【オムニチャネルDAY2024】地域・性別の垣根を超える“共創”と多様性の可能性

前回の記事(企業の垣根を超える「共創」とオムニチャネルの新しい意味)では、オムニチャネルが企業間の“共創”を促す理由、そしてスタートアップや百貨店が手を組む事例を紹介した。今回は、さらに地域連携と多様性の切り口から、共創がどのように新しい価値を生むのかを見ていく。小粒な企業同士が集まり、互いの強みを掛け合わせることで、これまでになかったビジネスモデルが生まれているが、それは地域や性別の視点でも同じである。
地域という集まりを最大化する
その意味では、イオン北海道の代表取締役青柳英樹さんの言葉もしっくりくる。イオンにはWAONがあり、それが共創の土台を作っている。経済圏と称されることが多いが、彼らの場合は、それを北海道の中で、完結させることで、生活圏を作り上げている。
たとえばイオン北海道では、道内全域と包括連携協定を結びながら「WAON」カードを軸に共創の土台を築いているのだ。商店街独自の「たまるんカード」が地域内で完結していたところに、WAONの仕組みを掛け合わせることで、新たな回遊性を生み出したのである。

- • イオングループのお店でWAON利用→道内でポイントを貯める→商店街も巻き込む
- • カードを使うほどに、地域全体の価値が最大化
一人ひとりのお客様が北海道というインフラを心地よく満喫できるように、企業と自治体が連携する。この仕組みこそが、企業や地域の垣根を超えた“共創”である。
女性もまた多様性の中で一層羽ばたく
「オムニチャネルDay」では、女性活躍や組織変革の話題も印象的。
パネルディスカッションには、パルコの安藤彩子さん、えづるの小金悦美さん、Reproの千田侑実さんが登壇。そこでは、「女性だからこう」という固定観念が、わずか30年で大きく変容していることが語られた。
- • かつては“総合職”と“一般職”が当たり前
暗に女性が「一般職」に就くというイメージもなくはなかった。

- • 今は、出産後の働き方や、男性の育児参加が進み、企業の受け入れ体制も整いつつある
- • デジタル環境の発展によって、リモートワークなど働き方の選択肢が増えた
Reproの千田さんは「女性だからといってキャリアをあきらめなくても良い」風土がある企業に身を置くことで、自分の価値が発揮できると語る。まさに多様性が前提となった時代にふさわしい事例である。
多様性もまた今が過渡期
一方で、安藤さんは「どんなに多様性を重んじると言っても、組織には共通の目的がある。その目的を逸脱しすぎるのは難しい」と指摘する。
受け入れすぎれば混乱を生む可能性もある。しかし尊重を怠れば、多様性が死んでしまう。企業にはこの両立が求められていて、まさに今が過渡期なのである。
今までにない価値を生み、共創を生むための土壌
女性が多様な働き方を手に入れることで、新しい商品やサービスの開発につながることも増えている。
思えば、以前取材したところでは、ユニ・チャームの『ソフィ』で「妊活タイミングをチェックできるおりものシート」が開発されたのは、こうした声が届くようになったからこそ、と言えるだろう。
参考:社会を変えてく女性の感性 時代は後から追いついて「女性のあした大賞2023」授賞式に想う
企業同士が連携し、地域が企業と手を取り合い、性別の垣根さえ超えて人材が活躍する。そこにDXが加われば、今まで想像もしなかった新しい価値が次々に生まれるはずだ。
まとめ:オムニチャネルと共創の未来
ここまで「企業」「地域」「性別」といった切り口で、“共創”がもたらす可能性を見てきた。
日本はこれまで縦割りの仕組みで成長してきたが、それを変革するにはDXが不可欠。そしてオムニチャネル的な発想こそが、共創の土台として機能し得るのだと感じる。
- • リアルとネットを区別しない
- • 大企業とスタートアップ、自治体が手を取り合う
- • 女性・男性の垣根を越えて生き方や働き方を模索する
それらが重なり合うことで、新しいビジネスや社会のかたちが見えてくる。まさに「オムニチャネルDAY2024」で語られたテーマの核心ではないだろうか。
【関連リンク】
• 「オムニチャネルDAY2024」もう一つの記事:企業の垣根を超える「共創」とオムニチャネルの新しい意味
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