時代を読む 特集
【特集】EC市場の進化と未来~本谷知彦さんと経産省データを読み解く未来への道筋~
日本の電子商取引(EC)市場は、急成長を続ける中で、新たな局面を迎えています。毎年、経済産業省が発表する「電子商取引に関する市場調査」は、業界の動向を示す指標として注目され、EC業界の多くが市場の現状と未来を読み解くための基礎資料としています。元大和総研のチーフコンサルタントであり、デジタルコマース研究所の本谷知彦さんもまた、この調査を8年間にわたり見つめてきた一人です。
本特集では、過去から最新のデータまでを本谷さんとともにひも解き、成熟しつつあるEC市場の成長性と限界を考察します。特に、EC化率やマーケットプレイスの拡大と自社ECの二極化、地方におけるECの可能性など、今後のEC市場に影響を与える要因に焦点を当て、事業者がこれから目指すべき方向性を示唆します。変革の時代において、EC事業に関わる全ての人が戦略を見直す一助となることを願って――
第1章:2024年の真実とEC市場の限界が見え始めた今
•「2024年の調査データから見る成長鈍化と物価高の影響」
2024年のデータでは、物販系BtoC EC市場は4.83%増と一見成長を続けているように見えますが、EC化率の伸びは2%程度に留まり、物価高が成長の一因であることがわかります。本谷さんの指摘をもとに、データの矛盾から本当の市場の姿に迫ります。
•「地方の未来を左右するECの可能性」
少子高齢化や地方の商店衰退が進む中、地方と都市部の格差是正が急務です。ECが地方の活性化にどう貢献できるか、また、都市部集中を抑えるための具体的な施策について、本谷さんの考えをまとめます。
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第2章:EC市場の二極化が進む2023年
•「成長の減速と今後の課題」
2023年の調査では、成長率が5.37%に鈍化しており、EC市場の成熟が見えてきました。伸び続ける食品分野と行動変容が進む消費者行動について深掘りし、企業が対応すべき施策を紹介します。
•「マーケットプレイスの躍進と自社ECの二極化」
モールがシェアを拡大する一方、自社ECでは差別化が求められています。独自のブランド価値を打ち出し、モールと併用する戦略がますます重要になっている状況について解説します。
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第3章:EC化率の裏に隠れる真実を探る
•「2022年のEC化率が示す成長の鈍化と限界」
2022年、物販系EC市場は13兆9,997億円に達しましたが、増加率は5.37%と過去の成長率から減少しています。EC化率が示す消費行動の変化や、カテゴリー別の傾向を詳述し、今後の市場の可能性を探ります。
•「EC市場のピークアウト予測と消費行動の変化」
EC化率の推移を基に、本谷さんが予測するピークアウトの時期について考察します。特に、食品や家電といった消費行動に変化が見られる分野に焦点を当て、市場の行き詰まりを迎える兆候を解説します。
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第4章:EC化率の本質を見極めるための視点
•「カテゴリー別EC化率と経済の3要素の相関」
2021年のデータをもとに、EC化率を深掘りし、カテゴリー別に見える消費者行動の違いに注目。探索財・経験財・信用財という3つの経済要素を使って、各商品カテゴリのEC化率の違いを説明します。
•「EC化率を活用した新しいビジネスの可能性」
経済の3要素とEC化率の関係を元に、異なる買い方の提案を行い、EC市場での新しい需要創出のポイントを探ります。
第5章:コロナ禍で一変したEC市場の拡大と限界
•「ネット通販の急成長と消費行動の変化」
2020年にコロナ禍の影響でEC利用が拡大しましたが、それは一時的なものだった可能性が示唆されています。食品や家電分野での消費行動の変化を通して、市場の限界と今後の成長戦略について考察します。
•「ネットとリアルの融合がもたらす未来」
今後はリアルとネットの相互作用が重要になると考えられます。市場の頭打ちを避けるために、リアルとネットの強みを組み合わせる新しい方向性について議論します。
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