時代を読む 特集
【特集】「利益も売上も、“物流の理解”から」──数字で読み解く通販経営のリアル
売上は伸びているのに、なぜか利益が残らない。そんな悩みの裏にあるのは、“物流”という見落とされがちな要素。実はそこに、売上も利益も変えるヒントが眠っている。この特集では、物流を「コスト」ではなく「経営資源」として捉える視点から、現場で使える考え方・管理指標・在庫戦略までを深掘りする。
第1章:「利益と売上は、物流の理解から始まる」
「物流理解で利益も売上もアップさせる秘訣」—スクロール360 高山氏&リンクス 小橋氏
•物流コストは単なる経費ではなく利益の源
高山氏と小橋氏が語るように、物流をコストとしてだけでなく利益を生む手段と考え直すことで、売上と利益の向上が見込めます。特に物流コストを数値化して可視化することが、収益向上に繋がると強調されています。
•デシル分析で在庫を効率化
デシル分析を活用し、売れ筋商品を把握して、在庫管理を最適化することで、不要な在庫を減らし、資金効率を高めることができます。このような綿密な在庫管理はキャッシュフロー改善にも役立ち、事業の持続可能性を高める要素となっています。
•受注予測で更なる効率化を
また、高山氏と小橋氏は、過去の販売データに基づく「受注予測」の重要性を語ります。在庫の最適化を実現し、物流コスト削減と売上増加を両立するためには、こうした予測の精度向上がカギとなります。
参考記事:通販企業が“物流“を理解すれば“利益“も “売上“もUPできる理由 高山氏&小橋氏
第2章:「動かす商品を絞ることで、強みが生まれる」
•「防音」という市場特化が生み出す差別化
ピアリビングは防音に特化した商品で独自のポジションを確立し、「最短365日発送サービス」を通じて、ネット通販の新たな価値を提供しています。この「防音」に絞ることで、商品の販売と配送が効率化されています。
•回転率を活かした在庫管理でスピード配送
在庫回転率の早い商品だけを選定し、期末在庫金額をもとに回転月数を把握しながら管理することで、無駄な在庫を持たずにキャッシュを確保する仕組みを構築。この仕組みは、顧客への迅速な商品提供を支えています。
•在庫の絞り込みが生産性を向上
ピアリビングは回転率の早い商品のみにサービスを適用することで、生産性を高めています。この体制により、無駄なコストを削減しながら、顧客満足度を上げる物流運営が実現されています。
参考記事:在庫 回転率 で強み発揮 ピアリビング ネット通販がネット通販たる所以
第3章:「数値で判断し、倉庫とともに育てる」
•繁忙期に応えるための物流体制の見直し
季節商材「ところてん」を扱う栗原商店は、過去の失敗から学び、物流を見直して機会損失の防止に努めています。特に繁忙期における体制強化は、売上増に直結する重要な要素です。
•TOC理論で物流のボトルネックを解消
栗原商店は「TOC理論」を用いて、業務フロー全体を見直し、ボトルネックとなっていた出荷体制を改善しました。この取り組みにより、注文が集中する時期にも対応できるようになり、効率的な出荷体制が整いました。
•物流基盤を整え広告施策の効果を最大化
出荷体制が整ったことで、広告施策に注力し、受注に対応しやすい体制が確立されました。これにより、繁忙期でも広告効果を最大化でき、効率的な売上向上が実現されています。