時代を読む 特集
【特集】SOYTRIPが教えてくれること──楽天に宿る“人の温度”と未来への絆
旅の意味は「なぜそこに辿り着いたか」にある
SOYTRIPとは、楽天市場で年間の最優秀店舗に贈られる「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)」を受賞した店舗のみが参加できる、楽天主催の特別な海外研修旅行のこと。ただの観光旅行ではなく、最先端ビジネスに触れ、他の受賞店舗の優れた経営者と交流し、さらにグループワークを通じてECの未来について学ぶ。そんな貴重な体験の場となっている。
SOYTRIPと聞くと、「どんな研修があったのか」「どんな観光をしたのか」といった体験談に目が向きがちだ。しかし実際に参加した店舗の方々に話を聞いてみると、その本質はむしろ逆。
「なぜ、自分たちがSOYTRIPに参加できる店舗になれたのか」──その歩みこそが、この旅の本当の意味だった。
楽天市場に出店する無数の店舗の中で、なぜ選ばれたのか。そこには、日々積み重ねてきた努力や信念がある。SOYTRIPは、それを改めて自覚し、さらに未来へと踏み出すきっかけになる旅なのだ。
LASIEMが見た「信頼」の輪郭
ファッション小物ブランド・LASIEMは、レビューに耳を傾け、細かな改良を繰り返し、購入後のアフターフォローまで徹底してきた。その積み重ねが「信頼できるショップ」という評価に結びつき、SOYTRIPへと導いたのである。
旅の中でLASIEMが心を動かされたのは、楽天スタッフとの交流だった。
「楽天市場が掲げる“ショッピングはエンターテイメント”という世界観が、単なるスローガンではなく本気で追求されている」──それをスタッフの姿勢や振る舞いから実感できたという。さらにマイクロソフトでの研修を通じて、AIが加速させる未来を肌で感じた。
デジタルが効率化していくからこそ、人間的な温度を大切にすることがより価値を持つのだと確信。
「自分たちが築いてきた信頼関係を、リアルもデジタルも越えて広げていける」──SOYTRIPはLASIEMにそんな未来の可能性を感じさせた。
[ラシエムの物語へ]
exicoast Internet store 2号店が感じた「情の力」
一方、お菓子ECを展開するexicoast Internet store 2号店は、外資系のファーストフード店で培ったオペレーション力と人材育成を武器に、徹底したデータ経営を実践してきた。在庫も回転率もロジックで管理する姿勢は、一見“無機質”にさえ映る。
しかしSOYTRIPで出会ったのは、楽天社員の「人を想う温度」だった。サプライズで従業員から感謝の手紙を受け取るプログラム、仲間と夜遅くまで語り合った時間。
「楽天は広告を売る会社だと思っていた。でも、ここまで“人”を大切にしているとは思わなかった」──そう語る表情には、温かな驚きと新たな決意があった。
徹底したロジックに“情”という軸を加えること。それは楽天ならではの強さであり、exicoast Internet store2号店にとっても必要だった最後のピースだった。
だからこそ、今、NATIONSという舞台で自らの経験を共有し、モール全体を盛り上げることを使命と考えているとか。モールが倒れれば自分たちも倒れる──だから共に育てる。その覚悟に理と情が交わり、未来を切り拓く力となっているのだ。
[exicoast Internet store 2号店の物語へ]
楽天は“商店街”である
Eコマースは効率を突き詰めれば“自動販売機”のような無機質さに陥りがちだ。だが楽天は、ECでありながら“商店街”のように人と人の温もりで成り立っている。もちろん売上やデータは大切だが、それだけでは測れない“目に見えない価値”を重んじる気質がある。SOYTRIPの場でもそれは健在だった。
本来は競争相手であるはずの店舗同士が、互いを称え合い、共に学び、高め合う。それは、楽天市場というモールが「失われた商店街の再現」であることを強く物語っている。
今回の二つの店舗も、LASIEMは「信頼」、exicoast Internet store 2号店は「情」というキーワードで、その実感を言葉にした。
未来へ続く物語
大切なのは、こうした貴重な経験は“それまでの積み重ね”があってこそ最大化されるということ。最初に書いた通り、旅の意味は「なぜそこに辿り着いたか」にある。
彼らがSOYTRIPで得た学びと感動は、これまでの日々を礎にしながら、未来へとつながっている。
そしてその物語は、SOYTRIPを終えた今もなお続いている。