ジェラート ピケが「疲労回復」を着るものにした理由──リカバリーウェアで広がる、部屋着の新しい価値
「部屋着に着替える」という行為は、これまで一日の終わりに身体を休めるためのものだったのかもしれません。けれど、その服自体が疲労回復を助けてくれるとしたら、部屋着の意味は少し変わってきます。
ルームウェアブランド「gelato pique(ジェラート ピケ)」が2026年8月19日に発売したのが、「GELATO PIQUE リカバリーウェア」です。ブランドらしい柔らかな肌触りやデザインはそのままに、特殊加工した繊維による遠赤外線の作用で血行を促進。疲労回復や筋肉の疲れの軽減などを目的とした、一般医療機器の届け出をした衣類です。
発売にあわせて開催されたイベントには、「GELATO PIQUE リカバリーウェア」のビジュアルモデルを務める俳優・井桁弘恵さんと、「よしもと美容部」を牽引する“美容番長”としても活躍する、お笑いコンビ・レインボーの池田直人さんが登壇しました。多忙な日々を送る2人が実際にリカバリーウェアを着用し、束の間のリラックスタイムを体験しながら、自身の休み方や商品の着心地について語りました。
興味深いのは、単に「機能性の高い服」を作ったわけではないことです。スムーズィー、サテン、ミルフィーユという、ジェラート ピケがこれまで培ってきた素材や世界観の中へ、リカバリーという新しい機能を入れています。
「かわいいから着たい」と「身体を休ませたい」は、別々のものではなくなるのかもしれません。2人の体験も交えながら、ジェラート ピケが提案するリカバリーウェアから、部屋着という商品の新しい価値を考えてみます。
1.「着て休む」が疲労回復につながる──ジェラート ピケが始めたリカバリーウェア
今回の「GELATO PIQUE リカバリーウェア」で、まず押さえておきたいのは、その仕組みです。採用されている原材料繊維には高純度セラミックを定着させる加工が施されています。身体から発せられる遠赤外線を吸収し、それを肌へ放出することで血行を促進するというものです。
発表では、その作用によって「血行促進」「疲労回復」「筋肉の疲れを軽減」「筋肉のハリ・コリ緩和」を図ると説明されています。商品は一般医療機器として届け出られた衣類です。つまり、見た目はジェラート ピケのルームウェアでありながら、その内側には身体の回復を支える機能が組み込まれています。
ここが、この商品の面白いところだと思います。
リカバリーという言葉からは、スポーツ後の身体のケアや、いかにも機能性を重視したウェアを想像しがちです。しかしジェラート ピケが持ち込んだのは、もっと日常的な「おやすみ時間」です。特別なことをするのではなく、家へ帰って着替え、いつものように過ごして眠る。その時間そのものを回復の時間に変えていきます。
実際に着用した井桁さんは、包まれているような感覚の気持ちよさに触れながら、それだけでも心が癒され、さらに身体の回復まで支えてくれることへの驚きを語っていました。池田さんも、生地に触れたときの柔らかさや、肌に引っかかるような感覚が少ない心地よさに注目していました。
機能を得るために何かを我慢するのではなく、まず「気持ちいい」がある。その延長線上に身体への機能があるからこそ、ジェラート ピケらしいリカバリーウェアになっているのでしょう。
2.機能を前面に出しすぎない──「ジェラート ピケらしさ」を残した商品設計
機能性商品では、どうしても「何に効くのか」が主役になりがちです。しかし今回の商品を見ると、ジェラート ピケはそこだけで勝負していません。
象徴的なのが商品ラインアップです。ブランドの定番素材である「スムーズィー」を使ったリカバリースムーズィーでは、ボーダーパーカとロングパンツのセットアップを展開。レディースは9,900円、メンズは10,890円です。さらにプルオーバー&ロングパンツセットは、レディース17,930円、メンズ18,920円となっています。
一方、「リカバリーフォンダンサテン」は、ほどよい光沢感を持ったサテン素材を使った、少し大人っぽいシリーズです。レディース18,920円、メンズ19,910円。さらに、柔らかくほどよい厚みのカットソー素材を使った「リカバリーミルフィーユ」は、ジェラート ピケらしいベアをあしらったTシャツと総柄のロングパンツを組み合わせ、レディース14,960円、メンズ15,950円としています。
つまり「リカバリーウェア」という一種類の商品を作ったのではありません。
ふわふわしたものが好きな人もいれば、サテンの肌触りが好きな人もいる。かわいいベア柄を家で楽しみたい人もいる。その人が普段ジェラート ピケを選ぶ理由を崩さず、その選択肢の中に「実は身体の回復にもつながる」という価値を足しています。
井桁さんが「機能もあって、それでいて可愛い」と魅力を語っていたのも、この商品設計をよく表しています。機能のためのデザインではなく、好きなデザインを選んだ結果、機能も付いてくる。この見せ方には、ジェラート ピケというブランドだからできる強さがあります。
3.井桁弘恵さんと池田直人さんの「休み方」から見えた、リカバリーの意味
イベントでの井桁弘恵さんと池田直人さんの会話を聞いていると、もう一つ面白いことに気づきます。それは、人によって「休み方」がまったく違うことです。
忙しい日々を送る2人ですが、リラックスタイムの過ごし方にはそれぞれの個性が出ます。池田さんは、家へ帰って好きなコンテンツを楽しんだり、お酒を飲んだりしながら過ごす時間について話しました。一方、井桁さんは海へ行ってぼーっとしたり、読書をしたりすることをリラックス方法として挙げています。
また、身体を使った後の疲れについての話も出ました。楽しい時間を過ごしている最中は気にならなくても、帰り道になると足がパンパンになる。そんな経験は、特別にスポーツをしている人でなくても思い当たるものがあります。
つまり「回復」は、寝ている数時間だけの話ではありません。
仕事から帰り、緊張がほどけ、好きなことをしながら過ごし、眠り、翌朝を迎える。ジェラート ピケがもともと扱ってきたルームウェアは、まさにその時間に最も近い商品です。そこへリカバリー機能が加わったことで、ブランドが扱える価値が「心地よく過ごす」から「心地よく過ごしながら身体を休ませる」へと一段広がったように見えます。
疲れたから何か特別なケアをするのではなく、いつもの生活の中へ回復を組み込む。井桁さんと池田さんという、多忙な2人の何気ないリラックス方法を聞いていると、この商品の位置付けがより分かりやすく見えてきます。
4.「誰かにあげたい」が自然に出てくる──リカバリーウェアがギフトになる理由
今回の発表では、リカバリーウェアを自分へのご褒美だけでなく「大切な方へのプレゼント」としても提案しています。ここにも、ジェラート ピケならではの特徴があります。
疲労回復をうたう機能性商品を贈るとなると、普通なら少し選びづらさがあります。「疲れているでしょう」と伝えるようにも見えるからです。しかし、もともとルームウェアをギフトとして選ばれてきたジェラート ピケであれば、その意味が変わります。
まず目に入るのは、柔らかな素材やボーダー、ベアといったジェラート ピケらしいデザインです。さらに今回、商品はベアモチーフのオリジナルパッケージに入れて届けられます。そのかわいらしさの中に「身体も休ませてね」という機能的な意味が重なります。
イベントでも、井桁さんと池田さんの会話の中から「誰かにあげたい」という言葉が自然に出てきました。これが、この商品の特徴をよく表しているように思います。
例えば、仕事を頑張っている人へ贈る。身体を動かすことが好きな人へ贈る。あるいは夫婦やパートナーでお揃いにする。今回の商品にはレディースだけでなくメンズも用意されているため、そうした選び方もしやすくなっています。
「ちゃんと休んでね」という気持ちを商品に載せられると考えれば、リカバリーという機能は単なるスペックではなくなります。
かわいいルームウェアという従来のギフト価値に、相手をいたわる意味が加わる。機能がコミュニケーションになるところにも、この商品ならではの可能性があります。
5.「かわいい」と「機能する」は両立する──部屋着の価値はどこまで広がるのか
今回のリカバリーウェアを見ていると、ジェラート ピケがまったく違うカテゴリーへ進出したというより、自分たちがこれまで提供してきた価値を一段深くしたように感じます。
ジェラート ピケが長く提供してきたのは、単なる寝間着ではありません。ふわふわした素材に触れたり、好きな柄を選んだり、家の中だからこそ少し遊びのある服を着たりする。そうやって、一日の終わりを少し心地よいものにすることがブランドの価値でした。
そこへ今回、「身体の疲労回復」という明確な機能が入りました。
しかも、従来の商品を否定していません。スムーズィーの柔らかさも、サテンの光沢も、ベアのかわいらしさも残っています。実際に着用した井桁さんや池田さんから最初に出てきたのも、機能についての難しい説明ではなく、「柔らかい」「気持ちいい」「かわいい」といった感覚的な言葉でした。その先に、血行促進や疲労回復という機能があります。
ここは、機能性商品の作り方として興味深いところです。
技術から商品を考えると、どうしても機能を説明することが中心になります。しかし、生活者が欲しいのは技術そのものではありません。疲れた日に家へ帰ってほっとしたい。ゆっくり眠りたい。翌朝を少し気持ちよく迎えたい。そして、大切な人にもちゃんと休んでほしい。
「着るものだから、かわいいものがいい」と「疲れているから、身体を休ませたい」。
その二つを一着の中でつないだところに、「GELATO PIQUE リカバリーウェア」の面白さがあるのだと思います。
今日はこの辺で。