時代を読む まとめ
【特集】地名・姓名データの力で業界を支える「レムトス」—オペレーター支援からEC業界へ、新たな挑戦
日本各地の地名や難解な姓名データを収集し、これをビジネスに昇華した企業「レムトス」。コールセンターや店舗のオペレーター業務を効率化する支援ツールから始まった彼らのサービスは、今やEC業界にも大きな変化をもたらしています。今回は、レムトスの提供する「辞書屋のWeb Solution」の魅力と、その背後にある徹底したデータ収集の力を紐解きます。
苦戦する名前・地名の“読み方”で差別化
レムトスが作り上げた「漢帝Ver.5シリーズ」や「辞書屋のWeb Solution」は、コールセンターのオペレーターが顧客対応で抱える悩み、特に姓名や地名の読み方に対応するために開発されました。例えば、「いとう」という名前一つを取っても、実に88種類の漢字パターンが存在します。電話口でのわずかな時間で正確な対応が求められるオペレーターにとって、このような「読み方」のデータベースは業務の質を向上させる非常に貴重なツールです。
金子忍代表は、若い頃から全国を歩き回り、この膨大なデータを集めるために尽力してきました。その結果として集められた42万件もの姓名と57万件もの地名データは、今もなお最新情報に更新され続け、他にはない独自性を発揮しています。
DX推進とEC業界での新たなステージ
レムトスがこのデータベースをさらに進化させたのが、ECサイトでの活用です。デジタル化が進む中、住所入力のミスを自動で修正・提案する「辞書屋の住所クリーニングWebAPI」が「カラーミーショップ」のアプリストアに導入され、これがEC事業者の業務効率化に大きく貢献しています。例えば、顧客が住所入力時に誤字や順番の間違いがあった場合でも、このAPIが正しい情報を提案し、購入体験を円滑にサポートします。
金子氏は、従来のコールセンター向けサポートから発展し、EC業界のさらなる利便性向上にこのデータベースが役立つと確信。業務効率化だけでなく、消費者と企業の双方にとって快適なオンライン体験の提供を目指しています。
「辞書屋」の未来 — データとUI/UXへのこだわり
レムトスの最大の強みは、ただデータを蓄積するだけでなく、使いやすいインターフェースの提供にあります。コールセンター向けのツールとして始まったサービスも、PCやタブレット上で直感的に操作できるよう工夫されています。また、ECサイトではボタン一つで多くの店舗にAPIを導入できる形を整えるなど、データの力を無駄なく引き出すUI/UX設計が施されています。
この「辞書屋のWeb Solution」は、コールセンターからEC業界まで広く普及するポテンシャルを持ち、将来的には日本全国での導入が期待されています。「千里の道も一歩から」と言うように、下町企業としての根気強さでデータを蓄積し、ついにEC業界のニーズにも応える新たなステージへと到達したレムトス。これからの展望にも注目です。
1.「地名 氏名 でもうググらない? オペレーターを救う“辞書屋”レムトス」