楽天 2020年度第2四半期(決算) ECが +48.1%成長
楽天 株式会社は、先ほど(2020年8月11日) 2020年度第2四半期決算 説明会を開催した。昨今においては、新型コロナウイルス感染症の環境下であるが、連結売上収益は前年同期比 +13.4%。グローバル流通総額:前年同期比 +12.6%、国内EC流通総額が前年同期比 +15.2%となった。とりわけショッピング関連のEコマースの流通総額が前年同期比 +48.1%という成長ぶりを見せた。
GAAP営業利益で言えばOverDriveを売却したことで、売却益計上により33億円。Non-GAAP営業利益で見ると、-326億円となっているが、今はモバイル事業と物流事業への先行投資によるもので必要なことだとした。
彼らの成長絵図としては「コアビジネス」「成長フェーズビジネス」「投資フェーズビジネス」に分けて考えており、楽天市場などがある「コアビジネス」は売上収益 前年同期比+9.4%で、営業利益 前年同期比+1.2%。この力強さは同社にも自信をもたらしたのは間違いない。今後、これをフックに、楽天モバイルや物流などの「投資フェーズビジネス」を伸ばし、それが新しい成長要因になることを説明した。
デジタル分野での強さで、コロナの影響を最小限に
三木谷氏は自らのビジネスが、新型コロナウイルス感染症の環境下で多くの会社が苦しむ中にあっても、そして、急激に消費者の行動が変化する中でも、そこに適応できるだけの強さがあることを、この数字を持って、改めて強調した。
具体的には、楽天市場のGMS(流通総額)が伸び、新規・復活購入者数、注文件数いずれも上昇、ショッピング関連のEコマースの流通総額で前年同期比+48.1%、楽天証券も売上は前年同期比+29.3%、営業利益前年同期比+62.1% 、株式・FX 取扱額も軒並み上昇。
さらにRakuten TVのアクティブユーザーが前四半期比+390万 など、今回はデジタルコンテンツも堅調であることを挙げた。
ちなみに下記の通り、楽天カードの会員数は2000万人を超えた。
逆にいうと、だからこそ、今が攻め時だとして、企業の業績としては足を引っ張っているように見える物流や楽天モバイルへの投資に理解を求めた格好だ。
ショッピングEコマースの伸びについて
ショッピングEコマースの伸びについてもう少し深掘りをしてみよう。Q2/20の新規購入者数は前年同期比+63.1% 、復活購入者数は前年同期比+80.9%、それも特定の年齢層ではなく、全ての世代で伸びている。また、オフィシャルブランドがこれを契機に「楽天市場」に出店する動きも盛ん。それらは勢いに拍車をかけるだろうし、今後の伸びも期待できるのではないか、と三木谷氏。
また、広告での売り上げの観点ではあるが、楽天市場への広告出稿も増加し、外部広告主領域の主要クライアント売り上げは前年同期比42%。楽天市場への広告出稿により、楽天市場における購買を増やしていこうという動きが、楽天市場の盛り上がりと共に、光が当たっていると同社の有馬氏。
今後のショッピングEコマースの動きとして、強調するのは物流。3900円以上送料無料を打ち出したことで、購買意欲を触発し、また、色々議論を呼びながらも、導入店舗は80%に上っていることから、それらの要因が相まって堅調な成長に繋がっているとした。ここをさらに抜かりなく徹底していく構えだ。
具体的には、自社物流を強化し、物流会社の仕組みに依存することなくショッピングに合わせたやり方を取り入れ、店のコストを軽減させるとした。また、これまではできなかった複数店舗の商品をまたがった形で配送する仕組みにも着手して、お客様の利便性を高めることを約束。お客様、出店店舗、両面から、プラットフォームとしての強みを物流面で発揮することで、差別化させることを明らかにした。
楽天市場に始まり、楽天市場に終わる
業績を見るに、三木谷氏も話していた通りだが、オンラインに重きをおいたビジネススタイルであるがゆえに、これまで蓄積してきた取り組みが今回の新型コロナウイルス感染症による生活の変化によって、プラスに作用した要素は大きい。
楽天はいうまでもなく、エコシステムが基盤であり企業価値を上げる要因ではあるわけだが、楽天市場の好調ぶりが、金融などにも好材料となっていて、彼らにとっての祖業であるショッピングEコマースが、このエコシステムのエンジンであることが証明されたような気がする。
これまでも楽天はいろいろな意味で、話題を集めてきた企業であるけれど、彼らの祖業であるネット通販がもたらす価値を、奇しくもこのコロナウイルス感染症という中で、20年の時を超え、示したのではないかと思う。
あの時、楽天がネット通販に着手していたから今がある。そして、これからもネット通販と共にある。楽天は今一度、その「楽天市場」の価値を思い、次の時代を見据えて、歩んでいくべきだろう。