプでは無かったというから驚きだ。それこそ幼児用の玩具「ロディ」だってそうだった。

 デザイナーに対して「こういう風に歩かせてみよう」などと最初は指示を出していた程度。ただ、それが商品化されていくうち、その数の増加と共に、自らも絵を描くようになって、そこがメインになる

 色々書き起こし、様々なグッズでその世界観を広げていく。その中でそれらはヒットに恵まれることとなった。つまり、前田さんのセンスである「ちょっとカワイイ・ちょっとイイ感じ」はしっかり女子のハートを掴み、商品としてもブレイクして、脚光を浴びることになった。

MDY の 起業 で寄り添うのは 「This is not a cat.」

1.新しいちょっとかわいい・ちょっとイイ感じ

 時は変わって2021年。彼は今度、何を素材に「ちょっとカワイイ・ちょっとイイ感じ」を再現するのかという話なのである。そうして、また先ほどの「This is not a cat.」に戻ってくる。

 『くまの「MARRON」』はこんな風。何気ないことだけど、サイズ感や顔を切り取ること、その表情など、商品で抑えるべきポイントが抑えられているのである。

 つまり、ロディと同様に、まずはこのキャラを商品化を通して、人気者に仕立てられるだろうか。

2.商品の価値は何で発揮されるのか

 少し話が逸れるが、ここがアニメなどの人気キャラグッズを作るのとは違うのだ。そのキャラクターの認知などではなく、素材を活かす商品作り。そこで活かされる「ちょっとカワイイ・ちょっとイイ感じ」。そのセンスは単純ではなく、予定調和でもないから、想定外のヒットが生まれるのだ。難しいだけに、それだけ彼の手腕は貴重であるということの裏返しでもある。

 その商品群は、大きな小売店でも扱ってもらえることを念頭に置きながらも、「うちは小さな会社なので」と謙虚に自前で通販サイトも立ち上げ、販売していく。通販サイトも見たが、愛に溢れている。この「MARRON」がGIFで目をキョロキョロして、サイト上、世界観が表現できているのは流石だと思った。

 別に大ヒットしなくていいから、本当に欲しい人に届くブランドになれば、いいと思う。今は多様性の時代で可愛らしさにもそれが求められるはず。

3.起業したのだから、やりたい夢を追いたい

 ただ「せっかく起業したのだから」と前置きして、前田さんは、こう語る。

 こういうデザインを通して自分の価値観やセンスを受け入れてもらえた暁には、自分自身で欲しいTシャツをデザインしたり、オリジナルのブランドを作ってみたいと。

 そして、照れくさそうに会社名『MDY』に込められた意味を語る。

 「あ、それですね。実は『マエダデスヨロシク』の略(笑)』。

 そして「高校生の時に友達との間で、 そうやって皆、『OK、MDY』『サンキューKDY』とか略して言い合っていて。それが最高に楽しくて」と無邪気に答えてくれた。

 この前田さんの愛嬌こそ僕が知る限りの人間像である。子供心を忘れないお茶目な人であり、純粋な人である。ちなみに、起業したのは5月6日で、その理由に子供の日の翌日で、“ちょっと”大人になった日だから、と答えた。

 殺伐とした最近だから、イイと思う。彼の生み出すキャラでほっと肩の力を抜けるような機会がもたらされることを祈りたい。心穏やかな日々が来ることを切に祈り、それをお祝いの言葉とする。

 今日はこの辺で。

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