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AIは、もはや技術イベントだけの話ではなくなったー楽天はなぜ“AI Optimism”を開くのか──

AIのイベントと聞くと、多くの人は新しい技術発表会を思い浮かべるかもしれない。その内容を見ていて、僕は少し違うところに目がいった。楽天グループは、2026年8月5日から7日までの3日間、パシフィコ横浜で「Rakuten AI Optimism」を開催する。AIをテーマにしたグループ最大級のイベントだという。

 もちろん楽天グループの三木谷浩史氏は登壇する。しかし、それだけではない。LINEヤフーのシニアストラテジストであり、慶應義塾大学教授でもある安宅和人氏、教育分野で活躍する小宮山利恵子氏、金融市場を分析する中島三養子氏など、顔ぶれは実に多彩だ。

 興味深いのは、その多くが純粋なAI技術者ではないことである。AIが登場した当初、議論の中心は「何ができるのか」だった。画像生成はどこまで進化するのか。文章生成は人間を超えるのか。そうした性能競争に注目が集まっていた。

 ところが今、議論は明らかに次の段階へ進みつつあるのではないか。AIが社会に浸透し始めたことで、問われているのは技術そのものではなくなった。教育はどう変わるのか。働き方はどう変わるのか。企業経営はどう変わるのか。人間の判断はどう変わるのか。

 つまり、AIはもはや一部の技術者だけのテーマではなくなったのである。だからこそ、今回のイベントには教育、経済、経営、研究といった多様な立場の人たちが集められているのだろう。

楽天自身がAIの社会実装企業になろうとしている

 今回のイベントの内容を見ていると、楽天が単なるAI活用企業ではなく、「AIの社会実装企業」になろうとしていることがわかる。最近の動きを振り返ると、その方向性は少しずつ見えてくる。楽天はRakuten AIを発表し、AIエージェントの開発を進めている。

 その背景を考えると、楽天市場では購買体験の高度化が進み、楽天モバイルは膨大な通信データを持つ。そして先日発表されたファミリーマートとの連携では、リアル店舗の日常的な購買データまで取り込もうとしていると僕は見ている。エージェントとしての働きを、最大化させるために、それらのデータを駆使するのである。正直、既存のAIからショッピングや旅行をすることはあるだろう。だが、楽天のように、長年、買い物などの領域で、細かく情報収集できているとは言えず、ごく標準的な回答をしてくるだろうと思う。

 そこで、エージェントとしての真価が発揮されるわけであり、こういうイベントを通して、多方面の専門的、かつ実用的な議論がなされることは、彼らにも、ユーザーにもプラスになるというわけである。

 つい先日、Google I/Oでも感じたことだが、AI競争の本質は性能競争だけではない。どれだけ人の日常に入り込めるか。どれだけ生活の文脈を理解できるか。その競争が始まっている。楽天はその舞台を自ら作ろうとしている。

AI時代に必要なのは競争よりも共創なのかもしれない

 今回のイベントの紹介文には、「共創」という言葉が何度も登場している通り、AIは一社だけで完成するものではない。教育現場があり、研究者がいる。企業があり、消費者がいる。そのすべてがつながって初めて社会実装が進む。

 振り返ってみると、楽天が長年積み上げてきた70以上のサービス群は、結果としてAI時代に大きな意味を持ち始めているようにも見える。異なる業界の知見を持ち寄り、新しい価値を生み出していくこと。楽天がAIイベントを開催する意味も、そこにあるように思う。

 そして個人的に注目しているのは、こうした最先端のAIイベントでありながら、会場ではお買いものパンダの限定グッズも販売されることである。どれだけテクノロジーが進化しようとも、その先にいる“人”を忘れないことがAIの時代でも大事なのだろう。

 なにせ、人は理屈だけでは動かない。可愛いものに心を奪われることは、おそらくこれからもなくならないのだから。

 今日はこの辺で。

 

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