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見えない道を進む

今、僕は新青森に向かう新幹線の中で、この原稿を書いている。

この青森に向かっているのは、ネット通販を運営するショップの店長による集まりで、合宿が開かれるそうで、僕もそこにお呼ばれしたからだ。それでいて、新幹線の列車の中でこんな風になぜ自分の胸中を述べる文章をかいているかと言えば、一つの決意を胸にしているからだ。

今まで僕はとあるネット通販に関するBtoBウェブメディアで編集長を務めていた。それまで編集部すらなかったそのメディアであったが、ジョインした後、僕はせっせと記事を書いて企画をして、そのうち、編集部が生まれるとメディアは周りの支えもあって成長し、僕は編集長となった。そして今やそのメディアは月間50万PVになるまでのメディアになった。その事を誇らしげに言うつもりはない。くどいが、あらゆる人の協力があってこそのことだからだ。

今日の話はここからである。まさに、メディアとして成長した今、思うところあって、あっさりそのメディアを運営する会社を辞めてしまった。突然の決断に、驚く人もいた。

少し休みたいとも思っていたので、最終出社日の後、僕は周りの人達の勧めもあって、伊勢神宮に行った。御神楽と呼ばれる祈祷を受け、温泉に入って、湯につかりながらふと思った。「僕なりにメディアを作れたらな」と。漠然とした想いである。

そして、頭に浮かんだのは、辞め間際に幾つかの取引先の方々が見せてくれた光景だ。僕の写真が入ったケーキを持ってきたり、花束を持ってきたり、直筆の寄せ書きをされたりと実に、嬉しいサプライズを用意してくれた。辞めようとしている僕な訳だから、そこには損得勘定抜きにして、感謝されていたんでじゃないかと思う。

それなりに僕のメディアにかける想いや信念が通じたのかもしれないと思った。そして、これからも純粋にこの人達と繋がって、これからもどんな価値をもたらせられるだろうと考えていた。だから、なんとも無謀な話ではあるが、資金も大してないのに、「僕なりにメディアを作りたい」と。ただ、前に所属していたメディアと違った形で、僕なりの立場でまた感謝されるようなメディアを作れないかと。

あともう一つ。
これは、自分の時代感覚に基づくものでもある。今やメディアは必ずしもマスばかりが影響力を持つわけではなく、もっと個が発信してそこに共感した人たち同士の集まりが生まれて、影響力を生み出せる時代なので、それを僕がやったらどうかという仮説でもある。

その「僕なりのメディア」の中で、僕が向き合い、お話を伺い、それと同時に伝えたい相手。それは、“売り方”に悩む人たちだ。自分の売り込み方、商品の売り方、自分のキャラクターライセンスの売り込み方、丹精込めて作った農作物の売り込み方などだ。それを読んだ人の変化が消費者を触発して、日本にもっと素敵で印象的な生活シーンをもたらす、というのがまず一つ念頭にある。

とはいえ、無料では僕がご飯を食べていけないので、どうしよう。ここが悩みどころである。

ただ、何れにせよ、動かないと始まらない。まず記事を書かずして、自分が何を考え、どういう価値観を持ち、何をしたいのかが誰にもわからない。そこで、「僕なりのメディア」の切り口や姿勢を示すべく、十和田に向かい、その現地で取材をしたいと思ったのだ。

すごく前置きが長くなった。(苦笑)。

以前にも増して、読者と近い、真に向き合ったメディアを作りたいと思っている。飯を食っていくには、自分でも相当無謀なものだというのは分かっている。ただ、一歩を踏み出してみようと思う。

青森に向かうこの新幹線で、なんだかわからないまま、記事を書くことから、僕の新たな挑戦は今、出発進行したわけだ。

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145はマガジンは「ヒットの生まれ方と育て方を考えるメディア」。キャラクターなどのコンテンツ関連と新しい小売りの最新情報、商品開発の実態を追うメディアです。
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石郷 学

株式会社 team145 代表取締役 

ジャパンEコマースコンサルタント協会 客員講師 

776.fmラジオ『connect』準レギュラー

Next retail Labフェロー 

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