Z世代を知る事が、マスメディアに代わるほどの破壊力を持つ理由
日本って世代ごとに分けて色々分析することがとても好きだと思う。一概にそれが全ての定義とは言えないけど、そういう世代論的な話ではなく「Z世代」を見てみたのが今回の話である。どういうことかって?世の中における仕掛けがZ世代を軸に動いていて、それを紐解くと、納得だからだ。それは、「ライフスタイルWeek」で芝浦工業大学教授 原田曜平さんの話を聞いて、実感したこと。業界問わず、時代を知る上で、Zを味方につけて行動すべきなので、記事にしたわけだ。
Z世代の力、マスメディアに匹敵?
1.Z世代の特徴
思うに、Z世代を理解することは、かつてのマスメディアの広告などに匹敵する力をもつに等しい。
え?どういうこと?そう思われるだろうか。
まず、そもそも「Z世代」とは、1997年から2012年生まれの人たちを指す。特徴として、彼らは少子化の中で生まれた世代であり、その恩恵を強く受けている。
例えば、ゆとり世代も随分、減少傾向にあったけど、そこに輪をかけて減少しているのがZ世代。その数を見て、政府が慌てるほどなので、いかほどかはわかるだろう。国としては深刻な問題ではあるけど、彼らZ世代にとってはこの上ない“ラッキー”な要素である。
そもそも企業に入る人の絶対数が少ないのである。猫の手でも借りたい状況が生まれれば、どうか入ってくださいと企業側からのアプローチが増える。大企業こそ簡単ではないけれど、「食いっぱぐれることのない」世代である。実際、昨今のデータでは、企業倒産の原因には人手不足によるものが増加している。それが、どれだけ深刻かがよくわかる。
2.「チルい」に見られる「まったり感」
おわかりだろう。ゆえに、Z世代は必ずしも「競争意識が高くない」。だから、この世代をシンボリックに表す「こんな言葉」が出てきた。読者の方々はご存じだろうか。
「チルい」。
要するに、周りに左右されず、「まったりと生きること」を意味する。このことからもわかる通り社会情勢は、その時代を生きる人の価値観の形成に強く影響を及ぼす。
すると、商品の提案の仕方も変わっていくから面白い。
最近、サントリーがZ世代に向けて出した商品に、「Chilling(チリン)」という商材がある。ご存じだろうか。
商品名の通り、テーマは「まったりと」である。
ここで比較対象として思い描いて欲しいのが、栄養ドリンクである。かつてであれば、力をつけて、盛り上げていこうとするのが価値観の主流。だからこそ売れたのだ。しかし、そんな意識は微塵もなくて、今は「力を抜いていこうよ」という逆張りで、心に響く。
そう言えば、「疲れていませんか」そんな意味合いで、CBD(カンナビジオール)という成分が脚光を浴びている。それを思い出した。ストレスの緩和や不安の軽減、精神疾患の治療などに有効な成分と言われる。その安全性と有効性についてはWHO(世界保健機関)が認めていry。リラクゼーションさせる動きの一環である。
SNSを巧みに使い世の中を切り開く
1.GenerationZとの共通項
他の世代とZ世代では考え方や価値観がいかに異なるか。それを理解いただけただろう。
さて、そもそもこの「Z世代」というネーミングはどこからきたのだろう。原田さんによれば、アメリカ発祥である。アメリカでは「ジェネレーションX・Y・Z」という表現をして、世代分けしていて、ちょうど、その「Z」に相当する。
世代が近いからというのもそうだが、共通項も多いと。
ずばり、共通項の核心はSNSである。特徴として、世界との距離が近い。広い視野で価値観を共にする人とつながっていく傾向があるのだ。その証拠に日本のZ世代から生まれる最近のトレンドは、アメリカ、韓国、台湾、中国という海外を起点にしたものが少なくない。
中国が入っているのは、それまでの世代には見られる「メイド・イン・ジャパン」信仰がないという意味合いで大きい。製品力の高い中国製を当然に、重んじて購入する傾向もあって、日本企業であることはもはや差別化要因ではない。
その時、日本企業は何を考えるべきか。やはりスマホを起点としたマーケティングなのではないかという話に着地する。
2.スマホを起点としたマーケティング
実は、Z世代は史上初めて、“携帯電話”の一台目からスマートフォンを用いる世代である。露骨にスマホを重用した文化で、かつての文化には見向きもしない。ゆとり世代はまだ、テレビを見ているというデータがありつつも、Z世代はもはやYouTubeに置き換わっている。「テレビの地位が覆る事はありえない」。そう信じて、この20年間、テレビ局が怠っていた部分はなくはないのではないか。原田さんはそうやんわり指摘する。
それは、世界を巻き込む動き。だから、小さくまとまっている日本の企業や文化は、ちゃんとそこに向き合わないと、吹き飛ばされてしまうわけだ。
ちなみに、3年ほど前までは、中学生のスマホ所持率は、5割程度。最近、7割程度まで上昇して、その影響力は増している。そこでの処世術を否が応でも覚えて、生活の中心がそこになっていく。
例えば「チグハグ」という曲がヒット中だけど、それはTikTokが起点である。メンバー自身の失敗エピソードを話してから曲紹介をする流れをTikTokで取り入れたことで、話題となったのである。
3.テレビで話題になるのと置き換わるSNS
もう、おわかりだろう。
これまで企業はマスメディアに取り上げられることで、そのブレイクを手にしていた。しかし、それがSNS上でのヒットに置き換わってきているわけである。その時、そのSNS人口はどの層が最も占めているのだろうか。いうまでもなく、Z世代。
先ほど書いた通りだけど、もっとも日本の国内においては人口が少ない『Z世代』にこれだけ関心が集まるのは、そこにある。SNSを起点にヒットが生まれるのは世界の常識となったわけで、そこを考える上で、Z世代の価値観を研究することは、避けて通れない。
かつてテレビ局に売り込んでいたように、今ではZ世代の価値観を吸収し、武器にできれば、それが、販売促進につながる。僕はZ世代云々の「世代論」より、それをビジネスの活用に繋がる気づきを得たことのが大きい。
4.価値観を絡める事でSNSを活かす
面白いのは、それが手法というよりは価値観とうまく重ね合わせていくことで、ヒットが生まれるという構造である。
へぇと驚いたのは、原田さん曰く、今のZ世代は、親子の仲が極めて良好だ。だから、当たり前に親子でSNSに登場することだってある。だから、大手企業が「親子デート」というワードを用いてキャンペーンをしたし、現に、その切り口が話題になった。
自己承認欲求をある程度、満たしたいのがZ世代。しかしながら、それを自分の実力や身なりを誇示するのでは炎上するだけだ。そうではなく、周りの材料をうまく取り入れながら、見栄えの良いライフスタイルを演出するわけである。それが彼らの処世術。
何が言いたいかというと、そういうイメージを作り上げていくきっかけを作ることが、企業として、結果、拡散の土台となる。そのパワーは、かつてでいうところのマスメディアに取り上げられることに匹敵するというわけである。
昨今、話題になっている「Z世代」だけど、僕は単なる流行り廃りや世代論として受け止めるべきではないかもしれないと思った。流行りでZ世代を語るのはナンセンス。それよりは、マーケティングの手法としての見え方。
そのため、彼らの思考を考えることが、仕掛けのヒントになり、ひいてはマスメディアに置き換わるだけのポテンシャルがある。そこに気づけるかどうかが、この論議の肝にあたるだろう。
今日はこの辺で。