時代を読む 特集
【特集】リンクス小橋さんに聞いてみた!物流 から見た トレンド 変貌の理由
物流がどうあるべきなのか。物流の専門家リンクスの代表取締役 小橋重信さんと話すと、そんなことを考えさせられます。物流の悩みに対しての解決は勿論、トレンドと物流がどう結びつくのか。それは未来への提言でもあります。小売と物流とが手を取り合って、より良き世の中にできるか。それを彼とのトークで考えたいと思います。
1.ZARAがなぜ世界一になれたのか?
ZARAは、物流を味方につけて、世界を牽引する企業はです。スペイン本国で徹底的にマーケティングリサーチを行い、そのデータをもとに、トレンドを分析。それを最短の時間で送り届けます。つまり、人の興味を抱くファッションとの間に、時間的なズレをなくしているんです。
注目すべきは、その物流コストへの捉え方。どう考えても航空便で全世界に届ければお金はかかります。でも、人の関心を抱く時間とのずれをなくすことに重きを置くと、それが差別化要因になります。これまでは「コストの対象」でしかなかった物流を武器に変えて、世界一位へと駆け上がったのです。
関連記事:ZARA を世界一へ導う 戦略 高い 利益率 の秘訣
2.Choosyの革命
最近、脚光を集めているブランドに「Choosy」というブランドがあります。その中身はまずInstagramで流行っているものをクローリングします。そして「皆ならどれが欲しい?」と問いかけます。問いかけた相手から200枚、買う声が集まれば、商品化されちゃうんです。そして、できるまでの時間はわずか2週間。つまり、早く届けるという視点で、物流が他との差別化要因になっているわけです。
これまでは、お客様の方がファッションに合わせている時代。そこから、ファッションの方がお客様に合わせる時代になったということなんです。
関連記事:最速 アパレル SNSでニーズを掴んで 48時間以内 で生産 Choosy 成功術
3.ECでもリアルでもなく混ざり合った小売の時代
実は、オムニチャネルの売上シェアが小売全体の4割を超えています(野村総合研究所/2019)。ウォルマートの例を見ればわかる通り、彼らはネットでの受注を強化しました。とはいえ、通常のネット通販ではありません。強化したのは「デリバリー」ではなく、「ピックアップ」だったのです。後発である彼らがネット通販のAmazonのような「デリバリー」で追いつくのは無理があります。でも、逆にいえば、豊富なリアル店舗はAmazonにはありません。
だから店内でスタッフがピックアップする事で、店にまできてくれたら効率よく生鮮食品など、鮮度高くお渡ししますよと。そうすれば、ネットの価値をリアルの付加価値と紐づけて、他にはできない差別化要因とできるわけです。これがいわゆるオムニチャネルの考え方の学ぶべき本質的理解です。
関連記事:飛躍は“オムニチャネル”にあり ウォルマート に学ぶ リアルとネットの融合
4.Amazonの顧客起点は世界を変え、物流の意義に気づかせた
顧客を最優先していく発想は、ネットの王者Amazonもそう。彼らの発想はこれまでの既成概念を打破しました。
これまでは「場所」ありきで小売は考えられていました。つまり、そこに「人」を集めて「商品」を揃えることで生産性を高めたわけです。でも、Amazonは「顧客」を起点にして、そこに色々な形で変幻自在にアプローチします。その中でキーになるのが物流。あたかもそれが存在しないかのように思わせるほど、企業内での物流の存在感を発揮させたのです。
小売 戦略 は “場所”でなく“顧客視点” Amazonの動きに学ぶ
4.小売が物流をテコに変貌を遂げた
上記の通り、Amazonと並んで、勢いに乗るのがウォルマートです。ここでは問屋という概念で、ウォルマートを見ていきましょう。彼らは店とメーカーとの役割を上手に分担して、お互いの力を最大化しています。日本の商いとの違いを知ることで 日本 の“小売”やブランドが 未来 に向けて飛躍していくヒントを見出しましょう。
関連記事:アメリカ 日本 “小売”の 違い ネットで“個人商店”をやるのが 日本の価値