高島屋の2025年2月期第3四半期決算 – 過去最高益を更新したその背景
2024年12月24日に発表された髙島屋の2025年2月期第3四半期決算は、多くの面で「過去最高益」を記録しました。国内外の消費動向が揺れ動く中、なぜ髙島屋は安定した成長を続けられたのでしょうか。ポイントを絞って解説します。
1. 業績の概要 – 高島屋が目指したもの
1-1. 連結業績のポイント
この四半期、髙島屋は以下のように順調に業績を伸ばしました。
・総額営業収益:7,543億円(前年同期比+10.5%)
・営業利益:415億円(前年同期比+83億円)
・経常利益:419億円(前年同期比+60億円)
・純利益:261億円(前年同期比+18億円)
特筆すべきは「営業利益の増加幅」です。前年から83億円増え、営業利益率も0.6ポイント改善しました。この理由としては、国内の顧客売上やインバウンド(訪日外国人観光客)の売上が大きく貢献しています。
2. セグメント別の業績 – 何が利益を押し上げたのか?
2-1. 国内百貨店業
髙島屋の主力事業である国内百貨店業は、安定した成長を見せています。
・営業収益:6,284億円(前年同期比+11.2%)
・営業利益:207億円(前年同期比+60億円)
売上の柱となったのは「インバウンド需要」と「高額品」の販売です。特に中国人観光客の購買が目立ち、前年比+25.9%と大幅に成長しています。また、ファッション関連商品の売上も前年比+8.5%と堅調でした。
2-2. 海外百貨店業
海外事業も順調ではあるものの、国内ほどの伸びは見られませんでした。
・営業収益:252億円(前年同期比+4.1%)
・営業利益:55億円(前年同期比△1億円)
シンガポールでは為替の影響で増収となりましたが、現地のインフレや観光客の回復が遅れており減益となっています。一方、ベトナムでは売場改装などが奏功し、増収増益を実現しました。
2-3. 商業開発業
髙島屋は商業施設の運営や不動産開発にも力を入れています。
・国内商業開発:381億円(前年同期比△14.4%)
・海外商業開発:121億円(前年同期比+19.0%)
国内では「玉川髙島屋S・C」の改装費用がかさみ減益となりましたが、ベトナムなど海外事業が利益を牽引しています。
2-4. 金融・建装業
その他の事業も全体を押し上げています。
•金融業:167億円(前年同期比+3.5%)
•建装業:257億円(前年同期比+21.7%)
特に建装業は、ホテルや商業施設の大型案件が増加し、前年から20億円もの営業利益を積み増しました。
3. 髙島屋の戦略 – なぜ成長を続けられるのか?
3-1. コスト削減と利益率向上
髙島屋がここまで順調に成長を続けられている理由のひとつが、「コスト削減策の徹底」です。
・販売管理費の増加は最小限に
営業収益が大きく伸びる中、販売管理費の増加はわずか80億円にとどめました。結果として、販売管理費比率は前年より1.3ポイント下がり、利益率の改善につながっています。
・利益率の改善
高額品の売上が伸びたことで、一部商品利益率が下がったものの、販売力の強化がそれを補っています。特に、紳士服や婦人服、化粧品などのファッション関連が高い利益率を誇ります。
3-2. 新しい事業への投資
髙島屋はEC(電子商取引)にも力を入れています。今年の8月には化粧品専門のオンラインストア「TBEAUT」を開設しました。これにより、実店舗との相乗効果を生み出し、売上拡大を目指しています。
また、ベトナムでの商業開発など、新興国市場への投資も積極的です。シンガポールに次ぐ「第2の収益の柱」として期待されています。
4. 今後の見通し – これからの髙島屋は?
髙島屋は2025年2月期の通期計画として以下の目標を掲げています。
・営業収益:1兆350億円(前年同期比+8.7%)
・営業利益:550億円(前年同期比+91億円)
・純利益:380億円(前年同期比+64億円)
特にインバウンド需要は今後も伸び続けると予測され、通期で1,150億円を見込んでいます。
髙島屋は国内外で着実に業績を伸ばし、安定した成長を遂げています。インバウンド需要の回復や、EC強化、新興国市場への積極投資が今後も利益を押し上げるでしょう。
これからも髙島屋がどのような新しい戦略を打ち出していくのか、注目が集まります。
今日はこの辺で。