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ニコニコ超会議2026──原点に立ち返った“主役はクリエイター”という思想

幕張メッセ全館で開催されたニコニコ超会議2026を歩いていて、ふと立ち止まる瞬間があった。来場者も13万8,228人に増え、コロナ禍以降で最多を更新する規模となった。ただ、このイベントの中心にあるものは変わっていないどころか、むしろより鮮明に浮かび上がっていた。それは「クリエイターが主役である」という原点だ。どこを歩いても人の熱量があり、気づけば時間が過ぎている。初めて訪れても、自然とその空気に引き込まれる。なぜここまで惹きつけられるのか。その理由は、単なる規模や企画数ではなく、この場に流れている“関係性”にあるのだと感じた。

“ごった煮”が人を惹きつける──自由度の高さが生む発見の連続

会場を歩いて最初に感じるのは、ジャンルの境界が曖昧であることの面白さだ。企業ブースの隣に個人の出展があり、その横をコスプレイヤーが通り過ぎる。

この“ごった煮”の状態は、一見すると整理されていないように見えるが、実際には強い吸引力を持っている。また、現役閣僚である小野田紀美大臣が会場を視察し、そうした来場者と自然に交流する姿も印象的だった。トークでは自身のニコニコIDが6桁であることを明かし、会場は大きな笑いに包まれる場面もあった。文化の“外側”にいるはずの存在が、違和感なくこの空間に溶け込んでいる光景は、このイベントの自由さを象徴しているように感じた。

 結果、初めて来た人でも自然とイベントの中に入り込めるし、何度も訪れている人にとっては新しい発見が尽きない。整理された展示ではなく、“混ざり合うこと”そのものが価値になる。この構造が、ニコニコ超会議ならではの魅力を生んでいると感じた。

ヤバシティに並ぶ理由──“推しの世界に入る”という新しい体験価値

 会場を歩いていて、明らかに人の流れが滞っている場所があった。長い行列ができていて、その多くが若い女性で占められている。その先にあったのが「ヤバシティ」というブースだ。

 ヤバシティは、ゲーム実況者グループ「まじめにヤバシティ」を中心に展開されているコンテンツで、配信や動画で培ってきた関係性や世界観を、リアルの空間として体験できる企画である。単なるトークやライブではなく、空間演出やフォトスポット、限定グッズなどを組み合わせることで、“視聴していた世界に入り込める”ように設計されているのが特徴だ。お花見をテーマにした装飾やフォトスポットがあり、来場者はそこで写真を撮り、空間を楽しむ。さらに限定グッズの販売もあり、しかも数量制限がかかっているため、並ばなければ手に入らない設計になっている。

 こうした“世界観ごと楽しむ”設計は、いわゆる推し活と非常に相性が良い。

写真に残し、共有し、思い出として持ち帰る。ファン同士の共有体験である。この一連の流れまで含めてコンテンツになっている。こうした体験型の設計は、配信文化と地続きにあるものであり、その延長線上にニコニコ超会議があることを、あの行列が象徴していた。

“みんなで一体になる”体験──盆踊りに凝縮された熱狂の正体

 また、会場の象徴とも言える「超ニコニコ盆踊り」では、単なるステージイベントとは明らかに異なる熱量が生まれていた。やぐらを中心に人が集まり、音楽が流れ出すと、自然と体が動き始める。

 隣にいる人が誰なのかは関係なく、同じリズムに合わせて踊り、声を上げる。その一体感が、場の空気を一気に変えていく。ここでは“見る側”と“演じる側”の境界がほとんど消えている。誰もがその場の一部として参加し、熱狂を共有する。知らない人と肩を組んで踊るという非日常的な体験が、違和感なく成立してしまうのは、このイベントが持つ文化的な土壌があるからだろう。

 日常ではなかなか味わえない“全員参加型の楽しさ”が、この盆踊りという形で凝縮されていた。その体験こそが、多くの人を強く惹きつけている理由の一つだと感じた。

ひろゆきビールに集まる理由──“飲む”ことで生まれるゆるやかな関係性

 会場の中で、もう一つ印象的だったのが「ZUNビール&ひろゆきビール」のブースだ。場所はHALL10の一角。ビールそのものは、柚子の香りを効かせたクラフトビールで、爽やかさとコクのバランスが特徴的な一杯だった。ただ、この企画の本質は味そのもの以上に、“誰とどんな時間を過ごすか”にあるように感じた。

 実際、ブースの周辺には自然と人が集まり、グラスを片手に会話が生まれている。知らない人同士でも「それ美味しいですか?」といった一言から話が始まり、そのまま乾杯へとつながっていく。その空気は、いわゆるイベントの“消費”とは少し違う。どちらかといえば、その場にいる人たちが関係性を作り出している感覚に近い。

 さらに印象的だったのは、ひろゆきさんやZUNさんといった存在が、その輪の中に自然に入り込んでくることだ。ステージの上から見せるのではなく、同じ空間の中で同じ時間を共有する。その距離感の近さが、この場の価値を一段引き上げているように見えた。結果として、ここには“ビールを飲むための列”ではなく、“その空気に入りたい人たちの列”ができていた。ニコニコ超会議という場が持つ、ゆるやかで自由な関係性。その一端が、このビール企画に凝縮されていたように感じた。

原点回帰が生む強さ──変わらない思想が熱狂を生み続ける

 今回の体験を通して最も印象に残ったのは、このイベントが“変わらないこと”を大切にしている点だった。クリエイターが主役であり、自分の個性を発揮する場であるという原点。

 その軸がぶれていないからこそ、どれだけ規模が大きくなっても、イベントの本質は揺らがない。その結果として、さまざまな個性が集まり、自然とカオスが生まれる。そして、そのカオスに惹かれて人が集まり、さらに熱量が高まっていく。この循環が、ニコニコ超会議という場を支えているのだろう。

 そこに小林幸子さんや鬼龍院翔さんといった存在が加わることで、さらに華やかさが増すが、あくまで主役は変わらない。この“主役を守り続ける構造”こそが、長く支持される理由なのだと感じた。

 歩き終えたあとに残るのは、「楽しかった」というシンプルな感情と、「また来たい」という自然な欲求だった。

その裏側には、クリエイターと来場者が同じ場を共有し、関係性を生み出していくという、このイベントならではの構造がある。ニコニコ超会議は、何かを一方的に見せる場ではなく、誰もが参加し、何かを持ち帰ることができる場だ。その本質が変わらない限り、この熱狂はこれからも続いていくのだろう。

 今日はこの辺で。

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