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ブランドを守りながらECで勝つ「Yahoo!ショッピング大賞」に輝いたMTGが語る、値引きに頼らない成長戦略

一年のECの成果を振り返る象徴的な場がある。LINEヤフーが主催する「Yahoo!ショッピング Best Store Awards」だ。Yahoo!ショッピングに出店する数多くの店舗の中から、売上や成長率、顧客評価などを総合的に評価し、その年を代表する店舗を表彰するイベントである。2025年の表彰でも、各ジャンルでトップクラスの実績を誇る店舗が名を連ねた。だが、その頂点に立つ「Yahoo!ショッピング大賞」に選ばれたのは一店舗のみ。

 今回、その栄誉を手にしたのが「MTG Yahoo!ショッピング店」だった。

 美容ブランド「ReFa(リファ)」などを展開するMTGは、リアル店舗でも強いブランド力を持つ企業として知られている。だがECモールの世界では、セールや値引きが売上を左右するケースも少なくない。その中で、ブランド価値を守りながらトップに立った理由はどこにあるのか。イベント当日、受賞の背景とEC戦略について話を聞いた。

ECの頂点を決める表彰「Yahoo!ショッピング Best Store Awards」

 「Yahoo!ショッピング Best Store Awards」は、Yahoo!ショッピングに出店する店舗の中から、年間の成果を総合的に評価して表彰するイベントである。単なる売上ランキングではなく、店舗運営の質や成長性なども含めて選ばれる点が特徴だ。

 表彰はジャンルごとに行われ、ファッション、食品、家電、スポーツなど、それぞれのカテゴリーで優れた店舗が選ばれる。2025年の受賞店舗にも、業界で広く知られる名前が並んだ。バッグ専門店として高い人気を誇るギャレリア、食品分野で存在感を持つ甲羅組、家電量販店のコジマ、家具分野で知られるタンスのゲンなど、各ジャンルの強豪が受賞している。

 その中でも、すべての店舗の頂点として位置付けられるのが「Yahoo!ショッピング大賞」である。ジャンルを超え、年間を通じて最も優れた実績を残した店舗に贈られる賞だ。

 今回その大賞に選ばれたのが、MTGの公式ストアだった。

 MTG側はこの受賞について、決して偶然ではないと語る。実は前年の段階から、チームの中では「来年はこの賞を取りたい」という話が出ていたという。売上をどう伸ばすか、どんな施策を打つべきかを一年かけて考え、取り組んできた結果として今回の受賞につながったのだ。 

つまり、この結果は突発的な成功ではなく、目標を掲げて戦略的に積み重ねてきた成果だったのである。

値引きに頼らないECという選択

 ECモールの世界では、セールや値引きが売上を押し上げる強力な手段として知られている。大型イベントやポイント施策を活用し、一気に新規顧客を獲得するという方法は、多くの店舗が採用している戦略だ。

 しかしMTGは、その王道とも言える方法を主軸にはしていない。

 同社では企業として、極端な値引きやオファーを多用しない方針を持っているという。ブランド価値を守るためだ。美容ブランドとしての信頼や品質のイメージを長期的に保つことを考えれば、価格競争に巻き込まれることは必ずしも得策ではない。

 では、その代わりに何をしているのか。

 MTGが力を入れているのは、商品ページの表現やオンラインのクリエイティブ、広告の運用など、ECの見せ方そのものだ。

 とりわけ商品ページでは、一つ一つの画像や表現を丁寧に見直しながら改善を続けてきたという。どのような見せ方がユーザーの理解につながるのか、どんな構成が商品の魅力を最も伝えるのか。カテゴリーごとに分析し、モール内での表示のされ方まで意識して設計してきた。ECは単に商品を並べる場所ではない。「どう見せるか」という設計が、そのまま売上に直結する世界である。

 MTGはその点を徹底的に突き詰めることで、価格競争に依存しないECの形を築いてきたのである。

ブランドのファンをつくるEC

 MTGのEC戦略を語るうえで欠かせないのが、ブランドとの関係性だ。同社の代表的ブランドであるReFaは、ドライヤーやシャワーヘッドなど複数の商品ラインを持つ美容ブランドとして知られている。ECの現場で見えているのは、商品同士がつながる購買行動だという。たとえばドライヤーを購入した人が、その後シャワーヘッドを購入する。あるいは美容家電を使って満足した顧客が、別の商品にも興味を持つ。そうした形でブランドの中で購買が広がっていくケースが少なくない。

 つまり一回の購入で終わるのではなく、ブランドへの信頼が次の購入を生む構造になっているのである。

 そのため同社では、既存顧客との関係を大切にすることを意識している。

 ECモールの中だけで完結する取り組みではなく、自社ECや他の販売チャネルとも連携しながら、顧客とのエンゲージメントを高める取り組みを行っているという。ECは単なる販売チャネルではなく、ブランド体験の一部である。その視点があるからこそ、価格だけに頼らない売上が生まれているのかもしれない。

ギフトが生むブランドの広がり

 MTGの商品には、もう一つ特徴的な購買の広がり方がある。それがギフト需要だ。

 同社の商品は、自分用に購入されるだけでなく、贈り物として選ばれることも多い。美容家電やシャワーヘッドといった商品は、プレゼントとしても喜ばれるため、自然とギフトの需要が生まれるのである。このギフト需要は、ブランドの認知を広げる役割も持つ。

 誰かが商品を贈り、その相手が気に入ることで新しい顧客が生まれる。あるいはギフトとして受け取った人が、自分でも別の商品を購入する。そうした形でブランドが広がっていく。企業としては、こうした顧客の体験を支えるため、商品開発やブランド戦略などを全社的に進めている。その成果をECの場でどう伝えるかが、モール運営の役割になる。

 同社は、ブランドの思想や商品開発の意図を理解したうえで、Yahoo!ショッピングの中でどのように表現するかを考えている。ECの現場だけで売上を作るのではなく、ブランド活動全体と連動している点がMTGの強みと言えるだろう。

モールごとに戦略を作る「専任チーム」

 MTGのEC運営には、もう一つ特徴的な体制がある。それは、モールごとに専任の担当者を置いていることだ。

 一般的な企業では、EC担当が複数のモールを横断して管理するケースも多い。しかしMTGでは、プラットフォームごとに担当者を配置しているという。Yahoo!ショッピングに関しては三名体制で運営している。

 その背景には、モールごとの違いがある。ECモールは一見似ているように見えるが、ユーザーの属性や検索の仕組み、購買の流れはそれぞれ異なる。Amazonと楽天、Yahoo!ショッピングでは、ユーザーの行動も期待する体験も変わってくる。その違いに対応するためには、各プラットフォームを深く理解した担当者が必要になる。

 MTGでは社内で人材を育成しながら、チャネルごとの専門性を高めてきた。ECの世界ではツールや施策が注目されがちだが、最終的に成果を生み出すのは人の知見である。今回の受賞の背景には、ブランドを理解し、モールの特性を理解したチームの存在があった。ECの成功は偶然ではない。

 それは、ブランド、戦略、そして人の積み重ねによって生まれるものなのだ。

 

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