「マジカルグランマ」柚木 麻子 著
先日、「 マジカルグランマ」(柚木 麻子 著 朝日文庫)という本を読んで、初めてマジカルニグロという言葉を知ったんです。
主人公のおばあちゃんが映画「風と共に去りぬ」を絶賛していて、昔は殆どがそれに賛同してくれた。だから、そうであることが誰にとっても共感できることだと思っていたんです。
でも、時が変わって現代。それをおばあちゃんが口にした時に、若い人は冷ややかに、「風と共に去りぬ」ってマジカルニグロの作品ですよねと述べて、賞賛されない現実にショックを受けるわけです。
要は、差別的な言葉でもあるのですが、アメリカ映画の中で都合よく、白人のピンチを救う存在として黒人が登場するというもの。黒人の従属的な考え方をベースにした捉え方であることから、そのおばあちゃんは考えさせられるわけです。
で、その根底にあるのはステレオタイプの世の中なんですよね。
黒人と言えば何、おばあちゃんと言えば何、という作り上げられたイメージ。
それがあることで自然にその作品の中で違和感なく皆が受け入れるというわけです。けれど、冷ややかな評価があるのは、本当にそれでいいのかって問題をはらんでいるからなんですよね。これは深いねと。SNSとかであらゆる価値観が顕在化し、多様性が認められ、統一的な価値観にNOをくだしている。
逆にいうと、それでも僕らはステレオタイプに依存していることがあるよねと。でも、それが全てじゃないと理解した上で、それを切り崩してみたらどうだろうと。その先に、見える真実を追うことで、真に自分らしく生きれたり、また他人を受け入れるということができる時代なんじゃないかと思ったんですよね。