楽天 株式会社は、さきほど、新会社を通じて、合同会社 西友 の株式20%を取得することを明らかにした。また、同時に、KKR & Co. Inc.が西友の過半数 株式取得 しており、KKRと楽天とで西友の国内におけるDXを推進する。スーパーもリアル、ネットの融合が要で、そこに対Amazonも視野に入れればうなづける話でもある。なお ウォルマート ・インクは、引き続き、西友株式15%を継続保有する当たり、ウォルマートも巻き込みながら、大きな時代の変化を予感する。
KKRについて
まず、KKRについてだが、この会社は大企業グループの子会社への投資を通じて、その潜在的な力を引き出すことに長けているから今回も西友に対してこの会社が楽天とともに、それを行おうというわけである。彼らが注目したのは、楽天のDXに向けての可能性だろう。
一方で、楽天はリアルを含めた小売業のDX推進を目的に新会社を設立し、そこを通じて西友株式20%を取得する形となる。この新会社は「楽天DXソリューション株式会社」といい、先ほど発表。具体的には国内で実店舗を運営する小売り事業者を対象に、実店舗のデジタル化やOMO施策導入などのデジタルトランスフォーメーション推進を支援するというもので2021年1月に設立するという。
この件に関してコマースの責任者である武田和徳氏は理由として『楽天西友ネットスーパー』協業での成功を挙げている。そこで得た知見を生かしつつ、楽天のネット通販のノウハウを、西友での実店舗に活用することで、DXを更に加速させていきたいと話す。実は、好調であることは、先日の決算で、武田さん自身が明らかにしていたばかりである。
リアル店舗のデジタル化
新会社においては、AIによる需要予測を活用した在庫管理や価格設定の最適化、スマートフォンなどによる実店舗における”レジ無し決済”の導入などをしたい旨、明らかにしている。
少し話はそれるが、楽天とスーパーマーケットの雄ウォルマートとの距離も気になる。以前も書いたとおり、ウォルマートはShopifyの仕様を使い、物流も備えて、ネットを拡大して、両方に影響を持つようになった。
とはいえ、日本の中での影響力は限定的だ。
というのも、人種や考え方は異なるので、それぞれの地域に合わせて販売しないと、成果は出せない。ここは西友は日本の企業に委ねておくべきだという心理が働いたのではないかと思う。なぜなら、逆説的ではあるが、ネットとリアルが融合するほど、地域性、ローカライズが重要になってくるからである。
DXを進める上では、その地域に密着して、最大化できるテクノロジーとインフラが重要であり、ここはウォルマート自体がやるよりは、日本で先ほどの決算の発表にもある通り、楽天の手によりDX化がうまくいきつつあるのだから、日本は楽天などに委ねたほうがいい。楽天に委ねても、そこは競合になり得ない。つまり、対Amazonで思惑は一致するのではないかと思う。
地域を巻き込み
だから、繰り返すが、海外、日本問わず、各々の力を発揮する企業が連携しながら、その「地域に合わせて」リアルとネットを融合して、DX化を推進していく流れが必要なのである。
ローカライズは重要で、楽天が海外においては、今、ナショナルブランド(メーカー)と接点が強くなっていることを生かして、直販を行い、メーカーにより生産性の高い、商品づくりを促す動きも行っていて、ここで活用しているのが、まさに、ウォルマートのプラットフォームである。
今回、ウォルマートがリアルのスーパーマーケットでの強みを生かしてAmazonに対抗しネットを強化しているその場に、楽天が出品しているわけだから、お互いは競合になりうる存在ではなく、その関係性に、親和性があると見ているのではないか、と思うのだ。
リアルとネットをシームレスに
そんな中でウォルマートが持っていた日本での西友の株を楽天が取得して、スーパーマーケットジャンルでDXを推進しているのは、なんとも、偶然にしても運命的な関係性である。
今の話は、スーパーマーケットとネットの中での思惑の一致ではあるが、これら、リアルとネットの小売をシームレスに繋ぐ動きに拍車がかかりそうである。別に楽天に限った話ではなく、他の企業もこういう連携が増えるのではないかと思う。
ヤフーは東急不動産に、検索データを渡すことで、ネットとリアルをシームレスに繋げる、商業施設の未来像を提示していて、東急不動産は、まさに、それを実践している最中である。小売を考える上では、ここに注目しない手はない。
リアルとネットの融合においては、既に「PayPayモール」内で専門店の在庫状況をオープンにして、リアルのお店とネットのお店のどちらを使うことがお客様にとって便利かを一目でわかるように提示するようにしている。だから、こんな動きが様々なジャンルで起こってもおかしくはないだろう。
何が言いたいかというと、売り上げを効率的に上げていくという目的の中で、もうリアルやネットという垣根を超え協業していく中で企業価値を高めていく時代になっていっているということ。
ともかく、西友はまさに、日本では十分に存在感のあるスーパーマーケットであり、西友が新たに、楽天とKKRの強みを生かして、ネットとリアルの両面からアプローチする、先進的なリテーラーとして変貌していく手段を得た。
今後、このようにして、リアルの小売はネットのeコマース企業、並びに配送などの物流などを巻き込みながら、再編が行われるのではないか、と思う。まさに、今はその過渡期である。
今日はこの辺で。
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