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ワークマン 度肝抜くファッションショーも機能性に自信があればこそ

 「こちらへどうぞ」。案内された先はなんとプールで、水上に用意されたのはステージ。この上で雨風が吹き荒れても、少しも影響を受けない。そんな“作業着”魂に溢れる洋服のファッションショーが始まった。それは ワークマン の展示会の一幕である。まさに、商品力はエンタメであり、ここまでくるともうファンタジーだ。

ワークマン “作業着”魂 ド派手で心も身体も温かく

1.プールの上でファッションショー

 わずか数センチ先はプールの水辺。かくいう僕の取材位置も、直前まで小雨が降っていたせいか、少し水滴がついていて、滑ってもおかしくない環境。恐る恐るの取材である。正直、この上でファッションショーは大変だろう。舞台に上がる彼らを思ったが、なんてことはない。ステージ上で彼らは全く危なげなくパフォーマンスを始めて、なんと縄跳びまで始めた。しかも、縄跳びをしているその人は、モデルの土屋アンナさんである。

 それを可能にしているのはまさに、ワークマンの商品力なのだ。

 彼女が着用している服は「PRO CORE」という。元鳶職職人の経歴を持つ山下好一さんをアドバイザーとして迎えた本格志向である。作業着でありながら、私服のように着こなすという事が念頭に置かれている。

 このシリーズでも、左腕に収納があったり、背中に補強がされていたり。作業服をしての機能性に長けている側面は健在。そこは会社の姿勢がぶれていない。

  また、この軽い身のこなしは「そういうものがついているのに動きやすい」。そのことを証明しているわけである。

2.過酷な雨風にも耐えうる商品力

 この水上でやったのは初。とりわけ過酷な雨風に耐えうることを示すもの。人工的に上から雪や雨を降らせる異例の体裁となっている。モデルはその雪や雨が降り頻るなかをランウェイを歩いてくる。当然ながら少しも濡れているそぶりはない。

 そのうち、その雨は強さを増して、テレビの台風中継のような横なぶりの雨が彼らを襲う。

 それを服でガードしながら耐えるわけであるが、壮絶な雨風である。

 ただ、中のウェアは少しも濡れていない。フード部分こそ、雨風が入って髪は濡れているが、それだけの雨でありながら、防水防寒ジャケットは雨を全く通さぬ設計なのである。その機能性を彼らの身をもって証明するわけである。

機能性を全面に新商品紹介

1.可憐な衣装にも機能性

 ファッションショーではこの秋、発売された商品の発表が行われた。広報の伊藤磨耶さんが現れると、彼女もまた、ハッスライトマウンテンパーカーレインという商品などに身を包んで、軽快な軽快な司会を始めた。実はこのショーは関係者にも雨でも決行すると明らかにしていた。

 だから、彼女も雨に強いアイテムを着用したわけだ。けれど、他の演者に引けを取らないお姫様を彷彿とさせる可憐な姿。その中で、気になったのは一緒にステージに上がったアンバサダーが紹介してくれた「エアロポンウォームベスト」である。

2.ベストのポケットからチューブが??

 かれこれこのファッションショーが始まる一時間前、僕は展示会で製品開発部第一部長の中野登仁さんの話を聞いていた。エアロポンウォームベストは一見するとただのベスト。しかし「これ、実はポケットからチューブが出てくるんです」と中野さん。

 「そもそも服にチューブがついていることってないですよね」と僕。にっこりして中野さんは「そこがもう服の概念を超えていますよね」と話す。

 そしてここに付属の空気入れで空気を入れていく。中野さんは軽快にポンプにそれほど、力を入れることなく、空気をそのチューブに送り込む。すると、みるみるそれがダウンジャケットのように膨らんでいくのである。

 すると、この膨らんだところと身体との間に空気の層が生まれるわけである。

 つまり、外気が流れ込まなくなり、その逃げない空気がこのベストの中で保温されて、寒さを凌ぐことになるのである。一緒に同じパターンでエアロポンウォームパンツもあって、体全体がこれで温まるという設計なのである。

奇をてらうわけではなく、お客様想いの裏返し

1.他にはないけど、果敢に挑戦したから今がある

 科学の実験のような気分にさせられる。だが、でもちゃんと利便性を考慮してのこと。中野さんは「他のアウトウェアというのは使うと温度調節ができないのです。暑いと思えば、この空気を抜いてしまえばいいのです」と。確かに。

 「あ、そうか。あと空気を抜くことができれば収納が楽になりますよね。」そう僕が言うと「その通り!これなら折り畳んで鞄に忍ばせておいて必要に応じて使えるのです」と誇らしげですらある。

 ベストが2900円、パンツ3500円というのだから安い。

 印象に残っているのは、「必要とされる機能は何かを常に考えています。あれこれ余分に付け足さずに、絞り込んでそれを適切な価格で提供していく事」と中野さんは話している。そういう必要な要素の見極めがこの安さに繋がり、お客様にとっては値頃感になっているのだ。

 ただ、その見極めの為には沢山の失敗もあった。でも、次なる商品の糧に変えて、果敢に挑んできたという。その積み重ねが、次に受け入れられる要素の発見となる

2.いつも驚きと隣り合わせのワークマン

 例えば、こちらはスーツ。防水加工で水をかけてもはらうだけでそれが水滴となって落ちていく。

 なのに裏返すと、、、

 パーカーになる。まるで違う商品じゃない?収納用にコンパクトにもなる。しかも2900円。

 シューズにしても左が普通のタイプ。火を当てると燃えてしまう。ところが、右がワークマンの新商品で見てもらうとわかるが火を当てても燃えづらい。

 こちらをみてほしい。ブーツが冷凍庫に入っている。その模様は寒さに反応して浮かび上っていることを示すデモンストレーション。つまり、寒さのアラートになっている。もはや、商品そのものがエンタメでありつつも、実際の利用者にとっては助かる。

3.お客様への想いがアイデアとなる

 先程のファッションショーでも実演していたけど、写真は「ダウンモンスターパーカー」。花火を片手に火花が飛んでも少しも焦げない仕様。それをファンタジーのように演出するから、その機能性が脳裏に焼きつく。

 一見すると華やかなようでいる。実はその裏側には先程、中野さんが話してくれたような開発者の地道な努力がある。それを、忘れてはならない。日々、商品企画のことを考えている。そう話していて、常に思い浮かべるのはお客様目線。

 そこには対価に相応しい価値の追求がある。素材と価格のバランスを見ながら、少し先を見据えていて、その積み重ねが心を掴んでいるのだ。

  際立つ過激なファッションショーも、商品への愛と自信がなせるもの、そう思う。

 企画者の想いと商品力、そして、それを真に理解して魅せる演者達。ちょっぴり奇抜ながらそのそれぞれが愛に溢れていて、そこがワークマンらしくもある。その商品力に終わりはない。素材の進化や世の中の変化に合わせて、考え続けるし、それをファンはずっと待っている。

 今日はこの辺で。

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