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楽天グループ2023Q4 通期決算 モバイルと経済圏とマーケットプレイス

 何かとマスメディアで取り上げられる楽天グループの決算。ECの価値を見ながらも、僕なりにその発表会にいき、その中身を紐解いて、未来を考えてみました。一言で言えば、経済圏であり、その信用をベースにモバイルの裾野を広げられるかということかなと。ここで大事なのは経済圏の捉え方なんです。

・収入に至る仕組みを変えてきた

これは三木谷さんが決算発表で示していたものだけど

 

 楽天という会社のビジネスの変容を示しています。最初はマーケットプレイス。その軸の上に経済圏を作って、その価値を最大化させています。

 だから、決算の内容を見てみると、通期の連結売上収益は2兆円を突破しています。(2兆700億円でYOYで+7.8%)。もはや2兆円を超えるまでになり、第4四半期でみれば、YOYで+3.3%。連結Non-GAAP EBITDAではYOYで+745億円。

 彼らの収益目標は果たしていることを強調します。

 色々、モバイルで言われるものの、ここの部分においては堅調に推移しています。コロナ禍が終わってリアルへ回帰しているのに、です。これも揚げ足をとれば、Amazonと比較してという話になりますが、ビジネスモデルが違うので、彼らなりのやり方で今も成長しているという風に捉えることが大事です。

・主戦場はモバイルに

 次の展望を描くと、生成AIってことになるのだけど、その主戦場はモバイルが軸になります。なぜなら、生成AIは情報量はそのまま、新しく生み出すアイデアの源泉になりますから、楽天グループの価値を活かすべく、それらは相乗効果を果たすことで、まわりまわって、モバイル利用を促します。

 楽天はそのモバイルをほぼ、ゼロベースで始めたから、投資の影響が大きく、赤字が出ている。ただ、それも改善されてきており、それは下記の通り。楽天グループの2023Q4でのNon-GAAP営業利益ではYOYで-72.6億円。上記12月では連結Non-GAAP営業利益で単月黒字を達成していることからも、通期での黒字化を目指します。

 それとセットで考えたいのは、セルフファンディングの話。彼らは下記のような事業売却など通して、資金を確保しながら、外ではなく中で資金を運用していくから、心配しないでくれと。

 それをやりながら、楽天モバイルの月次Non-GAAP EBITDAに関して年内に、黒字化を達成させると説明しています。

・経済圏によって支えられたEC

  そういう全体感を踏まえた上で、楽天を見ていくとわかりやすい。楽天市場、楽天トラベルなどのインターネットセグメントと、楽天カード、楽天銀行のフィンテックが順調に伸びています。

 3年 CAGRを使って指標を上げると、国内EC流通総額で+10.0%、楽天市場流通総額で+8.1%。楽天トラベルの国内宿泊流通総額は2019年対比で+42.5%となっている。旅行業界平均では、-9.5%であることから、経済圏の強みが最大限、活かされています。

 それを通期の実績で落とし込むと、インターネットセグメントは売上収益 YOY+9.8%。Non-GAAPで+18.9%。国内EC流通総額も+6.9%で前年比6.0兆円。

 同じくフィンテックセグメントは、YOY+11.2%、Non-GAAP営業収益で+36.8%。これを裏づけるのは、カードの発行枚数が+7.1%、カードでのショッピング取扱高YOY+18.1%。ECにより金融の機会が増えるほど、証券などにも好材料が生まれ、楽天証券の総合口座数はYOY+18.1%。

 ではモバイルは?というと、通期での売上収益はYOYで+3.9%で、Non-GAAP営業利益は、-3375億円で前年比で改善された額は1417億円。Non-GAAP EBITDAは-1791億円で、前年比で改善された額は1599億円。

・経済圏の強みを活かし切る

 

 彼らの最初の突破口としては経済圏。彼ら自身が言っていたのですが、紹介によって入っている人が、25万人程度。かなりの割合を占めていることを明らかにしています。  

 ゆえに、最強家族プログラムを発表したことは彼らの強みを発揮する上で必要なんですよね。六人家族であれば、100,000ポイント獲得できるようにして、利用者の裾野を広げます。経済圏での実感を背景に、モバイル利用の上での価格面が結果、解約しないだけの力を持っているとするわけです。

 実際、解約率が1%台になってきていることでよく分かる通り、サービスは定着してきた。それが家族であれば、プラスに作用しやすく、そこには若年層がいるからです。彼らの多くは、電話使用よりも、YouTubeなど、通信回線を多く使う可能性が高いので、より実感につながるはずだと。

 これが先ほど触れた顧客データの蓄積の源泉となり、経済圏の強みを活かすわけですよね。だから、マーケットプレイスの上にある経済圏。その上、AIということになります。

・筋書き通りになるかどうかは未知数

 

 事業の組み立て方でも言えるわけで、彼らが目指すのは、当たり前に通信を使う時代だから、ヘビーユーザーになるのが当然。これがモバイル単体の売り上げにも寄与するから、企業にとってはプラスだと。

 ARPUが今より増えれば、モバイルの粗利が増えることになり、それらを支えられるのは経済圏によるビジネスモデルが定着しているからです。

 本当にその筋書き通りになるのかどうかは、事業である以上、わかりません。

 ですが、企業は成長していかなければなりませんから、経済圏をテコにどれだけ、そのモバイルの裾野を伸ばしていくことができるか。それが未来の楽天の価値となるでしょう。まわりまわって、モバイルを軸としたAIを通じた新しい購買体験を「楽天市場」で築けるかというところに、これからの楽天の未来があるということです。

今日はこの辺で。

参考:経済圏で得た信用はモバイル利用者に繋げよ 楽天グループ2023年度通期及び第4四半期決算発表