「傲慢と善良」 辻村深月著
辻村深月さんの「傲慢と善良」(朝日文庫)という作品を読みましたが、人の心理をよく突いているなあと。婚活にまつわる話で、それになぞらえて人って意外と目の前の相手を想っているようで、実は想っていないことがあるのだというんです。
想っていると思い込んでいる。でも、どこか自分の中に傲慢があって、どこか相手を低くしてみていて、だから、婚活で決断できないと。鋭いなあと。善良に生きるほど、また自分を正当化するから、結果、それが傲慢になっていることもある。おかしい、おかしいとその深みにまたっていくのです。
それを解決する手立ては一つしかなくて、必要なのは、本当にその相手なのかだけを考えることなんだろうなと。自分は人から見てどうだろうとか、そういうノイズを取り除いて、ただそれだけの問いに対して素直に、必要と答えられるか、だけなんですと。
気持ちがあるか、そしてあるなら、素直にまっさらな気持ちで、ただその思いと気持ちを込めて、伝えるだけなんだ。本当に大事な事に気づかせてくれる作品だと思いました。