世の中をアイコンで表現する──佐藤可士和展で得た“思想をかたちにする力”

先日、佐藤可士和展に足を運びました。正直、期待以上に引き込まれた時間でした。特に印象的だったのは、音声ガイドで流れていたこの言葉:
「一番最初にMacを開いて、そのアイコンを見たときに思ったんです。
世の中もまた、アイコンで表現できるのだと。広告とはそういうものだと。」
その瞬間、“ものごとの本質を、直感的に伝えるということ”について、改めて考えさせられました。
表現とは、アイコンであり、思想の翻訳だった
SMAPのプロモーションでは、赤・青・黄色というアイコン的な色彩を用い、街全体を“メディア”として活用していた話。ユニクロのロゴにカタカナ表記を採用したのは、「日本語らしさを、世界へ向けて発信したい」という柳井社長の思想がベースにあるという話。
どれもが“表面的なオシャレ”ではなく、その企業の原点や姿勢を翻訳した“思想の表現”だった。
“表現の本質”は、企業の中身と結びついている
ロゴやアイコンは、単に視覚的に整えるためのツールじゃない。企業の中にある考えや哲学を、瞬時に伝えるための“思想の容器”なのだ。だからこそ、佐藤さんが手がける多くの仕事には、“意味”が通底しているように感じた。
「その企業が、なぜ存在するのか」
「どんな立場で、何を大切にしているのか」
そういう“内側”を読み取り、デザインという“外側”に置き換えていく作業。それこそが、彼の仕事の真骨頂なのだと思います。
僕自身にも重なった、“言葉をかたちにすること”
145マガジンを運営していると、「言葉で思想を伝えること」に常に向き合っています。だからこそ、この展示会で得た気づき──
「思想は、かたちにしなければ届かない」
という視点は、僕にとってとても大きな意味がありました。
何を信じて、どう発信するか。それを“かたち”にするには、ロゴも、アイコンも、文章も、きっと本質的には同じなんです。
最後に
ユニクロのロゴを見たとき、SMAPの赤青黄を街で見たとき、その“見えるもの”の背後には、見えない思想の積み重ねがあった。デザインを見に行ったつもりが、「編集者として、自分はどう“思想を届けているか”」という根本的な問いをもらったような気がしています。これからも、145マガジンという“思想の編集装置”を、ちゃんと“意味のあるかたち”として届けていきたい。