Amazon/楽天×ネットスーパーが変える“買い物”のかたち
新型コロナウイルス感染症の拡大防止によって自宅で過ごす時間が増えた昨今、食料品や日用品を扱うスーパーマーケットの需要が高まっています。それと同時に、大手オンラインショッピングモールである「Amazon」や「楽天」の存在感も一層強まっています。こうしたネット企業には、すでに独自の物流網が整備されており、Amazon × ライフ、楽天 × 西友といった形でスーパーとの提携を強化することで、互いのビジネスを拡大・強化しようとしているのです。
1. Amazonとライフコーポレーションの連携
Prime Nowで生鮮食品や惣菜を取り扱い開始
• サービス開始地域
もともと東京の一部地域に限定していた「Prime Now(プライムナウ)」でのライフコーポレーションの商品取り扱いが、新たに近畿圏にも拡大されました。
• 購入可能な商品
- • 野菜・果物・精肉・鮮魚といった生鮮食品
- • 店舗で調理された惣菜や焼きたてパン
- • プライベートブランド「ライフプレミアム」「スマイルライフ」など
合計数千点に及ぶ商品を、Prime Now専用アプリから注文できます。
• 注文から配送までの流れ
- 1. お客様が専用アプリで注文
- 2. ライフ店内の専門スタッフが品質をチェックしながら商品をピックアップ
- 3. Amazonの配送ネットワークで最短当日、もしくは翌日12:00〜22:00にお届け
- • 2時間単位での配送時間指定が可能
• 料金や条件
• 最低注文金額:2,000円以上
• 配送料:
- • 6,000円未満 → 440円
- • 6,000円以上10,000円未満 → 220円
- • 10,000円以上 → 無料
• 利用条件:Amazonプライム会員(年会費4,900円/月会費500円)+Prime Now専用アプリのインストール
お互いのメリット
• ライフコーポレーション側
- • コロナ禍で増えたスーパー来店需要を分散しつつ、売上を伸ばすことが可能
- • 生鮮食品の賞味期限など「ナマモノ」特有の在庫リスクを低減できる
• Amazon側
- • もともと「Prime Now」で培った配送体制を活かし、ライフの豊富な品揃えを取り込むことでサービスの価値を向上
- • お互いの強みを掛け合わせることで、高い顧客満足度を狙える
2. 楽天と西友の連携
「楽天西友ネットスーパー」とは
• 共同運営のネットスーパー
楽天と西友が連携し、「楽天西友ネットスーパー」を運営。最大20,000アイテムを取り扱い、自宅だけでなく西友の店舗でも商品を受け取れる「店舗でのお渡しサービス」を試験導入しています。
• 非対面受け取りの導入
コロナ対策として、5月から原則すべての注文を「非対面受け取り」に切り替え、より安全かつ効率的な配送を目指しています。
サービス概要
- • 取扱商品:生鮮食品・加工食品・冷凍食品・日用消耗品・惣菜など最大20,000アイテム
- • 配送料:330円(税込)
- • 一定額以上購入で配送料無料
- • お届け日時によって送料無料となる購入額が異なる場合あり
- • 会費:入会費・年会費ともに無料
- • 受付時間:年中無休、24時間注文可能(システムメンテナンス時を除く)
• お届け時間帯:
- • 注文日から3日後までの午前10時~午後10時までを6つの時間帯に区切り、指定可能
- • 地域によって異なる場合もあり
- • 15時までの注文で、一部エリアを除き当日配送が可能(最短4時間で配送)
• 決済方法:クレジットカード1回払い
3. ネットとリアルの融合がもたらす可能性
コロナ禍を機に、従来は日常的にスーパーへ足を運んでいた生活が一変しました。その一方で、技術の進歩によってネットスーパーなどオンラインサービスの利便性が急速に高まっています。ここで重要なのが、配送の仕組みと受け取り拠点です。
• オンラインショッピングモールの強み
従来型の物流企業は企業間(BtoB)や個人同士(CtoC)の配送に強みを持っていました。一方、Amazonや楽天などのモール企業は、企業からお客様(BtoC)へ直接商品を届ける仕組みに強みがあります。
- • 消費者にとっては、品揃えの豊富さと迅速な配送、受け取り方法の多様化で利便性が向上
- • 企業にとっては、自社の販売チャネルを広げるだけでなく、配送まで含めた新たな顧客体験を提供できる
まとめ
- • スーパー側:ネットスーパーの活用で売上拡大・在庫リスク低減・店舗混雑の緩和など、コロナ禍における課題を解消
- • ショッピングモール側:生鮮食品や日用品などの取り扱いを拡大し、既存の配送網をさらに強化することで、自社サービスの付加価値を向上
結果として、両者は「ネットとリアルの融合」を通じて新たな市場を開拓し、顧客満足度をさらに高めることが可能になります。今後もオンラインとオフライン双方の強みを掛け合わせた取り組みが進むことで、消費者の“買い物”スタイルそのものが変わり続けていくでしょう。