緊急事態宣言に伴い外出自粛も一ヵ月以上経った。だが、「巣ごもり消費」という言葉が生まれたように、自宅や自宅近辺で過ごすための消費が増えている。特にその上で、ネット通販を通じての消費が中心となった。そんな中で「 Yahoo!ショッピング 」のデータをもとに分析したレポートを公開したのでシェアをしたいと思う。
Yahoo!ショッピング の商品の中、 巣ごもり消費 で何が伸びたのか
これは、ヤフーが提供する事業者向けデータソリューションサービスに基づく。新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう緊急事態宣言下で消費が伸びたもの・減少したもの(いわゆる 巣ごもり消費 )について「 Yahoo!ショッピング 」のデータをもとに分析したのである。
まず、取扱高の前年度比率=伸び率として、Yahoo!ショッピングの第一階層カテゴリ毎に見てみることにしよう。2020年4月から5月のゴールデンウィーク(以下、GW)明けの期間で調べた。
一番伸びているカテゴリは「ダイエット、健康」で約4.0倍。その次に「本、雑誌、コミック」が約2.0倍、次いで「ゲーム、おもちゃ」が約1.7倍である。伸びが弱いカテゴリは「CD、音楽ソフト、チケット」「スポーツ」「ファッション」などだ。(※補足 集計対象期間は2020年4月1日~5月10日。カテゴリ分類はストア様の出店時の判断に準じており、売上金額が一定数に満たないカテゴリはフィルタしています。)
売れているカテゴリーはいかに
では、伸びているカテゴリーの中では、何が売れているのかを見ていこう。「ダイエット、健康」カテゴリーは、マスクやハンドソープなどの衛生日用品の購入がほとんどの割合を占めている。
「ゲーム、おもちゃ」では下記の通りである。
自粛生活に伴い、自宅で家族揃って楽しむためのアイテムが上位。全員の心を満たすものが買うときのイメージとしてプラスに働く。1位・2位の「パズル」・「ボードゲーム」の伸び率は大きく出ている。
次に、3位の「おもちゃ」カテゴリー。「ブロック」と「バーチャルペット」が前年度比約3.7倍と伸びている。皆で楽しめるという要素。それと共に、自宅での生活をより価値あるもの。そういう心理が働いてか、知育玩具を探す様子や、一緒に過ごせるペットロボットが増えている。
ネックウォーマーが売れている理由は?
では、伸びが弱いカテゴリーは何だろうか。外出自粛となり着飾る必要性がなくなると、洋服を買わなくなるのか。ファッションは伸びが弱い傾向がある。それでもこのファッションジャンルで伸びているのは、何か。それを調べてみると下記の通り。「レディースファッション」において何が売れているか。
春先にも関わらず「スヌード・ネックウォーマー」が伸びている。これは、マスクの代替品であると想像される。最近は、運動不足に応えるために、自らランニングに取り組む人が多い。ランニング中のマスクの代替品として海苔用なのである。ネックウォーマーやネックゲイターを装着するなどの工夫をしているものと思われる。ちなみに「スポーツ」カテゴリでも同様な傾向がみられる。 その他「ネックストラップ」「手袋」も除菌や感染防止対策として購入されているようだ。
オンライン会議で部屋着?
それ以外では「ルームウェア・部屋着」が2.85倍、「パジャマ」が2.64倍となっており、自宅や自宅近辺で過ごすための服を追加購入したり、オンライン会議で映るためのリラックスできるがある程度しっかりして見えるルームウェアを購入している様子がわかる。完全に拠点が外ではなく家を基準とした服選びになっているのが興味深いところだ。
反対に、「ファッション」カテゴリにおいて伸びていないカテゴリーは何か。ずばり「パーティードレス」。前年同月比80.6%減と大幅に減少。外出自粛に伴い、結婚式や新年会などが自粛されたからだろう。同様に「着物」が49.2%減。「セレモニースーツ」が45.0%減となっている。
さて、最後に、「家電」についてみてみよう。自宅で過ごす時間が増えたことで需要が伸びたと言われる。伸びたのは「コロナウイルス関連(加湿器・ミシンなど)」。そのほか「自宅ごはんの充実関連(炭酸水メーカー、ホームベーカリーなど)」。さらには「おこもり美容(スチーマー、頭皮エステ)」、「セルフケア関連(電気バリカン、ネイルポリッシャーなど)」などもある。
せっかくだから自宅で楽しもう
3食の食事をすべて自宅で食べることが増えたからなのである。楽しく簡単に済ませるための工夫としてホットサンドメイカーやホットプレートを買っている。たくさん時間がある中でホームベーカリーでパンを焼くことを楽しんでいる人がいるのだ。また、せっかくのおうち時間をおこもり美容の時間にあてて有意義な時間を使っている人もいることがわかった。
ものを売る側も、買う側も特に、ルーチンワークのようだった。同じ時期に、同じように、ものを買っていたわけだ。しかしライフスタイルが変われば、当然、そのルーチンワーク的に当たり前に買っていたものがそうではなくなる。
そうなったときに、自分たちのお客様にいつものように接することなく、ライフスタイルに合わせて、どう変化するのだろう。そこを先読みしながら、商品の提供を考えていくことが、大事。今のこの状況に限らずにね。習慣とは恐ろしいもので、考える意思を削いでしまうけれど、お客様あってのお店であるので、ここはこの調査データを見ながら肝に銘じておきたいものだ。
参考:Yahooの記事
データの出典;
https://ds.yahoo.co.jp/report/20200514.html
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