時代を読む 特集
【特集】「好き」がにじむ表現たち──デザフェスminiで出会った作家たち
思わず「おおっ」とYOSHIOKAさんと遭遇して、声が漏れた。自分がかつて、彼の描いたイラストをもとにバッグをうちのメディアで制作させてもらった“仲間”だから。ここは、デザインフェスタmini。にぎやかな展示会場の一角で、そっと佇む小さなブースたち。そこには、大きな声よりも、小さな“こだわり”が詰まっていた。僕はこの世界が好きだ。自分の「好き」や「想い」を、そのまま形にした作品たちは、量産品にはないぬくもりと輪郭を持っていた。
作る理由、表現する理由、それぞれの“今”を支える動機──。きっと、クリエイターたちの生の声のどれもが今この時代を生きるヒントになるはず。ここでは、その中でも特に印象的だった3つのストーリーを紹介する。ぜひ、それぞれのページで、彼ら/彼女たちの言葉に触れてみてください。
【1】17歳、高校生。表現はまだ、変わり続ける
──「今の自分にしか出せない表現がある」
ややギョッと思うようなテイストでありながら繊細、曖昧なままに作家の“リアル”を閉じ込めたような作品。
普段は物静かだという彼女が、実はその胸の内では、これほどグロテスクな表現をしている。そのギャップすべてがそのまま作品に面白く、表れていた。
純粋に、未来を見据えて、これから何を表現し、どう活動をしていくのかが楽しみになった。
【2】「好きこそものの上手なれ」が、ここにあった
──刺繍、犬のキャラ、布小物。それぞれの“好き”が光る群像ドキュメント
誰に頼まれたわけでもない。ただ、時間ができると、つい手を動かして編みたくなる。刺繍に魅せられ、自然と創作を始めた作家がいる。
今ではほとんど見かけなくなったカセットテープ──でもその独特の形に面白さを感じて、雑貨として仕立てた。
「この絵で、誰かが少しでも元気になれたら」そんな願いを込めて描いた絵は、実際にインテリアとして飾られ、空間にやさしくなじんでいる。ただ好きだから続けてきた創作が、気づけば人の心と生活に寄り添っていた。願いを、自分の手で叶えている作家だ。
そんなふうに“手が動いてしまう”作家たちが、それぞれの世界観を持ち寄って並んでいた。
刺繍、イラスト、布小物…手間を惜しまず、楽しそうに作り込む姿は、ものづくりの原点そのものだった。
【3】語ること、作ること、つなげること
──オノダエミ×福士悦子が語った「作家活動のリアルとこれから」
イラストレーターでありながら、手づくりの現場に長く立ち会ってきた2人。
今回のイベントでは、作り手としての過去と現在、そしてこれからの話を語り合った。
貫いてきたからこそ、得られる実感。作家同士の対話から見えてきたのは、“好き”を続けるための知恵と工夫。
作り続ける人のリアルな声に、ものづくりの価値がにじみ出る。
「作る」は、誰かとつながるはじまり
クリエイターたちが語ってくれたのは、
「うまく作る」よりも、「自分らしく作る」ことの面白さだった。
この特集をきっかけに、あなたも誰かの“表現”と出会い、なにかが動き出すかもしれない。
今日はこの辺で。