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時代を読む 特集

【特集】「デサント」「アイリスオーヤマ」に見るメーカーの奮闘

メーカーが視点を変えることで時代に即応しており、ここではまずはデサントの経営面からの転換についてと、アイリスオーヤマのなかなか家電などではリピーターを掴めないけれど、通販を巻き込むことで、メーカーの成果にもつなげようとしている点を取り上げたいと思います。

ものづくりが価値観に寄り添う時代

その会社に僕が関心を持った理由は、スポーツウェアの捉え方の転換にあります。

それは、デサントという会社であり、彼らは有数のものづくり企業。特に、スポーツという専門性に特化して成果を上げている事を誇りつつも、最近は特定ジャンルにとどめない。その専門性で培われた技術を、他のジャンルでも活かして、企業価値を最大化させようとしていて、その先頭に立つのが 代表取締役小関 秀一さんです。

今から遡ること3年前、この企業は伊藤忠商事から敵対的TOB(株式公開買付け)を受けて、それを機にこの会社の体制が一新されました。小関さんはそのタイミングで入ってきた社長であり、今もまだ、変化の過渡期にあるけど、それがどう変わっていったのかということと、企業価値の最大化というのがリンクしていて興味深いのです。

デサントは、ブランドを冠に掲げて、数多くのスポーツ用品を製造、販売しています。ブランドは自らのコーポレートブランド「デサント」の他に「ルコックスポルティフ」「マンシングウェア」「アリーナ」など9つ。強みはそれらを活かす高い商品力で、それがブランドの信用を高め、かつお客様からの信頼を得るに至っています。

小関さんが入社した時はまさにこの会社にとっての危機でした。聞く限りにおいては、彼が参画する前は、難しいブランドビジネスの運用への配慮を欠いたまま、売上至上主義を進めてしまった事が負のスパイラルに入ってしまったように思います。

危機的とも言える状況に陥ったと言えるのはどの辺の数値から導き出す事ができるのでしょうか。

・デサントは何を見失っていたのか

デサントは実は、2010年からの約10年の間に、3度に渡り「三ヵ年計画」を掲げています。売上上昇に伴い、会社の成長を意図するものでしたが、その10年を振り返ると、ほぼ売上の水準は平行線。その計画が指し示した上昇は見受けられませんでした。

小関さんが就任するまでの間で、最も利益が高かったのは「2015年」でその時の売上は697億円。売上はその後、伸びてはいるけど、実はこの2015年を境にして「利益」は減少に転じています。三ヵ年計画では「売上が伸びる事で利益も伸びる」と指摘していただけに、打つ手なしといった雰囲気が漂っていました。

ここで小関さんが強調するのは「ブランドには適正規模がある」という事。その場合、この売上至上主義的な売上だけを追い、同じやり方で推し進めたところで結局、企業としては疲弊します。また本来、彼らの強みを発揮すべき商品の価値を下げて、せっかく築き上げていた信用を失って売り上げすら減少していくことになります。

・思い切って変えるべきは変える

小関さんは就任後、まず同社がヨーロッパなどにも進出していたものを不採算部門と位置付け、大胆にクローズしていくなど、思い切った決断を見せました。

売上を増やすことだけ考えると、もっと多くの国に進出して、よりグローバルな展開をと考えがちですが、それこそが要注意だとするのです。

それまでデサントでの売上の中心は、日本、韓国、中国で、特に韓国での伸びは顕著。韓国は日本のように小売と卸の関係に捉われる事なく、現地の社長がメーカー兼小売を徹底させた事で、売上と利益の両面から、上昇気流にありました。

しかし、それは韓国の社長がたまたまそれだけ優秀だったからで「売り先を拡大した」から伸びたのではないと強調します。印象的だったのは小関さんが「大事なのは、経営資源は備わっているか」という言い方で、ヨーロッパへの進出に疑問を呈した事です。

問題はズバリ人材です。日本人と違う人に売ってもらい、買ってもらうということは生やさしい事ではありません。いくら商品力を訴求しても、その商品力を理解してもらうだけのポテンシャルがなければ撤退すべきだと判断したわけですね。

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