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林商店“太っている人”専用に カッコ良くなる スーツ 提案

「WIDE WORK WEAR」

 「これ、いつも言ってるんだよ」とあるタイヤのオンラインストアの店長と会食をしていた時、僕にこう話し始めた。「社長さんほど、いいもの食べて恰幅のいい人たちが多いから、そういう人にこそ似合うスーツってあると思う」と。その話を以前から聞かされていたのは 林商店 代表取締役 林啓成さんで、スーツを手掛ける専門家である。 太っている人 が個性として、魅力的となるスーツを、ポリシーに寄り添う形で提案したのだ。このほど、クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」で「WIDE WORK WEAR」のプロジェクトを開始した。

太っている人 にはその人なりの スーツ がある それを追求した 林商店

 コンセプトは、「ワイドな男たちが毎日を愉しむスーツ」だ。「WIDE WORK WEAR」は、背が低く太っている悩みやコンプレックスをもつ男性をカッコよく見せることで、コンプレックスになりがちな自分の体型に自信をもってほしい、という想いから企画している。

 ”ワイドな男たちのための”高機能スーツは、「オレたちだって、カッコいい。」をテーマに商品開発が進んで生まれたものである。近年、ストレッチ素材で動きやすく着心地のいいカジュアルなスーツが世の中の主流になりつつあるが、背が低くおなかが出てきた男性がカッコよく着れるストレッチ素材のスーツがないことから、この「WIDE WORK WEAR」のアイデアが生まれたのだ。

ただ作ればいいんじゃないが「林」流。

 素材はウール(メリノウール)素材に特殊なストレッチ素材を組み合わせた高機能なTECH WOOL(写真は先ほど、触れた林さんが生地の工場を見学している様子である)。

工場に出向く林さん
工場に出向く林さん

 TECH WOOLは、ウールの素材感を生かしながら、体の動きにあわせてしっかりとストレッチするのが大きな特徴ですが、それ以外にもこんな特徴がある。

  • 1.優れた吸放湿性
  • メリノウールは最も吸放湿性に優れた繊維の1つです。湿気を大量に吸収し、大気中に放出させることができる。
  • 2.体温変化に反応
  • 合成繊維とは対照的に、メリノウールは体温の変化に反応します。寒い日には身体を暖かく、暑い日には涼しく保ってくれる。
  • 3.防臭効果
  • 合成繊維とは対照的に、メリノウールは湿気を吸収し、身体に残る汗の量をより少なくすることができる。またメリノウールは汗のにおいまで吸収し、洗濯時まで閉じ込めてくれる。
  • 4.汚れにくく、しわになりにくい
  • メリノウール繊維には、シミの吸着を防ぐのに役立つ天然の防護外層があります。またメリノウールは静電気を起こしにくいため、ホコリや糸くずもつきにくい特徴がある。

夏のシーズンで汗かいてもいいじゃない

 太っている男性は汗をかきやすい傾向にあるが、「WIDE WORK WEAR」なら着心地がよく動きやすいだけでなく、汗をかいても素早く吸収・放出し、さらっと快適に過ごすことができる。

太っている人がカッコよくこだわりのスーツ
太っている人がカッコよくこだわりのスーツ

 またスーツのジャケット、スラックス自体にも、太っている人がより快適にすっきりと着用できるよう、以下のような工夫をしている。この辺は林さんならでは、のこだわりだ。

  • ・ジャケットの脇に汗ジミができないよう汗わきパッドを装着
  • ・着るときに腕がすっと入るよう、肩まわりは太めに
  • ・わき下に絞りを入れ、すっきりとした着用感が出るようカッティング
  • ・サイドベンツだと、ベントが不自然に開いてしまいだらしなく見えるため、センターベントでスッキリとしたフォルムに(ベント=ジャケットのすその切れ込み)
  • ・熱をいち早く外に放熱し、ジャケット内の温度を下げ、軽い着心地を実現するために背抜き仕様(背中に裏地のない仕様)に
  • ・テーパード(先細りなシルエット)で太もも部分が太く、膝から裾にかけて、よりシャープにすっきりとしたラインに
  • ・おなかが張ってきたときの緊急対策として、腹回りをゆるめられるボタンを装着(アジャスタブルボタン)
  • ・かがんだときにシャツが出にくいようにラバーのテープを装着(マーベルト)
  • ・ウエストの大きな人がとくに傷みやすい股の部分を補強し、股ずれ対策を実施(シック布)

ネットの時代だからこそのチャレンジ

 毛織物の産地として歴史のある愛知県の尾州(びしゅう)地域でつくられている高機能なTECH WOOLと、創業より70年近くにわたりスーツと向き合ってきた、スーツのプロである林商店のノウハウを掛け合わせて生まれた、ワイドな男たちのシゴト服「WIDE WORK WEAR」である。伝統と革命の融合である。彼らはついこないだも、廃棄ロスに行動を起こした革命児である。

 実は、ジャンルは違うものの、女の子で155センチ以下を対象とした可愛らしい服の提案をしている「COHINA」というブランドもある。彼らもまた、155センチ以下だと着れる服がないと嘆いて、自ら立ち上げたワケだけど、今やその層に対して、絶大な指示を受けている。万人に受け入れられる商品だけを作る時代ではなく、自らニーズを発掘して取りに行く時代だと思う。

 とはいえ、よし作っちゃおう!となりがちなところ、林さんはそのアイデアを自分たちの培ってきたノウハウと合わせて、どうやったら、スーツがそれらの太っている人にとって最適化されるのか、ストイックに、すごく丁寧に商品化を進めているように見受けられたので、それらの要素を掛け合わせた、これらのスーツの展望が楽しみである。


<参考URL>
Makuake(マクアケ)プロジェクトページ
https://www.makuake.com/project/wideworkwear/
WIDE WORK WEAR
https://wideworkwear.com/
株式会社林商店
https://deradera.com/
Octet(オクテット)
https://www.deradera.co.jp/

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