陸前高田に“希望の芽”──前内さんが育てたピーカンナッツと雄花の物語

145マガジンでは、人の挑戦や言葉だけでなく、
その背後にある「土地の記憶」や「想いの芽生え」も丁寧に記録しています。
今回訪れたのは、岩手県陸前高田市。
2011年3月11日の東日本大震災で被災したこの地に、**確かに“希望の芽”が生まれる瞬間**を目の当たりにしました。
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きっかけは、一粒のチョコレートから
この地を訪れたきっかけは、チョコレートの名店「サロンドロワイヤル」の前内さんとの会話から始まりました。
前内さんは、震災後に人が住まなくなった土地に、ピーカンナッツの木を植林し、
隣接する嵩上げ地には、ナッツの専門店と工場を立ち上げました。
まさに、土地を再び“人が集う場所”へと再生させる取り組み。
その物語を、自分の目で見てみたいと思ったのです。
東北への想いと、心の友との再会
東北で生まれ育った私にとって、この地への想いは今も強くあります。
そんな背景もあり、訪問前日にはマルヤ水産の千葉さんと一ノ関で合流。
「久しぶり!」と盃を交わしながら、翌日の訪問に向けて気持ちを整えました。
雄花が芽吹いた、その瞬間に立ち会えた奇跡
そして翌日、前内さんに案内してもらいながらナッツ工場を見学し、
「せっかくだからピーカンナッツの木も見ましょう」と案内されたそのとき、
前内さんが声をあげました。
「雄花が出ている!!」
植えてから2年。
この日初めて、その木に“雄花”が芽吹いたのです。
前内さんの表情がふわっと明るくなり、
その場にいた私も、千葉さんも、自分のことのように笑顔がこぼれました。
木が教えてくれた「希望」のかたち
一本の木に生まれた雄花。
それは、食材としてのピーカンナッツの可能性であると同時に、
復興を象徴する“希望の芽”として、私たちの心に深く残りました。
震災からの復興は、簡単に語れるものではありません。
でも、そこに関わる人の思いと行動が、こうして小さな芽吹きへと形を変える。
それを目の前で感じられたことは、何にも代えがたい体験でした。
“記事には書ききれなかった瞬間”を記録する
今回の訪問をきっかけに、145マガジンでは前内さんの取り組みを取材し、記事としてまとめました。
📰 サロンドロワイヤル前内さん、陸前高田でピーカンナッツと共に歩む挑戦
けれど、実際に現地を訪れて、前内さんの目の前で“雄花が芽吹いた瞬間”に立ち会ったとき、
これは言葉だけでは伝えきれない体験だと強く感じました。
この記事は、そんな「記事に書ききれなかったもう一つの物語」として、ここに記しておきたいと思います。
最後に──人の営みと自然のリズムの中で
この日、雄花を手にした前内さんの表情は本当に素敵でした。
その一枚の写真には、たくさんの人の努力と、希望と、祈りが詰まっているように感じます。
前内さん、本当にありがとうございました。
そして、心の友・千葉さん、今回もありがとう。また一緒に、面白いことを仕掛けましょう。